『2分の1の魔法』ストーリー構想7年 ピクサーが貫く“Story is King”の理念

クランクイン!

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により公開延期となっていたディズニー&ピクサー長編映画『2分の1の魔法』がいよいよ公開を迎える。本作でメガホンを取ったダン・スキャンロン監督と、コーリー・レイプロデューサーが、制作秘話やピクサーの映画作りの理念などを語った。

■構想7年、まるで性格が違う兄弟のバディムービー

本作は、亡くなった父親にもう一度会いたいと願うイアンとバーリーの兄弟の奮闘を描いているが、スキャンロン監督は、前作『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013)でもサリーとマイクという2人の物語をつむいでいる。そのことについて監督は「人生のかなり多くのことはバディムービーみたいだと思うんです」と持論を展開すると「多くの人は、違う視点を持った2人の関係性が徐々に親密になっていく過程を観ることに興奮を覚えるのです」とバディものは多くの人が感情移入しやすいと指摘する。

スキャンロン監督の言葉通り、イアンとバーリーの兄弟はまるで性格が違う2人だ。そこからぶつかり合いながらも理解を深め、同じ目的のために力を合わせる。このストーリーを構築するために、実に7年近い歳月を費やした。

レイプロデューサーは「完成の最後の数ヵ月前までストーリーは変更しました。魔法の見せ方など、映画にはいろいろな要素がありますが、ピクサー映画において最も重要なのはストーリーなのです」と断言すると、スキャンロン監督も「まさしくその通りです」と同調する。

■鑑賞者の意見を吸収しつつクリエイティビティを尊重 ピクサーの理念

ピクサーには「Story is King(全ては物語を伝えるため)」という理念がある。とにかくスクリーニング(試写)を繰り返し、意見を募る。より多くの人が共感できるようなストーリーを構築していくというやり方。非常に理にかなった方法だが、一方で、クリエイターとして自身のアイデアを貫くことが難しくなるのでは…という懸念もある。

スキャンロン監督は「スクリーニングで出た意見は、僕らが考えたアイデアを変えるということではなく、より明確に、分かりやすく伝えるためにどうしたらいいのか、というアドバイスです。なので、決して自分のアイデアを否定されるわけではない。僕らが語りたい内容、そして表現する方法については、常に尊重されています」と明快に答える。レイプロデューサーも「ダンの答えが全て。私たちには自由を与えてもらっています」と付け加えていた。

■キャラクターに命を吹き込んだトムホ&クリプラを大絶賛

そんな魅力的なストーリーやキャラクターに命を吹き込んだのが、トム・ホランド(イアン役)とクリス・プラット(バーリー役)という人気俳優だ。

レイプロデューサーはトムの起用理由について「イアンは人付き合いが苦手で、内気なティーンネイジャーなのだけれど、観客が引き込まれて共感できるようなキャラクターにしなければいけない。そんな彼の心をうまく表現できるのはトムしかいないと思ったのです。彼は素晴らしい役者であり、彼自身にも優しさがある。前かがみの姿勢でありながら、内気で少しぎこちない表現ができる。今回ご一緒して素晴らしい時間を過ごすことができました」と絶賛する。

一方、クリスについてスキャンロン監督は「バーリーは、はちゃめちゃでワイルドな自信家。そんな全ての特性をクリスは面白く演じられる資質を持っていました」と評価。「アドリブも効くし、彼独特の言い回しを思いつける人。アニメーションでは収録で自然に生まれることはまれなのですが、彼からはいろいろなものが生まれる。非常にポジティブなキャラクターができ上がった」と、キャスティングが大成功だったことを明かす。

劇中では、かつて魔法に満ちあふれていたが、科学技術の進歩によって魔法が忘れ去れてしまった世界に様変わりしてしまう。環境が大きく変わったなか、どうにかして目的を達成しようとするイアンとバーリー。本作が当初公開される予定だった3月と今では大きく世の中が変わってしまったが、この2人の兄弟の奮闘は、われわれに大きな勇気を与えてくれるだろう。(取材・文:磯部正和)

当記事はクランクイン!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ