SUGIZO、戦後75年目の広島で核兵器廃絶願う「分断ではなく、調和を」

SPICE

Pray for Peace collection 2020
2020.8.6 広島テレビ(広島市東区)1階


LUNA SEA、X JAPANのギタリスト、バイオリニストなどとして活躍するSUGIZOが2020年8月6日、広島テレビ(広島市東区)1階で開かれたファッションとエンターテインメントの力で世界に平和を呼びかけるイベント『Pray for Peace collection 2020』にスペシャルゲストとして出演した。

平和記念公園(広島市中区)に寄贈された折り鶴で作ったドレスなどが披露されたファッションショーでは、昨年に続きSUGIZOもモデルを務め、子どもたちと共に花道をかっ歩した。SUGIZOは「(原爆投下から)75年目の今日、ここにいられること、こんなにかわいらしいショーに、祈りを込めて登場できたことが感慨深かった」と振り返っていた。

イベントは、ファッションブランドの『TENBO』が、世界で初めて原爆が投下された広島から平和を発信しようと企画されたもの。デザイナーで代表の鶴田能史は「今日は子どもたちから大人たちが学ぶ日」と、被爆4世、5世、発達障害などさまざまな背景を抱えた子どもたちを主軸に平和のファッションショーを計画した。会場では、広島県内で暮らす1歳6カ月から16歳までの23人が、平和記念公園に寄贈された折り鶴を再利用した『折り鶴ドレス』などを披露した。
モデルに囲まれたデザイナーの鶴田能史さん(左)
モデルに囲まれたデザイナーの鶴田能史さん(左)

20年ほど前から難民問題に関心を持ち、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のスタッフとの出会いをきっかけに、2016年にはヨルダンの難民キャンプを訪問するなど、啓発活動に取り組んでいるSUGIZOは、イラクの小児がん医療支援などを行う団体『JIM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)』の子どもたちが描いたイラストで構成されたロングジャケットを身にまとってランウエイへ。

イラクの難民キャンプで暮らす子どもたちの写真がプリントされたジャケット
イラクの難民キャンプで暮らす子どもたちの写真がプリントされたジャケット

上着の内側には2019年に訪れたイラクの難民キャンプで暮らす子どもたちの写真がプリントされており、SUGIZOが動くたびに輝く笑顔が広がっていた。平和が続くように。会場の中央でSUGIZOは、そっと両手を合わせて神に祈った。
ショーの終盤には、広島市と同じく原爆の被害を受けた長崎市、沖縄戦で大きな痛みを受けた沖縄市の3市をつなごうと、それぞれの市から折り鶴を集めた豪華なドレスもお披露目された。

広島をイメージした『希望のドーム』は、原爆ドーム(広島平和記念碑)をイメージして制作。ドームから天にかかる虹が折り鶴で表現された。
折り鶴を再利用したドレス「希望のドーム」
折り鶴を再利用したドレス「希望のドーム」

国内で最も教会が多い長崎は、その戦火も見つめた『マリア』がテーマ。ステンドグラスから差し込む温かい光りには、未来への希望を込めた。『マリア』のパートでは、背面に十字の切り込みが入ったマントを身につけたSUGIZOが競演した。
SUGIZOさんとの競演も
SUGIZOさんとの競演も

沖縄は、ひめゆり学徒隊として沖縄戦に負傷兵看護要員として動員された女学生を重ねた『ひめゆり』。女学生たちの戦争体験を伝える「ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市)の敷地で、黄色い花を咲かせる「相思樹」の花を思わせるドレスが披露されている間には、沖縄師範学校女子部の生徒たちが卒業式に歌おうと教師らが書き下ろした「別れの曲(うた)」が流れていた。
沖縄「ひめゆり」ドレス
沖縄「ひめゆり」ドレス

ファッションショーの後に開かれたトークショーでは、1万羽の折り鶴を再利用したドレスを身にまとった吉中えれなさん(12)が「みんなに平和の大切さを伝えていきたい」と決意。
1万羽の折り鶴を用いた鮮やかなドレス
1万羽の折り鶴を用いた鮮やかなドレス

夢を語るコーナーでは、『希望のドーム』を着用した佐々本柚季ちゃん(6)は「チーズケーキを作って家族で食べたい」。『マリア』のレマー利央菜ちゃん(8)は「(被爆してもなお命を継いでくれた)ひいおばあちゃんに長生きをして欲しい」と笑顔を見せた。

たくさんの千羽鶴がちりばめられたミニドレスを着用した大石莉心ちゃん(8)は「世界中で新型コロナウイルスに苦しんでいる人のためにワクチンを作りたい。将来はお医者さんになって、宇宙飛行士にもなりたい」と宣言。

これを聞いたSUGIZOは「僕も宇宙飛行士になりたいです。まだ夢は終わらずに続いています。みんなが大人になる頃には、僕ら(民間人)も宇宙に行かれる日が来ると思う。宇宙に行ったらお医者さんが必要ですから、すごくいい夢だと思います」とエールを送っていた。

20年以上続けているソロ活動では、怒りや悲しみ、幸福などさまざまな感情を音で表現し続けているSUGIZO。作品の中には1945年8月6日に、広島市に原子爆弾を投下した爆撃機をタイトルに付けた『ENOLA GAY』という楽もがある。核兵器の廃絶と平和への祈りを込めた鎮魂歌で、ライブでは怒りを思わせる激しいギター演奏中に、ステージの背景に戦争や武器、子どもたちの映像を投影。曲間には〝NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR〟と記されてた大旗を掲げるなど、強いメッセージを訴え続けている。
平和を祈るSUGIZO
平和を祈るSUGIZO

被爆者の平均年齢が83歳を超えるなど、戦争体験を語ることができる人たちがいなくなる時代も現実味を帯びてきた。イベントの前日に「広島平和記念資料館」(広島市中区)を訪れたと話したSUGIZOは、「広島や長崎が受けた苦しみを、自分の身体でまざまざと感じた。75年前にこれだけの痛みを日本が感じていた…。日本は(唯一の被爆国として)リーダーシップを持って動いてほしい。戦いではなく、友情で。今日8月6日に、改めて広島から世界に向けて核兵器廃絶。武器の廃絶を訴えたい。僕らは非力だけど、無力ではない。分断ではなく、調和を」と呼びかけた。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、音楽ライブを中止するなど規模を縮小し行われたイベントは、無観客での実施。代わりにブランドの公式ユーチューブチャンネルで生配信し、約2千人が視聴した。会場には広島平和記念公園内にある「原爆の子の像」のモデルになった佐々木禎子の甥で歌手の祐滋や、画家の田川誠、広島県観光特使でドラマーのYUJIも出演。祐滋は「今この瞬間にも、今日モデルとして登場した子と同じ年齢の子たちが、何かしらで苦しんでいる現実がある。僕ら大人たちは、すべての子どもが笑顔になれるよう努力していきたい」と話した。
イベントに出演したモデルら
イベントに出演したモデルら

当記事はSPICEの提供記事です。

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