スーパークレイジー君、NGワード連呼の後藤氏…都知事選お騒がせ候補の「その後」

日刊SPA!

 選挙に落ちれば“ただの人”。だが、そもそも普通の人は出馬するのも難しい。多額の選挙資金、キャリアの中断、家族の反対……先の都知事選で落選した候補者たちも、みな型破りだった。あの元候補者たちは今――

◆借金、売名、ウソ、家族関係…候補者たちの「宴のあと」

開票から当確までわずか4秒。7月5日に行われた東京都知事選は下馬評通り、現職・小池百合子候補の圧勝に終わった。今回は、過去最多の22人の候補者が乱立する熾烈な戦いとなったが、なかでも異彩を放っていたのが新世代の“泡沫候補”たちだ。

振り返れば、世界的発明家のドクター・中松氏や実業家で現港区議のマック赤坂氏、さらには「ロケンローラー」こと故・内田裕也氏など、これまで多くの“レジェンド”が都知事選を盛り上げてきた。だが、有効投票数の10%(今回は約65万票)を得られなければ、供託金300万円はすべて没収されるため、それなりに資金力に余裕がある候補者でなければ、選挙後、元の生活に戻ることもままならないのが実情だ。

彼ら新世代の“泡沫候補”たちは今、どこで何をしているのか……? まずは、「マック赤坂の後継者」という触れ込みで、選挙戦を羽織袴姿で戦った込山洋氏に聞いた。

「選挙後は借金取りに追われる毎日ですね。選挙費用の500万円は支援者から借りましたが、これとは別で……。実は6年前に事業に失敗し、九州から夜逃げしていたのですが、都知事選の出馬で見つかって、1000万円の借金を返済しなければならないんです。今はマック赤坂さんの付き人で、給料は前職の介護職と変わらず安い。自分なりに罪を償うために毎晩、新橋でのゴミ拾いは続けていますが、返すお金はない。もう成り行きに任せるしかありません」

さぞかし意気消沈していると思いきや、“衆議院議員候補者”と書かれた新しいタスキを手にし、早くも次の戦いを見据えている。だが羽織袴姿は今回限りだという。

「別れた妻に都知事選出馬を相談すると、『もう関係ないから自由にしたら』と言っていたのに、告示日が近づくと『袴で出歩くのだけはやめて』『ふざけた格好で力説しても誰も聞いてくれないよ』と夜中の3時にLINEが矢継ぎ早に届き、これはマズいと急遽、政見放送はスーツ姿に。それでも私が1万票を獲得したら、『頑張ったね』と。でも会いに行くのは『コロナだから勘弁して』だそうです」

▼込山 洋氏(46歳)1万935票 11位

「九州から夜逃げしての出馬。今は訴えられています」

元介護士。出前館の創業者・花蜜幸伸氏が「一番の支援者」。6年前の事業失敗で、自殺未遂を経験し、選挙戦では「人生一度限りでございます」と何度も聴衆に訴えていた。現在はマック赤坂氏の付き人。

’15年より続けている清掃活動は新橋にて継続中

◆大きな話題となった政見放送

続いて、これまで都知事選を含め10回の選挙に出馬し、トータル1020万円の供託金を没収されてきた後藤輝樹氏。なんと彼は「借金をしたのは都知事選が人生初」だという。

「僕の父は昭和11年生まれで、南樺太の出身。ちゃぶ台をひっくり返すような昭和の頑固親父で、父とはウマが合わず、家庭内はいつも険悪なムード。でも僕もしたたかなので、東大受験の浪人中ということで、家に置いてもらって、27歳で家出するまでに選挙資金1000万円を貯めました。当時から自営業、簡単に言えば何でも屋で、年収はずっと100万円未満でしたが、お金を使わないし、株やFXはほぼ負けたことはない」

小学生が喜びそうな“あの局部の俗称”を連呼した政見放送は、大きな話題となり後藤氏は一躍“時の人”となったが……。

「そもそもあの政見放送は『表現の自由』のため。NHKでノーカット放送されたのはノーベル賞級の快挙ですよ。政治とは関係ないですが、YouTubeでは去年『愛してるぜ!』と受験生を応援した動画が人気になって収益化に成功。今年は遂に年収100万円を超えそう。昔だったら変な人で終わるところが、変な人が世界を変えられる時代になったのは喜ばしいこと。捨て身で諦めなかったから僕もここまで来られたんです」

▼後藤輝樹氏(37歳)2万1997票 8位

「NHKの政見放送ノーカットはノーベル賞級の快挙だと思います」

高校卒業後、紆余曲折を経て、’11年の神奈川県議会選挙に出馬。先の都知事選が10回目の選挙で、’16年都知事選の7031票から3倍に得票数を伸ばした。取材中にビールを飲むなど自由人の一面を覗かせるが、質問には真摯に答えてくれた

◆スーパークレイジー君は参議院選挙に出馬表明!

金髪、特攻服、街宣車は黒塗りベンツ。スーパークレイジー君こと西本誠氏は、選挙後はイベントのオファーが絶えないという。

「街頭演説で披露した『てんてんむし』という歌がTikTokでバズって、小学生も一緒に歌ってくれました。でも歌詞はオンナの家を転々するという意味で大人向け(笑)。安心して子どもに歌ってもらえるように新しい歌詞を考え中です。コロナが落ち着いたら歌手として日本中を回りたい」

ただ、妻の両親からは「次、選挙に出るなら娘とは別れてくれ」と念を押されているらしい。

「嫁の両親には暴走族や逮捕歴、全身の刺青も黙っていたんです。銀座のクラブの雇われ店長をしていて、月収120万円くらい稼いでいましたが、両親には唐揚げ屋と偽っていた。『お前、いつも店にいないじゃん』って言われるので、『統括マネジャーなんで、いろいろ回ってます』と。でも出馬で……すべてバレました。ウソをついていたことは本当に後悔しています。でも許してもらうためにもこの道(政治)しかない。令和4年の参議院選には“スーパークレイジー君”を政党にして出馬します」

▼スーパークレイジー君こと、西本 誠氏(33歳)1万1887票 10位

「逮捕歴、刺青、職業…ウソが全部バレた!」

歌手。銀座のクラブの雇われ店長。120万円あった月収はコロナの影響で15万円程度に。都知事選ではスーパークレイジー君が無効票となったため、次の参議院選では 「スーパークレイジー君党」を立ち上げ、比例代表で候補者10人以上を擁立する計画を立てる

◆次の目標は“カミさん”孝行

最後に紹介するのは、たった一人で選挙戦に挑み、2万票獲得した作家で会社役員の沢しおん氏だ。

「私の選挙運動では社員や家族に関わらないようにしてもらいました。立候補日に社員へ出馬すると伝えると、みな『頑張ってください』とは言ってくれましたけど、千葉や神奈川に住んでいる人が多く『都民ではなく投票できませんが』と前振りされました(笑)」

業績好調なゲーム会社を経営している沢氏でも供託金をすぐに準備できたわけではない。

「実は10年以上前に中国への投資で失敗し、2億円の借金を背負いました。そのときにカミさんと結婚。『これ以上のどん底はないから、あとは全部上り坂でしょう』と言ってもらえて、一生頭が上がらない。当時はダイヤの入った指輪を買ってあげられなかった。結婚10周年で借金も返せた今、ゲームでいえば、カミさんにたくさん課金するつもりでコツコツお金を貯めいていた……それが没収された供託金300万円です(笑)。今は“カミさん課金”を積み立て直すつもり。経営者としてはコロナで就職できない若者を助ける事業を立ち上げ中です」

選挙では敗れても、戦いを諦めない彼らの今後に注目したい。

▼沢 しおん氏(44歳)2万738票 9位

「結婚10周年を祝うお金が供託金に。次の目標は“カミさん”孝行です」

作家。’19年には小説『ブロックチェーン・ゲーム』(インプレスR&D)を出版。都知事選を機に、YouTubeチャンネルを開設し、日々ニュースを取り上げながら政策を深めている。次の選挙は「20年後かな。焦りはない」

取材・文/森田光貴 若林 良 撮影/谷中竜一 村田孔明(本誌)

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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