綾瀬はるかが10年続けてきた平和への取り組み 日本の「戦争加害」にも踏み込む企画

wezzy

2020/8/7 19:35


 2020年8月6日。広島に原爆が投下されてから、75年となる「原爆の日」だ。毎年この時期は戦争に関連したドキュメンタリーやドラマが多く放送される。広島市出身の綾瀬はるかが出演する「綾瀬はるか『戦争』を聞く」も、その一つだ。

「綾瀬はるか『戦争』を聞く」は『NEWS23』(TBS系)内の特集企画。2010年にスタートし、番組から派生した本も岩波書店から2冊出版されている。放送のたびに話題となる人気コーナーである。

この企画が視聴者から支持されるのは、綾瀬が貴重な戦争証言に対して真摯に耳を傾け、彼らの語る悲しみ・恐怖・怒りを受け止めようとする姿勢が見えるから。

その背景には、彼女の出自も関わっているのだろう。綾瀬の大伯母は原爆で亡くなっている。

「綾瀬はるか「戦争」を聞く」シリーズが始まるきっかけとなった特番『TBSテレビ放送50周年~戦後60年特別企画~「ヒロシマ」』(2005年放送/TBS系)では、祖母から大伯母の最期を直接聞く姿が放送された。

原爆が投下された当時、大伯母は31歳。8月6日は郊外の家から広島市内に出かけていたため犠牲になった。祖母は大伯母についてあまり話したがらなかったため綾瀬はそうした過去について初めて知ったという。

証言の最後では祖母が、<もう私も長く生きとらんから、あんた忘れんようにね、戦争なんか起こさんように、女性がしっかりせにゃダメなんよ。ね。女性の力で戦争を起こさんように>と語りかけている。涙ながらに頷く綾瀬の姿が印象的だった。

その後、2010年から「綾瀬はるか『戦争』を聞く」シリーズが本格的に始まった。この企画では、広島や長崎の被爆者をはじめとした戦争による被害者のみならず、最近ではほとんどメディアに取り上げられなくなった日本の「戦争加害」にも踏み込んでいる。2018年放送回では、中国で使用した国際条約違反の毒ガス工場元研究員にインタビューを行っていた。

そうした経験は綾瀬の心に「平和への願い」を刻ませたと思われる。2018年2月に公開された映画『今夜、ロマンス劇場で』の初日舞台あいさつで綾瀬は「実現してほしい夢は?」というトークのお題に「世界平和!」「皆さんが笑顔で健やかに過ごせる、そんな世の中になってほしいです」と語り、「天然ボケ発言」のように週刊誌に取り上げられたこともあったが、この言葉は本心から発せられたものであったはずだ。

綾瀬はるかは国連平和大使に選ばれるか?
 綾瀬はるかの取り組みは国連の人にも評価されているようだ。8月5日、国連の軍縮部門トップである中満泉・国連事務次長はこのような文章をTwitterに投稿し、綾瀬にラブコールを送っている。

<#綾瀬はるか さん、昔から大ファンです。いつも支援してくださる俳優のマイケル・ダグラスさんのように、私たち国連の軍縮分野での、平和メッセンジャーになっていただけないでしょうか!?>

マイケル・ダグラスは反戦活動家としても知られ、2008年には国連平和大使に任命されている。2016年にはオバマ大統領(当時)の広島訪問に関して「彼が米国大統領として決断したことを幸せに感じている。核廃絶について強い言葉を発することを望むし、そう期待している」と国連ヨーロッパ本部で会見した発言がニュースになっている。将来的には綾瀬にもこのような大役がまわってくるのだろうか。

日本は唯一の戦争被爆国だ。核兵器廃絶を進めるうえでの重要な役割を、世界から期待されている。しかし、安倍政権がその責をまっとうする気があるのかははなはだ疑問だ。

安倍政権は2017年に採択された核兵器禁止条約を署名・批准しておらず、また、同年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも公式のコメントを出さなかった。今年の平和記念式典におけるスピーチでも安倍首相は核兵器禁止条約に言及していない。

日本は戦争の恐ろしさを忘れ去ろうとしているのか──このような社会状況のなか、綾瀬のように発言力のある女優が戦争のもたらす悲劇について学び、平和への願いを発信していくことはとても重要な意味をもつだろう。

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