注目コント師・かが屋とYouTube作家・白武ときおがお笑い第7世代を語る

日刊SPA!

2020/8/2 15:50

 キングオブコント2019ファイナリストとして一躍有名になったお笑いコンビ「かが屋」。メンバーの加賀翔、賀屋壮也はともに1993年生まれで、コンビ結成は2015年。霜降り明星、ハナコらと同じく「お笑い第7世代」に属する。白武はかが屋のYouTube チャンネル「みんなのかが屋」に放送作家として参加し、お笑い界に新たな潮流を生み出している。白武とかが屋の3人が、「みんなのかが屋」の運営や、コロナ禍のなかで実施した無観客ライブについて語り合う。

(本座談会は、白武ときお著『YouTube放送作家』からの抜粋です)

◆出会いはTwitterのDMから

白武:僕は、2018年の夏頃にかが屋の存在を知りました。マセキ芸能社のYouTubeにネタ動画がアップされていて、あまりの面白さにその日に全部見てしまったんです。ずっと気になっていたので、その年の12月にTwitterで賀屋さんにメッセージを送り、恵比寿の居酒屋で会うことになったんですよね。

加賀:懐かしいですね。白武さんの存在は、僕らもずっと前から気付いていました。SunSetTVの『Aマッソのゲラニチョビ』や『霜降り明星のパパユパユパユ』のエンドクレジットで見ていたので。

賀屋:あと、一時期ルームシェアしていたひつじねいりの細田からも「すげー稼いでいる同世代の放送作家がいる」と聞いていました。

白武:ライブシーンで芸を磨いている芸人さんはお金を稼ぐという意識では生活してないから、そういう基準からすれば、稼いでいることになるのかもしれませんが……(笑)。

加賀:だから最初会うときはすごく緊張しましたよ。セントジェームスのオシャレなカットソーとか着ていたので、うわ、めっちゃ業界人っぽいって。あまり気持ちが表情に出る人じゃなかったので、どう思われているのかなと不安もありました。

賀屋:オーディションとかでもコスりまくっていた僕らの結成秘話とかも、全部ぶちまけましたよね。

白武:そうそう、昔の恋愛話とかも聞かせてもらって。想像していたよりも二人が優しかったのが印象的でした。芸人さんが標準装備している、ある種の意地悪さを、大幅に下回っていた。打算的な感じがまったくなくて、優しい人たちだなと思いました。

加賀:僕らが何言っても、「えーっ!」って驚いてましたよね。

白武:これまで出会ってきた芸人さんの多くは「モテればモテるほどよい」という感じだったんですが、加賀くんは一人の恋人を10年以上愛し続けていたり……何か違うものを感じたんです。

加賀:でも、第7世代って、そういう人多くないですか?

白武:お笑いに限らず、今の20代は全体的にマジメかもしれない。それで、初対面のときに「何か一緒にやりたいですね」とお話しして、2019年7月にYouTubeチャンネル「みんなのかが屋」を開設。渋谷のガーデンカフェで映像作家の柿沼キヨシさんも交えて4人で話し合って、二人がネタを作る過程を生配信で見せたら面白いんじゃないかということになったんです。視聴者にもコメントで一緒に考えてもらいながら、15分で1本コント作るっていう。

加賀:これは無理ってわかっているから、逆にやってみようって思いました。やってみたらどうなるんだろうって思いながら、OKしたんです。

賀屋:最初は「ヤバいこと言うな」と思ってたんですけどね(笑)。当初は30分で1本って話していたのに、最終的に15分で1本になってしまった。いま思うと、ゲーム性もあって見ている人が飽きない時間ですね。

白武:テンポよく見られたらいいなと思ったんです。

◆『ワイドナショー』で味わった敗北の涙

加賀:放送作家の人と一緒に仕事をするのは初めてだったので、こんなに企画を考えてくれるのかって感動しました。僕らが乗る船を一緒に作ってくれている感じで、すごくありがたかったし、楽しかったですね。

白武:あ、船長発言が出ましたね。加賀くんはすぐ船長ぶりますから(笑)。でも実際、僕は航海士として、「この先にお宝がございますけど船長どうしますか?」って案内している感じです。

賀屋:いやいや、そんなことないですって。最初に収録した時は、めちゃめちゃ楽しかったです。生配信だから、切羽詰まっている状態でなんとかしなきゃいけない。でも、視聴者からコメントでアイデアもらいながら考えるので、少し負担が減るんですよね。

白武:1回目の収録のあと、二人がガッチリ握手していたのを覚えてますよ。

賀屋:そんなスラムダンクのラストシーンみたいなことしてましたっけ? 高揚感はすごくありましたけど……。

白武:してましたよ。いまでこそ芸人さんがネットで生配信をするのも珍しくないけど、当時はYouTubeだとやってる人が少なかった。

加賀:テレビにはまだほとんど出ていない時期で、反響が大きくてちょっと成功した雰囲気になって。

白武:そしたらフジテレビ『ワイドナショー』で「視聴者が取り上げてほしいニュース」として『みんなのかが屋』の名前が挙がったんです。これにはびっくりしましたね。

賀屋:視聴者千人と一緒にコントを作るお笑い芸人として取り上げてくださって。それでスタジオで生でコントを15分で作ることになったんです。一生懸命やったんですが、本当にガチガチになって、大失敗したんですよね。放送されたら芸人生命を失うっていうぐらい。

白武:松本人志さんや東野幸治さんに会うのも初めてですもんね。

加賀:終わって、気付いたらスタジオの隅でめちゃめちゃ泣きました。音が漏れたらいけないので、シクシク音が聞こえないように、お腹だけで泣いた。

賀屋:加賀くんが泣くことはいままでもよくあったので、「また泣いてら~」と思ってたら、僕もめちゃめちゃ涙出てきたんですよね。

白武:でも、それを救うかのように、急遽生放送に切り替わって、かが屋のコントはお蔵入りになりました。

加賀:そうなんです。生放送の最後で、東野さんが「かが屋はお蔵入りになったけど、救われたんちゃうか」みたいに言ってくださって。スベっているのを見られるのはキツイけど、スベってたって言われるのは大丈夫じゃないですか。その放送をきっかけにかが屋の名前を調べてくれた人も多かったみたいです。本当に本当に申し訳ないんですが、神はいる、って正直思いました(笑)。

◆コロナ禍で生まれた無観客ライブ

白武:YouTubeチャンネルの収録3回目では、ダルビッシュ有さんからコメントが来ました。

賀屋:ダルビッシュさんがTwitterで「かが屋っていうお笑い芸人おもろすぎ」ってツイートしてくださっていたんです。それで、「ダルビッシュ有も絶賛」なんていう紹介コメントもあったんですが、まさか本人が来るとは思わなかったので、めちゃくちゃびっくりしました。ダルビッシュさんの名前が出たらコメント欄がザワザワし始めて、全部もっていかれましたが。

白武:そういう、予定調和ではない、予測のできない面白さがYouTubeライブにはありますよね。ラジオだと面白いハガキしか読まれないけど、YouTubeライブはすべてのコメントが表示されるので、全体の温度感がよくわかる。かが屋のチャンネルはお笑い好きな視聴者が集まるので、アイデアも面白いものがたくさん出てきます。

加賀:カンの鋭い視聴者が多いですよね。

白武:1回ずつ何か新しいエッセンスを入れながら作っていきましたね。ライブ形式だったり、グッズ販売だったり。あと、オールナイトでアーカイブを販売するとか。夜にドライブしながら、ライブの出番待ちしている芸人を呼び出したり。

賀屋:地方のスポットで生配信する「みんなのかが屋@あなたの県」もやっています。YouTubeの配信後に、北陸朝日放送さんでオンエアしていただくなど、新しい試みでした。僕たちはとにかくなんでもやってみたいと思っているので、すごく楽しかった。何があっても、『ワイドナ』よりスベることはないですからね(笑)。

白武:地域差なくコントを届けたいっていう二人の気持ちに乗っかって、企画が成立したんですよ。3月には無観客ライブもやりましたね。コロナの影響でライブができなくなったけど、無観客でやったら面白いんじゃないかなって。

加賀:その打ち合わせも途中から対面ではできなくなっちゃったから、リモートでしたね。応援してくれる人がたくさんいて、ありがたかったです。無観客ライブは2回、その後Zoomを使って、お笑い芸人10人を集めて「コントクイズ王決定戦」をやりました。

白武:過去のお笑い番組で披露されたコントをどれだけ知っているか、芸人たちの知識を競ったわけです。

加賀:僕たちに加えて、空気階段の水川かたまり、ザ・マミィの林田、Gパンパンダの星野、寺田寛明、まんじゅう大帝国の田中、レインボー・ジャンボたかお、わらふぢなるおの口笛なるお、『水曜日のダウンタウン』のお笑いクイズ王決定戦で準優勝された鴨澤創平さん。お笑いマニアがたくさん集まりました。

賀屋:やってみるとみんな鬼のように詳しくて、上には上がいるなと……。

白武:マニアの領域に入ってました。「バナナマンのコントに出てくるフォークデュオは『赤えんぴつ』ですが、そのメンバーは『おーちゃん』と誰?」とか。

賀屋:昔テレビで見てこびりついてた残像を頼りに答えてましたからね。

◆時代のニーズにハマるお笑い第7世代

白武:二人とも、映画をよく見てますよね。いわゆる名作とかベスト100みたいなものは網羅しているから、共通言語として成立する。

加賀:同世代というのは大きいですね。

賀屋:白武さんとは見てきたものが似ているし、考え方もそれほど遠くない気がします。お笑いが好きなら、マンガや映画の趣味も、どこか似ているところがあるんじゃないかな。

白武:これは知っているかな、これは知らないかもな? って気を使わないで済むし、あの作品のあの俳優さんみたいな感じでやろう、ってたとえ話もしやすいんです。

加賀:7月、8月にはテレビ朝日の若いディレクターさんが中心となって企画したコント番組があるんですが、「みんなのかが屋」でやっていることがつながればいいなと。

白武:40代の芸人さんがテレビを引っ張っていっているけど、20代の芸人はそこから見るとだいぶ年が離れているから、かわいがられますよね。それに、テレビ的にも若い人に見てもらえる番組のほうがいい。『有吉の壁』を筆頭に、楽しく見られるネタ番組も好調です。第7世代はそういうニーズにうまくはまっていて、誘いやすい、声かけやすい。

賀屋:笑って楽しく見られるものを作りたいねって話して、YouTubeを始めて、テレビ番組もやらせてもらえるようになって。嬉しいですね。

白武:やっぱりかが屋のコントの凄さが伝わっているんでしょうね。見ている人が「これで笑える自分、センスいいな」って錯覚させられているような……。

加賀:そんなこと言われると、今度から読解力をくすぐるようなことをしないとって思っちゃいます。

賀屋:白武さんと一緒にいると、お笑い芸人にとって放送作家さんは絶対必要な存在だと思います。自分たちだけでは、そこまで大量の企画は絶対考えられないですもん。先輩に、「放送作家って何しているんだろう」って言う人がいて、めっちゃモメたことありますよ(笑)。

白武:実際にネタを面白くできる芸人さんが凄いんですよ。だから二人は凄いんです。コント界を引っ張っていくコンビだから。バナナマンさんと作家のオークラさんみたいな、芸人さんと放送作家の20年来の付き合いとか憧れてるんですよね。僕も二人が40歳、50歳になったときの活躍を早く見たいと思ってます。

<構成/森野広明 撮影/石垣星児>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ