三浦春馬さんの死をどう伝えるべきか「自死の理由より、生きた証にスポットを」

wezzy

2020/8/2 08:00


 三浦春馬さんの訃報から半月近くが経ったいまも、まだ現実味を感じられず戸惑う人は多いように見受けられる。しかし、週刊誌による親族取材および、死の理由を詮索する記事は過熱する一方だ。

7月30日発売の「週刊文春」(文藝春秋)や「女性セブン」(小学館)は、三浦春馬さんの自室に残されていた日記を一部公開。そこから彼の悩みや死生観を勝手に読み解いた。

その他にも、親族への取材によって三浦さんの複雑な生い立ち、母親や継父との関係悪化などが自死の遠因であるかのように示唆する内容の記事がとても多く出ている。

しかしこうした報道は著名人の自死を伝える上で適切とは言えない。メディアによる自殺報道が模倣自殺を誘発する「ウェルテル効果」(ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』に由来する)という現象があるため、取り上げ方には慎重を期す必要があるのだ。

WHO(世界保険機関)は「自殺報道ガイドライン」を定めており、自殺報道に関してメディア関係者が考慮すべき指標を示している。ガイドラインでは、「自殺をセンセーショナルに表現する言葉、よくある普通のこととみなす言葉を使わないこと、自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと」「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」「自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと」「センセーショナルな見出しを使わないこと」などを求めている。

有名人の自殺報道に関してはより注意が必要である。読者や視聴者は死の理由・死にいたった過程などを知りたがるが、ニーズがあるからといってそれらを根掘り葉掘り取材し、情報を提供することは故人の名誉を傷つけることにもなりかねない。

厚生労働省ホームページ内に日本語訳も掲載されている「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識(2017年版)」では、<有名人の死を報道する上で自殺の原因がすぐにはわからない場合は注意が必要である>として、明らかになっていない死の理由を詮索するような報道を諌めている。

<有名人の死として考えられる原因を、メディアが不確かな情報に基づいて推測することで悪影響を及ぼす可能性がある。死の原因が知られるようになるまで待つこと、また具体的な状況を慎重に調査することがより適切である>

ただ、WHOの提示しているガイドラインはあくまで行動規範であり、守らなくても罰則があるわけではない。「報道の自由」の観点とも照らし合わせ、報道することに社会的な意義があるのであれば、遺書に書かれてある言葉を伝えるべき時もあるだろう。

では、どのような伝え方がより良いと言えるのか。

三浦春馬さんの死をメディアはどう伝えるべきか
 2020年5月26日放送『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)でNPO法人自殺対策支援センター・ライフリンク代表の清水康之氏は、一例として「子どもがいじめで亡くなったのかどうかが論争になっているときに、遺書にいじめが原因だということを示す明らかな記述があることが分かった」という場合などは、報道する意義があるのではないかと説明している。

得た情報が報道すべきものなのか否か、メディアに関わる人ひとりひとりが事例に合わせて判断していかなくてはならない。

ちなみに「自殺報道ガイドライン」では、有名人の自殺報道に関して、<その有名人の人生や、その人が社会にどの程度貢献したか、その死が人にどの程度影響を及ぼすかに着目する方が、自殺関連行動を詳細に報道することや、極端に単純化した自殺の理由を伝えるよりも望ましい>としている。

三浦春馬さんについての情報を扱う場合、自殺の真相を詮索するような記事よりも、『14才の母』(日本テレビ系)、『僕のいた時間』(フジテレビ系)など数多くある出演ドラマでの名演技や、『キンキーブーツ』などの舞台における近年の活躍にスポットを当てる企画の方が推奨されるということだろう。

それに加え、ストレスや自殺念慮に対処する方法や、支援を求める連絡先なども添えた報道であれば、なお望ましい報道になる。

自殺報道に関する問題は、5月に『テラスハウスTOKYO2019-2020』(Netflix、フジテレビ系)に出演していた木村花さんの時にも取り沙汰されたばかり。

新型コロナ感染症の影響によって経済が落ち込み、失職のリスクなども含め社会不安は日増しに高まっている。メディアのあり方がいっそう問われるときであることは間違いない。

●一般社団法人 日本いのちの電話連盟
・ナビダイヤル0570-783-556
(毎日午前10時~午後10時まで)
・フリーダイヤル0120-783-556
(毎月10日の午前8時~翌日午前8時まで)
・各地のいのちの番号に関する情報は以下のホームページをご参照ください。

https://www.inochinodenwa.org

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