人の脳は食べられない!そんなゾンビのための代替食とは?

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Illustration: Benjamin Currie (Gizmodo)

人道的に食事したい、進歩的なゾンビのあなたへ

これを読んでいるあなたがゾンビだと仮定しましょう。ゾンビ的な唸り声をあげながらノッタリ歩いていると、10メートル先にはなんと生きた人間が。あなたが最初に考えるのは、もちろん追いかけて脳みそを食べることです。あなたはその衝動に身を任せようとするのですが、突然恥のようなものを感じます。自分が人間だった時代を微かに思い出したのです。そして考える。当時、もし自分がゾンビに頭をかじられたらどんな気分だっただろうか、と。

さぁ困りました。脳みそは食べたいけど、人は殺したくない。仕方なく、あなたはゾンビ心理カウンセラーのもとへ向かいます。事情を話すと、カウンセラーはニヤリと笑いました。こっちは自分の心情をさらけ出しているのに、なんだその態度は?とあなたは訝しみますが、実は彼はとあるアイデアをかねてから持っていました。それは良心に苛まれたゾンビのための試験プログラムで、人間の脳の代わりに、見た目も味もそっくりなものを食べることで、人間を殺す必要がなくなるというものでした。ここで解決すべき疑問は一つ。「人間の脳に替わる食べ物って何?」

今回のGiz Asksでは脳の専門家に質問し、その答えを探してみました。


Sandeep Robert Datta(ハーバード大学医学大学院、神経生物学准教授)

脳は主に脂質で出来ているので、ゾンビが求めているのは脂質だと仮定することができます。でもそれなら、例えばネズミの脳ではなぜダメなのでしょうか?リピドーム解析によると、人間の脳はスフィンゴミエリンと呼ばれる脂質が(ネズミの脳と比較して)非常に豊富だと分かっています。それなら、ゾンビが本当に欲しているのは脂質の中でもスフィンゴミエリンだと仮定できます。ではどこでそれを入手できるのかというと、卵です。卵はスフィンゴミエリンが豊富なだけでなく、脳と同じように白い皮質外層と、脂質が豊富な中央に分かれているので、脳の代替に最適であると考えられます。

濃いホワイトチーズを用いた、麺が太めのパスタ


Thomas Carmichael(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、デイヴィッド・ゲフィン医科大学院の神経学教授であり主任教授。UCLA Broad Stem Cell Centerの共同ディレクターでもある)

食べ物をベースにした代替だと、脂質たっぷりでタンパク性の物質を再現する必要があるので、かなり苦労するでしょう。濃いめのマカロニ&チーズは良いかもしれません。ただ、短いマカロニの代わりにズィーティやリガトーニなどの太めのパスタを使い、ピリッとする味があってはダメなので、チェダーではなく濃いホワイトチーズにすると良いでしょう。

牛の脳を使った「脳みそサンドイッチ(Brain Sandwich)」は、セントルイスでかつて楽しまれた珍味でした。セントルイスに住んでいた時に揚げる前のそれを見たのですが、脳の代わりになるような他の臓器は想像がつきません。腎臓や肝臓は固すぎて形がしっかりしすぎているし、私たちの食べているもの、食べられそうなものはどれも固すぎるか、脂質が足りません。

他の動物の脳なら使えるかもしれませんが、かなり発達した脳をもつ動物でなければダメでしょう。つまり、人間の脳の表面に見られるようなシワ(凸の部分を脳回、凹の部分を溝と言います)があるということです。これが高等哺乳類と下等哺乳類を分けます。また、このシワが人間の脳の感触や質感、見た目を特徴的なものにしています。なので、人間の脳の替わりにする脳も、この特徴がなければいけません。犬や猫の脳にも脳回と溝があるので、それら以上に賢い動物であれば良いのですが、例えばネズミやウサギの脳にはどちらもありません。

絹ごし豆腐


Theresa Desrochers(ブラウン大学の脳科学、精神医学、人間行動学准教授)

私のゾンビはヴィーガンになると思います。脳の質感に最も近いと私が感じたのは、絹ごし豆腐(木綿ではないですよ)です。指があっさり通るくらい柔らかいということに驚く人は多いですね。

大まかに言うと、私は計画を練ったり決断する時に使われる前頭前皮質を研究しています。この部分は頭をぶつけた時などにもっとも怪我をしやすい部分でもあります。衝撃を受けると、その部分が頭蓋骨の内側にぶつかるからです。研究所の脳週間などのイベントで一般の方に紹介する時は、まず豆腐を触らせ、容器に入れて振るとどうなるかを見せます。水と一緒に入れた豆腐(脳脊髄液が脳を守っているのを再現)は、水無しで入れたものより崩れにくいのがわかります(だから豆腐も水と入っているわけです)。

ただ残念なことに、脳のシワが狭い空間により多くの脳細胞を詰め込むために役立っているのを、豆腐では再現できません。紙をくしゃくしゃに丸めたらその状態を再現できますが、豆腐ほど美味しくはないでしょう(人間にとってはですが。ゾンビがどう思うかは分かりません!)。

人肉


Ancha Baranova(ジョージメーソン大学、システム生物学教授)

私の提案は、本当の人肉を使うことです。そもそも、多くの人が肉を持ちすぎなのです。コレステロールが多いので質感は脳に近いし、個人的にゾンビはコレステロールを求めていると思うので、その意味でも重要です。また、脂肪細胞は様々な成長ホルモンや生理活性なものが豊富に含まれています。もしゾンビに人肉を提供するような装置が生まれたら、普通の人も喜ぶかもしれません。脂肪吸引しなくて良くなるわけですから。

オルガノイド


Richard Williams(ディーキン大学、医療生物テクノロジー科上級講師)

おそらく最良の方法は、幹細胞を使ってオルガノイドと呼ばれる小型の脳を培養することです。これらは脳であって、厳密には脳ではありません。人口的に中枢神経組織を模した3次元環境で培養し、神経細胞のネットワークを構築させるのです。これらは薬や病気の研究に利用されますが、倫理感に厳しいゾンビのためのミートフリースナックとして良いのではないでしょうか。

ヒアルロン酸とアルギン酸ナトリウムとカルシウムから脳の代替品を合成


Tatiana Segura(デューク大学、神経学および生物医学工学部教授)

もし私がベジタリアンなゾンビなら、脳の主成分(炭水化物、タンパク質、細胞)を使って代替を作ろうと思うでしょう。主な炭水化物の成分はヒアルロン酸(多くの美容製品などに含まれ、まとめ買いもできます)で、これ単体では粘性のある液体にしかならず、固形になりませんが、他の固形になりえる材料と合わせることができます。例えば、海藻にはアルギン酸ナトリウムと呼ばれる炭水化物があり、カルシウムと合わせることでゲル状になります。なので、ヒアルロン酸とアルギン酸ナトリウムとカルシウムを複合させると脳に似た感触のものを作ることができます。タンパク質に関しては卵、豆、大豆、そしてキノアのどれでもオーケーです。質感を出すために細かい塊を作るには、混ぜている時にカルシウムを入れると良いでしょう。他の動物を食べても良いなら、基本捨てられてしまう豚の脳が良いと思います。豚の内臓は人間のそれに大きさ的に近く、生理的、生化学的に人間と近いため、移植に使われることもあります。これが一番シンプルなチョイスでしょう。

カリフラワーって小脳に似てません?


Jennifer Brielmaier(ジョージメーソン大学、心理学及び神経科学の准教授)

カリフラワーを食べる時、いつも小脳を思い出すんですよね。これは、メインである大脳の後ろに隠れています。小脳は小さいのですが、脳全体のニューロンの80パーセントは小脳にあるのです! 小脳のニューロン、または灰白質は外側の表面にあります。小脳回と呼ばれる細かいシワの中にニューロンが詰め込まれているのです。小脳回のニューロンは白質と呼ばれる神経繊維でお互いと繋がっています。小脳を半分に切ると、美しく枝分かれしたネットワークのような白質を見ることができ、このネットワークは生命の樹と呼ばれています。これ、本当にカリフラワーに見えるんですよ!

ミルクで作った脳の代替品


Sarah Raskin(トリニティカレッジ、心理学及び神経科学教授)

脳は実は柔らかくてフワフワしています。普段は脳脊髄液に浮かんでおり、この液が緩衝材となることで硬い頭蓋骨から守られています。しかし、頭自体に衝撃がなくても怪我をしてしまうくらい、脳は本当に柔らかいのです。回転や急な加速/減速で十分な力が加われば、脳の先端が頭蓋骨の裏に当たって損傷し、細胞が引き延ばされたり繋がりが切断されてしまいます。これは例えば、交通事故や揺さぶられっ子症候群などで頭が前後に急に揺すられることで起きます。

脳の柔らかさは、私の経験ではゼラチンに最も近いと思います。しかし、ゾンビにオススメしたいのは水ではなくミルクで作ることです。これによって、より脳に近い柔らかさになり、色も脳のように不透明になります。それに、ソンビが求めるタンパク質も手に入ります。ゾンビが店やオンラインショッピングできるなら、ゼラチン用の型も売っています。

他の選択肢は柔らかい豆腐です。これはベジタリアンやヴィーガンなゾンビにオススメです。ただ、タンパク質は豊富ですが、形を作るのは難しいかもしれません。脳の形にするのに必要な運動スキルに優れているという描写がほぼないので、残念ながら豆腐はそのままの形で食べるしかないのかもしれません。

ところで、もし本物の脳のような満足感をどうしても得られないというゾンビがいたら、側頭葉切除のような治療手術に特化した神経外科医になることを考えても良いかもしれません。例えば前述の手術は、側頭葉の小さな一部を取り除くことで難治性てんかんを和らげるものです。これなら、患者を助けながら自分の飢えを癒すこともできるかもしれませんね。

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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