ビートたけしの名言集「『次期北野映画』の“キャスティング会議”」

アサ芸プラス

2020/8/1 17:57


 まったくの運だけでビートたけしの弟子になり、殿の周りをウロチョロするようになって、すでに四半世紀が経つわたくしですが、いまだに毎回ワクワクすることといえば、「次の映画はよ、ちょっとまたヤクザの話をやろうかって思って」といった具合に殿の口から直接、「次期北野映画最新情報」を聞かされる瞬間です。殿は、思いついた映画の構想やアイデアを、惜しげもなくバンバン弟子に語って聞かせてくれます。

で、13年程前、まったく仕事のなかったわたくしを見るに見かねた殿から「お前、ヒマなら俺の映画の台本でも手伝うか?」と、夢のような提案があり、台本作成作業に参加させていただいたことがありました。その時、殿は「よし、じゃーちょっと順番どおりしゃべっていくからよ‥‥」と、映画の最初から最後までのストーリーをかなり細かく、一度休憩を挟みながらも、時間にして約1時間程しゃべりつくしたのです。後日“北野映画専用のボイスレコーダー”で殿のしゃべりを録音した音声を台本にまとめてみると、その台本はすでにほぼ完璧な形で、1時間50分程の映画になっていて、大変驚いたのをよく覚えています。

ちなみにその映画とは、2008年公開、北野映画14作目「アキレスと亀」です。で、次期北野映画のストーリーを、北野武監督から直接聞くワクワクと、漏れなくセットで付いてくるワクワクが、「ほら、あの目がギョロっとした『○○』に出てた役者いたろ? あいつなんか××の役にいいと思ってよ」といった具合に、殿がどの役者をキャスティングするつもりでいるのか、誰よりも早く知れる瞬間だったりします。

以前、殿の中である超大物俳優さんの主役起用をあらかじめ決めて、まるまる1本、台本を作成したことがあったのですが(結局、実現はしませんでした)、その時、脇を固める役者さんを決める“ちょっとしたキャスティング会議”的な雑談があり、ずうずうしいわたくしは「殿、おでん屋のこのオヤジは、○○さんなんかいい感じじゃないですか?」「殿、ホームレスは○○○さんなんてどうでしょう?」と、好き勝手な発言すると、殿は「確かにいい感じだな」「うん、○○さんはいいな!」等々、わたくしがあげたキャスティング案を、どれもこれもかなり好感触で受け止めていたご様子で、実に楽しい時間となったのです。が、最後にある役者さんを推薦した瞬間、「あいつはダメだ。いかにも小さな劇団から上がってきたって感じで、顔が貧乏くせーよ!」と、殿得意の決めつけ発言を炸裂させたのです。それ以降、殿はその役者さんをCMなどで偶然見かけるたびに、

「しかしこいつは顔が貧乏くせーな。昔からよくいるよな。何やらせても達者だけど、どうにも華がないやつ」

と“芝居の実力は認めるが、いかんせん顔が好みでない”といったツッコミを必ず入れる“一度決めつけたら決してぶれない”殿なのでした。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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