蒙古襲来がテーマの海外ゲーム『Ghost of Tsushima』はなぜ大ブレイクしたのか?

日刊SPA!

2020/8/1 08:50

◆PS4最後の大ブレイク? ゲームオブザイヤー筆頭候補!

7月17日に発売されたPS4向けオープンワールドアクションアドベンチャー『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』が大ブレイクを果たしています。

SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の発表によると、発売から3日間で全世界累計実売本数240万本を突破、これはSIEのPS4向け新規タイトルとしては最速とのこと。レビューサイトでも軒並み高評価で、ゲームファンだけでなく一般層にまで浸透しつつあります。下半期をかなり残してはいますが、今年度を代表する「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の筆頭候補に躍り出ました。

それでは、この『ゴースト・オブ・ツシマ』の何がスゴいのか? 3つのポイントにまとめていきましょう。

◆1:海外メーカーなのに和を違和感なく描いている

『ゴースト・オブ・ツシマ』の開発はアメリカのサッカーパンチプロダクションズ。SIE傘下のゲームスタジオで、荒廃した都市を舞台にした超能力アクションアドベンチャー『インファマス』シリーズを手がけています。今回はまさかとも言える和の時代劇オープンワールドアドベンチャー。それだけでも十分な驚きと話題性があります。

時は鎌倉時代の文永の役(1274年)。蒙古軍襲来時の対馬で、大船団に対しおよそ80騎の武士が抵抗するも全滅したという史実を起点に、生き残った侍・境井仁が故郷の民を救うため蒙古軍にひとりで立ち向かっていきます。

従来の海外制作にありがちな違和感ある“日本”ではなく、日本人がプレイしてもしっくりくる和の世界は圧巻。舞台設定もメジャーな戦国時代を避け、「元寇」を選ぶという通好みぶりです。「蒙古襲来絵詞」に描かれた蒙古軍の飛び道具「てつはう」も登場し、史実がしっかりと下敷きになっています。

その上で、江戸時代以降に出来上がったとされる武士道の概念を、この時代に採り入れたのがミソ。侍の美学を描いた時代ファンタジーとしてエンタメ性も豊かです。

キャラクターの動きは、剣豪・柳生宗矩の新陰流の流れを汲むという「天心流」の師範の協力を得て、スタジオでモーションキャプチャーされた本格派。流れるようなキレのいい動きは小気味よさがあります。

ヘンテコ日本ではなく真っ正面から勝負し、和を描き切っているのが、このゲームが賞讃されるひとつの理由です。

◆2:黒澤ばりの映画的表現に目を見張る!

『ゴースト・オブ・ツシマ』は、ビジュアルの美しさも話題となっています。風になびく一面のススキ野原、はらはらと舞い散る紅葉、厳かに神域を示す鳥居……思わず見とれてしまう風景が詰まっています。

ゲーム内での時間帯指定、色補正などができる画面撮影モードも用意され、開発側もフォトジェニックであることを意識した作りとなっています。

また、ゲーム全体に黒澤映画へのリスペクトが溢れているのも好感触。制作者インタビューでは、黒澤映画の影響が大きいことが明かされています。雨のなかの斬り合い、飛び散る血しぶきなどの演出からは、『七人の侍』『用心棒』『椿三十郎』といった名作への深い愛を感じます。

モノクロで粒子が粗い映像で遊べる「黒澤モード」も搭載。これは黒澤プロダクションから正式に名称の使用許諾を得たものだとか。ゲームが進化するにつれ、映画とゲームの境界線は徐々に薄くなりつつありますが、『ゴースト・オブ・ツシマ』は遊べる黒澤映画といっても過言ではないかもしれません。

◆3:上級者も初心者も楽しめるゲーム性!

ゲーム上級者からライトユーザーまで楽しめる懐の深いゲーム性もポイントです。ゲームオーバーになってもペナルティはなくその場からリスタートでき、難易度設定も3段階から選べる親切設計となっています。ゲームに不慣れなユーザーも存分に物語と世界観を楽しむことができます。

主人公の仁は正々堂々と敵に挑む侍スタイルでも、「くない」「煙玉」といった暗具を駆使して敵を闇討ちする隠密スタイルでも戦えます。「受け流しの極意」「連殺」などのスキルを選んで伸ばし、自分が思った主人公像を育成で作れるのも面白いところ。

敵の攻撃を受け流してからスパッと斬る爽快感、「てつはう」で一気に蒙古兵を倒す背徳感、ボスとの一騎打ちの緊張感……。いずれもバランス良くミックスされ、スタイリッシュな時代劇のヒーロー気分に浸れます。やはりゲームである以上、肝心のゲーム部分が面白くなければここまでの評価は得られなかったでしょう。

今年の年末に発売される新ハード・PS5を前に、PS4の集大成として名前が残ることが確実となった『ゴースト・オブ・ツシマ』。今後まだまだセールスは伸びていきそうです。

<文・卯月鮎/写真はHPより引用>

【卯月鮎】

ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ