溢れる井口裕香の「ガルニデ愛」<Tasty Time at Music Crossing Vol.3>tokuがエスコートする暖かく親密な時間

SPICE

2020/7/30 19:00


2020.7.23(Thu)
Streaming+<toku from GARNiDELiA Presents Special Live>
<Tasty Time at Music Crossing Vol.3> toku from GARNiDELiA Guest vocal:井口裕香


7月23日午後6時、GARNiDELiAのtokuがプロデュースするスペシャルライブ〈Tasty Time at MusicCrossing Vol.3〉を観た。実際は無観客生配信ライブだが、なんと贅沢なことにライブの現場を生で目撃する幸運に恵まれた。〈Tasty Time at Music Crossing〉(以下、TTMC)は、tokuのプレイヤー&アレンジャーとしての高いスキルを軸に、ゲストとのトークやカバー曲披露など、GARNiDELiAでは見られないパーソナルな一面をたっぷり楽しめるスペシャルメニュー。

Vol.1のゲストはやなぎなぎ、Vol.2は鈴木このみ、そして今回のゲストは声優・ボーカリストの井口裕香だ。過去にラジオ共演や楽曲提供の縁はあるものの、ライブ共演はこれが初めて。互いに「緊張するー」と言いつつも、現場では開演前からにぎやかな笑い声が聞こえるあたたかいムード。いいライブになりそうだ。

「みなさんこんばんは、TTMC Vol.3です。GARNiDELiAのtokuです。本日のスペシャルゲストをお呼びしたいと思います。井口裕香さんです!」(toku)

オープニングは「Crossing×Crossing」と題されたオリジナルのテーマ曲。早速井口裕香を招き入れると、井口の7年前のデビュー曲「Shining Star-☆-LOVE Letter」へ。原曲の四つ打ちビートのキラキラポップスを、カホーンを軸にしたアコースティック感覚のグルーヴへと変換したアレンジがいきなりかっこいい。メンバー全員の衣装は黒、井口はシックなシースルーのワンピース、tokuはお馴染みの金髪にハット。元から5人編成のバンドのように、何というか、バランスがキマってる。

「いつもTTMCはゆるめにやらせてもらってるので、今回は一段とゆるくやらせてください」(toku)

いきなりのtokuの機材トラブルがあったようだが、慌てず騒がずトークで繋ぐ、これがTTMCのゆる楽しさ。続いて井口オリジナルを2曲、「HELLO to DREAM」はざくざく刻むエレクトリックギターのリズムと共にはつらつと、「キミとボク」はアコースティックギターとふんわりシンセの組み合わせで爽やかに。アダルトなアコースティックグルーヴに、井口のエアリーボイスがよく似合う。歌いながら、ちょっとした指先の動きで感情を表現するアクションが目に残る。だんだんと緊張はほぐれてきたようだ。歌い終わって「いやー緊張しますー」と言いながら自前の携帯扇風機にあたる裕香。ついでにメンバーにも涼風をおすそ分け。ほんとに緊張してる?
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

「井口さんと音楽をやってみたくて、ずーっとずーっと思っていたところ、この機会をいただいて、どうですか?と言ったら快諾していただいて」(toku)

「うれしすぎて断ろうかと思いました(笑)。私はGARNiDELiAの音楽が大好きで、日常で聴いているので、ご一緒できるのはめちゃくちゃうれしいけどめちゃくちゃ緊張するなーと思ったので」(井口)

声優がメインで、いろいろやってる井口さん。「音楽を作る時は何か違う?」というtokuの振りから広がる、興味深い音楽トーク。お互いの作詞のやり方、プロデューサーやミュージシャンとの付き合い方、などなど。「配信だとクレジットを見る機会がないからもったいない」という意見で一致する、二人はやはりピュアな音楽好きだ。

原曲アレンジをがらりと変え、あっと驚くメロディアスなバラードへとメタモルフォーゼした「おなじ空の下で」は、この日最大のサプライズの一つ。そしてtokuから井口への提供曲「変わらない強さ」を目撃できたのは眼福の至り。ゲストの持ち曲をすべてリアレンジして新たな魅力を引き出す、こんなに手間暇かけたライブなのに、一歩下がってまるで「俺が俺が」を見せないスマートなtoku。男前だ。
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

ギター、梶原健生。ドラム、パーカッション、早川誠一郎。そしてソーシャルディスタンスを守ってステージからはみ出してるベース、セキタヒロシ。「変わらない強さ」の録音メンバーがそのまま演奏してるのだから、素晴らしいのが当たり前だ。トークのノリもどんどんスムーズに、5年前のラジオでの出会いから現在に至るまで、井口のガルニデ愛を語る言葉が止まらない。

「ガルニデにどれだけ支えられてきたか。曲の主人公になった気持ちになれる。自分の経験じゃないのに、曲を聴いてる時は主人公になれるんです」(井口)
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

そして歌われたGARNiDELiAの2曲、「Gravity」「further」の手に汗握る熱唱を、なんと言葉にすればいいだろう。強烈にヘヴィなロックテイストの「Gravity」の、飛び回るメロディ、ファルセット、スリリングな譜割りを、全身でリズムを取りながら完璧にトレースしてゆく井口。一転してドラマチックな壮大バラード「further」では、もの悲しい低音から神々しいハイトーンまで、堂々と歌い上げる井口。こんな井口見たことない。tokuも気持ちの入ったコーラスを添える。間違いなく、この日最高の名場面。「最高です」とほめたたえるtokuに、「うれしい。もう今日のやることは終わった(笑)」と笑う井口。気持ちわかる。

「今日のセトリをメイリアにも見せたんだけど、“すごい、うれしい”と言ってた。“これは本当にガルニデ愛だね”って」(toku)

最大の難所?を乗り越えてほっとしたのか、トークは続くよどこまでも。自粛期間の過ごし方の話が脱線し、井口の「みなさん今行きたいところはありますか?」という突然の振りに、早川はハワイ、梶原はスーパー銭湯、セキタは新宿に飲みに行きたいと答えてひと盛り上がり。tokuは「リングフィットアドベンチャー」にハマってヨガマットを買ったらしい。井口は最近、愛犬のトリミングのために車を運転する、犬のドライバーになっているらしい。くだけた話にまぎれて「こういうエンタテインメントのおかげでみんな頑張ろうと思ってるんですよね」と、井口がいいことを言った。そう、音楽やアニメやエンタメには力がある。行動は自粛しても心ときめく楽しさに自粛はない。
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

「ここからはくだけた感じで、遊び場というか、カバーをやりたいと思います」

あえてタイトルコールをせずに演奏が始まり、♪君とのラブストーリー、それは予想通り、と井口が歌いだす。おお、「Pretender」だ。現代J-POPを代表するメガヒットを、まるでバンド始めたてのキッズのようにフレッシュに演奏してる。tokuも思い切り歌ってる。〈TTMC〉には、ミュージシャンとしての初心を確かめる意図もあるのかもしれない。みんなすごく楽しそうだ。

井口裕香、4年ぶり3枚目のニューアルバム『Clearly』、8月12日リリース。「爽やかな透明感あふれるアルバムです」(井口)という自信作から、ここでなんと新曲を初公開だ。livetuneのkzが手掛けた「アクアステップ」を、ぐっとテンポを落としてバラード風に仕立て直し、透明感とみずみずしさをトッピング。tokuならではのアレンジセンスを見せつけつつ、アルバムバージョンへの期待を高める心憎い演出。

「画面の向こうのみなさんも、最後なので一緒に盛り上がってください。ジャンプするもよし、光るやつを用意するもよし。みなさん今日は本当にありがとうございました!」

ラストチューンは、疾走感と元気いっぱいの「Grow Slowly」。無観客などすっかり忘れ、軽快にステップを踏みながらこぶしを振り上げ煽る井口と、ポーカーフェイスながら笑みを隠し切れないtoku。メンバーの一体感と信頼感は、画面の向こう側のリスナーにもきっと伝わったはずだ。全10曲で1時間40分、意外な選曲も新たな発見もおもしろトークも満載で、井口裕香とGARNiDELiAの双方のファンも楽しめる幸せなひととき。次回の〈Tasty Time at Music rossing Vol.4〉はangelaのatsukoをゲストに迎え、9月22日に開催されることも発表された。タイトル通り、様々な音楽がクロスするおいしい時間が、今から待ち遠しい。
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

(終演後インタビュー)
――ライブ終わりたてほやほやの二人に来てもらいました。今日の感想をお願いします。

toku:今まではお客さんを入れたライブだったんですけども、今回は配信ライブという形でやってみました。やっぱり音楽をやる場所がどんどん減ってしまうことはつらかったので、こういう形でちゃんとできたことはすごく良かったなと思っていて、さらに僕が大好きな井口裕香さんをゲストに迎えることができて、僕としては本当にいい1日になったと思っています。ありがとうございます。

井口:いやーもう本当に、本当に今日の日をすごく楽しみにしていたので。終わって寂しいような、ほっとしたような、とにかく緊張した1時間半でした。いや、歌の時間だけ緊張してトークの時間は楽しかったので、緊張1時間楽しさ30分です(笑)。

――落差がすごかったです(笑)。

井口:ステージ上でもくどいぐらいに何度も言ってましたけど、GARNiDELiAさんの音楽が本当に好きで、ライブも見に行っていたので、GARNiDELiAの音楽を作っているtokuさんとバンドのみなさんと一緒にステージに立てるのは夢のような時間だったので、めちゃくちゃに緊張しましたけど楽しかったです。

――相思相愛感半端なかったです。tokuさん、井口さんと「ずっと一緒にやりたかった」と言ってましたけど、その理由は?

toku:たぶん今日のステージを見ていてみなさんも感じられたと思うんですけど、いろんな面がすごく表現豊かというか、そんな人に自分が書いた楽曲を歌ってもらうことはすごくうれしいことで。たとえば激しい曲もバラードも、ちゃんとその声色で歌い分けてくれたりとか、やっぱり表現者あっての作曲家の思いがあるので、そこをちゃんと表現してくれるであろうと僕はずっと信じていて、井口さんとこうしてお手合わせできたことは本当にうれしいなと思います。

――GARNiDELiA曲も歌いましたけど、井口さんに何点差し上げましょうか。

toku:控えめに言って、満点じゃないですか。

井口:いやだいやだ! そんなの絶対ない!

toku:素敵でした。

井口:「好き」と「歌える」は違うんです。でも本当にあらためて好きになりました。

――メロディの飛び方とか、めちゃムズイでしょう。

井口:めちゃムズイ! あらためて検索して、メイリアさんも、アルバムを作ったタイミングで「めちゃ難しい曲が来た」と言ってて。メイリアさんがそう言うんだったら、なんで私はこの曲を歌いたいと言ってしまったんだろうと(笑)。

toku:惹かれるものがあったんですか。

井口:うん。どの曲も好きだけど、繰り返し聴いている曲ということで。

toku:普段から聴いていただいているということを、公言してくれるのが本当にうれしくて。僕はツイッターのエゴサーチをけっこうするんで、そういった時に井口さんの名前が必ず出てくるから。本当にありがたい。

井口:「further」は、最初、tokuさんのピアノだけでやりたいって言ったんです。だから序盤はそういうアレンジにしてくれたんですけど。曲の中で♪古いピアノがそっと、のところで入ってくるピアノの音がすごい好きで、それを私もやりたい!と思ったんですけど、修業が足りなかったです(笑)。でも楽しかったです。貴重な経験でした。

――逆にtokuさんは、井口さん曲を大胆にリアレンジしたりして。tokuさんには何点あげますか。

井口:いやもう、80億点!! 特に後半で歌った「アクアステップ」という楽曲は、アルバム曲で、フル歌唱は今日が初で、だけどtokuさんバージョンがすごいスペシャルだなと思ったし、終わったあとのみんなのコメントを見てたら、「これもアルバムに入れてほしい」という人がいっぱいいて。こういうアレンジの仕方があるのか!と思って、素敵だなと思いました。うれしかったです。

――贅沢なひと時でした。そして〈TTMC〉はまだまだ続きます。今後については?

toku:普通にオケを流して歌うよりは、生で演奏するライブ感とか、アレンジが変わっていたりとか、音楽の演奏者側の楽しみ方も、見ているみなさんと共有できたらいいなというのがあるし、ちゃんとお客さんを入れてのライブがなかなかできない中では、こういう形での楽しみ方も一つあるなと思っていて。これがVol.4、5と続いていったらいいなと思うんですけど、本当はお客さんの前で演奏することが理想ではあるので、いつかまたそれができるようになったら、再度井口さんにも出ていただきたいと思います。

井口:ぎょっ!

toku:いろんな音楽の楽しみ方を、いろんな人とやっていけたらいいなというのが、〈Crossing〉というもともとのテーマだったりするので。ずっと楽しんでいける場所を作っていきたいなと思ってます。
撮影:福岡諒祠
撮影:福岡諒祠

インタビュー・文:宮本英雄 撮影:福岡諒祠

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