初心者ランナーの8割にトラブル発生。「ヒザが壊れる走り方」をプロが警告

日刊SPA!

2020/7/30 15:50

 外出自粛に伴う運動不足解消のため、ランニングを始めた人が急増した2020年。しかし、初心者ランナーの実に8割が何らかの痛みを抱えているという。スポーツ用サポーターやテーピングなどを展開する「ピップ プロ・フィッツ」テーピングインストラクターの丸山里夏氏は「当社でTwitterを通じて300人を超える市民ランナーにアンケートを実施したところ、『初心者ランナーのときに痛みを抱えた経験がある』と回答した人が79.2%もいました」と明かす。

「さらに『痛みを感じた部位』について聞いたところ、『ヒザ』と回答した人が57%と、他を引き離してダントツに多かったんです」

初心者が陥りがちなヒザの痛み。果たしてどういったメカニズムで発生してしまうのか。

「まずヒザの構造から説明すると、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)が結合する部分が『膝関節』。ただし、骨同士がくっついているわけではなく、筋肉によってつながっています。その骨同士を結合している筋肉が『靭帯』です」

筋肉によって骨と骨とを結合し、関節を形成する「つなぎ目」こそ“悲鳴”を上げることの多い部位とのこと。

「ヒザの痛みは、この膝関節を支えている靭帯が引っ張られたり、骨と擦れたりして炎症が起きることで生じます。ヒザの靭帯はランニングに伴う屈伸運動や地面からの衝撃で負荷がかかりやすいので、ランニングを始める際にはぜひ覚えていていただきたいです」

ひと口に「ヒザの靭帯」といっても1箇所ではない。主なヒザの症状は下記の3箇所が挙げられるという。

<主なヒザの症状>

・腸脛靭帯炎(ランナーズニー)……ヒザの外側の靭帯(腸脛靭帯)の炎症

・膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)……膝蓋骨(ヒザのお皿)をつなぐ靭帯(膝蓋靭帯)の炎症

・鵞足炎……ヒザの内側の靭帯(鵞足部)の炎症

◆ヒザの痛みの原因となっているのは?

それでは靭帯の炎症が生じる主たる原因は何なのか。マラソン大会などで多くの市民ランナーにテーピング指導をしている丸山氏が指摘するのは3つの原因だ。

1.オーバーワーク

ダイエット目的など、短期間で効果を得たいと思っている人ほど、走る時間を最初から長く設定してしまう傾向があります。しかし、運動習慣がなかった人はもともとの筋力が落ちているので、それだけの運動に筋肉がついていけません。骨と骨をつなぐ筋肉が弱っているため、膝関節の靭帯にダイレクトに衝撃がかかってしまうのです」

2.かかと着地(ヒールストライク)

「子どもの頃に学校の体育で走るとき、足を前に突き出して走っていませんでしたか? 速く走ろうとストライドを広く取ると、上体より足が前に出て『かかと着地』になります。でも、実はこのフォームはヒザへの衝撃を受けやすく、長く走るには不向き。ランニングシューズが進化した今日ではなかなか自覚しにくいのですが、ハダシで走ることをイメージしてみれば、その衝撃がわかると思います」

3.アフターケア不足

「走った直後の筋肉や靭帯は熱を持っています。熱があるということは、すでに炎症を起こしている状態で、なるべく早く回復させてあげる必要があります。ストレッチが大事なのはいうまでもありませんが、靭帯には筋肉のような柔軟性がなく、伸びにくいという性質があるため、実は普通のストレッチだけでは回復がしにくいのです」

プロが指摘するヒザの痛みの「3大原因」。久々にランニングシューズを履いたという人は、当てはまる項目がきっとあるのではないだろうか。

◆初心者こそ特に注意すべきランニングの注意点

では、初心者ランナーのどういった点に留意してランニングを行うべきなのか。すぐに取り組める基礎的なポイントとして丸山氏は下記の3点を挙げる。

1.走るのは20~30分から。歩いてもOK!

「最初のうちは、1時間も走る必要はありません。まずは20~30分のランニングから始めてみましょう。走る速さ(運動強度)も、走りながら会話ができる程度でかまいません。そのほうがかえって脂肪の燃焼効率も高まります。運動が久しぶりという方はランニングではなくウォーキングから始めて、だんだんと運動強度を上げていくのもおすすめです」

2.「地面に対してまっすぐ」のフォームで走る

「頭と腰と足が一直線になるのが理想のフォームです。足を前に出そうとしなくてよいので、姿勢をまっすぐ保ちながら、重心の真下をめがけて足を降ろします。地面を『蹴る』というよりは『押す』。ちょうど着地したときに足の真上に頭があるようなイメージですね。走る前にまずは家の鏡などでフォームをチェックしてみてください」

3.初心者こそ、走った直後の「アイシング」を行う

「回復がしにくい靭帯の炎症を鎮めるには、患部を集中的に冷やす『アイシング』が効果的。アイシングは走った直後に行います。具体的な目安はだいたい15~20分。患部の神経の感覚がなくなるまでじっくり冷やすのがポイントです。アスリートが実践しているイメージが強いアイシングですが、筋力が弱っている初心者ランナーこそ、アフターケアに取り入れてみてください。ランニング後に汗を流すため、銭湯に行くという方は全身をまんべんなく冷やすことができる水風呂で代用するという方法もあります」

「昔は動けていたのに……」と遠い目をしてみてもカラダは正直だ。適正な運動量。正しいフォーム。アフターケア――いずれも共通しているのは「自分のカラダを知る」ということ。それこそが初心者ランナーが長く、健康的にランニングを楽しむポイントといえそうだ。

【堀尾大悟】

会社員兼業ライター。元埼玉県庁。行政、ビジネス、スポーツが得意分野。これまでの担当記事はnoteから

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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