医療従事者たちの「地獄の夏休み」。激務薄給、我慢の限界……

日刊SPA!

2020/7/30 08:52

 本来であれば「いよいよ夏休みだ」などと言って浮かれ気分に浸れたこの時期だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大、そしてその第二波が押し寄せている影響を受けて、気分が晴れない。本当は友人と海外旅行に行く予定だった、家族と沖縄に遊びに行くはずだった、などという知人たちも「仕方がないから近場に一泊」「日帰りで遊園地にでも」とぼやいている。

いや、その程度ならマシな方かもしれない。都内の総合病院勤務の看護師・澤田真理子さん(45歳・仮名)が、「地獄の夏休み」が始まったとうったえる。

◆医療従事者たちの「地獄の夏休み」

「夏休みなんてありません。それどころか、2月から7月までほぼ休みがなかったんです。私の場合、週の4日を勤務にして、その間は病院の近くのホテルに宿泊するので、自宅にも帰れない。小学生の2人の子どもは、自宅に夫の両親にきてもらい、面倒を見てもらっています。政治家は認めませんが、すでに第二波は来ている。病院としても全員体制で望むしかなく、感染予防のためには自宅に帰ることを控えようと考えています。子どもには酷ですが……」(澤田さん、以下同)

澤田さん宅、実は夫も別の総合病院に勤務する放射線技師で、夫婦どちらも医療従事者だ。マスコミで「医療従事者やその家族が差別される」などと報じられると、小学生の子どもたちも、学校に行きたがらなくなったという。

「私が看護師であることを、子どもの友達も知っていますから、不安げに『ママは大丈夫?』と聞かれたことはありますが、学校では差別やいじめなどはありませんでした。ただ、私たちの仕事をとても気にしているのはわかる。せめて、少しでも長く一緒に過ごしてあげたいのに、旅行はおろか、週末に自宅で一緒に過ごすこともできなくなるかもしれない。祖父母にも負担をかけっぱなしで、本当に申し訳ない」

◆少ない給料で休みなく働き…我慢の限界

神奈川県内の某市、新型コロナウイルス罹患者を受け入れている総合病院勤務の看護師・中村容子さん(仮名・30代)もまた、地獄の夏休みを過ごすことになると言って憚らない。

「コロナの影響で、コロナ以外の理由で病院へ来られる患者さんが激減。病院の主な収入となる“診療報酬”は、うちの病院で前年比の4割程度で、夏のボーナスがカットされました。それだけじゃない、来月からの給与についても、一部見直すとの通達がありました。若い看護師たちは、コロナ対応で休みなく働いて、手取りは20万円ほど。私も25万円ほどですが、コロナ対応に対する手当など一切ない」(中村さん、以下同)

実は、緊急事態宣言明けの6月中旬ごろ、中村さんの病院には、酒の飲み過ぎにより救急車で運ばれてくる患者が増えていた。最近では、川や山などで遊んでいて怪我をした、という搬送者も増加傾向にあるというが……。

「コロナで大変な時に……と、対応するのが億劫になります。私たちは、少ない給料で休みなく働いて。医療従事者なんだから当たり前だろ、と心ないことを言われる方もいますが、冗談じゃない。最低限以上の生活ができていなければ、他人に愛をもって接すことなど、なかなかできません。一般の方々が休みだ旅行だと仰っているのを見て、そろそろ我慢の限界です。うちの病院でも、夏休みまで我慢して退職しようという同僚がちらほら出始めています」

「地獄の夏休み」明けに、医療従事者がごっそりいなくなっている……なんてことがないよう、彼ら、彼女らへの手厚い補償が待たれる。<取材・文/森原ドンタコス>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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