人気イラストレーターでありVTuberとしても人気のしぐれうい「私は裏方だからという気持ちもあった」

エキレビ!



イラストレーターとしてさまざまな媒体で活躍すると同時に、YouTubeチャンネルの登録者数が24万人を越える女子高生VTuberとしても活躍している、しぐれうい。

企業に属さない個人勢ながらVTuber界でもトップクラスの人気を誇り、2020年7月23日(木)~8月10日(月)には、AKIHABARAゲーマーズ本店で、オリジナルグッズの先行販売などを行うポップアップストアの開催も決定。8月26日(水)には、初めての商業画集『雨に恋う』の発売も決定している。

エキレビ!では、テレビアニメのキャラクターデザインなど、さらに活躍の幅を広げ続ける神絵師VTuberにインタビュー。この前編では、イラストレーターとしての活動や、自身がVTuberデビューするきっかけにもなった“娘”の大空スバルとの関係などを語ってもらった。

ライトノベルのイラストを描く仕事があると知り、美大を目指した
──幼い頃から絵を描くのは好きだったのですか?

しぐれ はい。母親が絵を描くのが上手な人で、遊びの一環として一緒に絵を描いてくれていたのが、絵を好きになった始まりです。漫画やアニメを好きになるよりもっと小さい頃だったので、何かのキャラクターとかではなく、母の描いた女の子の絵をそのまま真似して描いたりしていました。

──子供の頃から、将来はイラストレーターなどの絵を描く仕事に就きたいと思っていたのですか?

しぐれ 小学6年生の時、卒業文集の「将来なりたい職業」の項目に「画家」と書いたんです。でも、それは何を書くか悩んだ末に、絵を描く仕事があるらしいとクラスの子から聞いて書いただけで、どんなお仕事なのはよく分かっていませんでした(笑)。その後、中学生くらいの時、ライトノベルのイラストを描くお仕事があると知り、美大を目指し始めました。



──大学在学中に『まんがタイムきららミラク』の『かんきつパンチ!』で漫画家デビューもされていますが、イラストレーターとしては、それ以前から活動していたのですか?

しぐれ 私、(卒業後に)就職するか、フリーランスになるか、どちらの道にいくかを選べるように、両方の選択肢を作っておきたかったんです。だから、在学中から仕事の実績をたくさん積んでおきたいと思って、単発のカードイラストのお仕事などをやっていました。

──卒業後はゲーム会社に就職するという進路を選ばれたそうですが、当時からゲームは好きだったのですか?

しぐれ 実は子供の頃からゲームをあまりやってこなかったので、ゲームには全然詳しくなかったんです(笑)。先ほどもお話ししたとおり、卒業後の進路の選択肢は就職かフリーランスかだったのですが、周りの友達はみんな就職する感じの学部だったのと、(私は)あまりに未熟だったのでフリーランスは今じゃなくてもいいのかもな、と思い、「私も一応就職するか」みたいなノリで就職することに決めました。でも、私のテイストのイラストを仕事にできる企業はゲーム会社しかなくて。「運命的に見つけた会社だし、イラストレーターを募集しているし、ここにしよう!」という感じで就職しました。

──現在はフリーのイラストレーターとして大活躍されており、中学生の時に夢見たというライトノベルの挿絵も数多くの作品で担当されています。6月に第4巻が発売された電撃文庫の『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』(通称『おさまけ』)は、第1巻の発売時から大人気の作品ですが、1巻の挿絵の依頼があった時の率直な感想を教えてください。

しぐれ ライトノベルのお仕事はだいたいそうなのですが、最初は編集者さんから、あらすじ程度の資料が送られてきて、「どうですか?」みたいな形でご依頼がありました。実は『おさまけ』の場合、その時についていたタイトルは、今のタイトルとは全然違っていて、復讐がテーマの作品っぽい、もっとダークな感じだったんです。ラブコメなのに復讐がテーマで心理戦をするようなお話というのはその時から変わってないのですが、私も心理戦やミステリーが好きなので面白そうだなと思って、「ぜひ」とお返事しました。

自分の描いたキャラに声が付くことで、解像度がより高くなった
──これまでに発表された『おさまけ』のイラストの中で、特にお気に入りの作品はありますか?



しぐれ やはり、1巻の表紙のイラストです。ラノベの表紙って、女の子一人の絵が多いんですけれど、今回はシチュエーション重視でというオーダーがあって、珍しくヒロインがこっちを見てないんですよ。完全に読者の方を見ていない構図はチャレンジングでしたが、やってみたら、けっこう良い感じになったかなって。

──『おさまけ』は、人気声優の水瀬いのりさん、佐倉綾音さん、大西沙織さんがヒロインたちの声を演じるTVCMやPVも制作されています(ナレーションは稲田徹さんが担当)。ご自身の描いたキャラクターに魅力的な声が付いたことへの感想を教えてください。

しぐれ 自分の描いたキャラクターに声が付くのは、第三者によって新しくキャラクターが生まれるみたいな感じがあって、すごく嬉しかったし、不思議な気持ちもありました。キャラクターの解像度がより高くなったというか……。思い描いていた黒羽や白草たちって、こんな感じだよなと、さらにイメージが固まりました。

──アニメ化など今後の展開に期待している読者も多い作品だと思います。しぐれさんも同じような気持ちですか?

しぐれ 『おさまけ』に関してはいろいろと盛り上がり過ぎて、もはや夢見心地みたいなところもあります(笑)。それでも、さらにアニメ化とかの展開があったとしたら、もちろん嬉しいです。

──アニメと言えば、しぐれさんは、2020年放送予定の『WIXOSS DIVA (A) LIVE』でキャラクターデザインを担当しています。アニメのキャラクターデザインという仕事に対して、憧れなどはありましたか?

しぐれ 中学生くらいからずっとオタクなので、自分がずっと観ていたアニメという媒体で自分の絵が動くことは昔からの夢でした。夢が叶ったなって気持ちです。



──今はアニメのスタッフ陣が鋭意制作中という状況かなと思うのですが、心境を教えてください。

しぐれ 自分のデザインしたキャラクターがアニメになって動くのは初めての体験で、まだ映像とかは拝見してないんですけれど、楽しみな気持ちで胸がいっぱいです。

──キャラクターデザイン原案という形にはなりますが、同人音楽サークル「森羅万象」のオリジナル曲『キラメキ居残り大戦争』のMVでも、しぐれさんのデザインした女の子(運動ちゃん&文化ちゃん)が可愛く動いていました。商業アニメのOPやEDにも負けないクオリティの映像ですよね。

しぐれ 実は私、MVが作られていることを全然知らなくて。「こんなのを作りました!」って共有していただいた時には、あまりに凄すぎてビックリしちゃいました。しかも、私が描いた(CDジャケット用イラストの)キャラをすごく可愛くデフォルメして、(アニメ用のデザインに)落とし込んでくださっていて。私の絵だけれど私の絵ではないという謎の可愛さと感動があり、第三者に自分のキャラデザが渡ると、他の方が解釈してくださった魅力をさらに上乗せしていただけるんだなと感じました。

──MVの監督(鑓田氏と共同)、キャラデザ、コンテなどを担当しているががめさんもVTuberが大好きなクリエイターで、ファンアートや動画も投稿されていますよね。

しぐれ (周防)パトラさんの動画の方ですよね! 実はニコニコ動画で昔から作品を拝見していた方なので嬉しい&びっくりしつつ、世界は狭いなって思いました(笑)。

スバルはダウナー系の少年っぽい子なのかなと想像していた
──しぐれさんは、人気VTuberグループ、ホロライブの大空スバルさんの公式イラストレーター、いわゆる“ママ”でもありますが、スバルさんがデビューする前からVTuberは好きだったのですか?

しぐれ 観ていたのは動画勢と言われるVTuberさんばかりで、(キズナ)アイちゃんとか、(輝夜)月ちゃんとか、(電脳少女)シロちゃんとかを観ていました。当時はVTuberさんが生配信をしていること自体、まったく知らなくて。スバルをきっかけに、生配信をしているVTuberさんも観るようになりました。

──イラストやキャラクターデザインの作業と、VTuberのママになることでは、工程や感覚的に異なるところも多かったですか?

しぐれ だいぶ違いましたね。最初は「こういう風に描いてください」みたいな指定はあまり無くて。私が描いたものに対して「もうちょっとこういう方が……」といった指摘をもらいながら、一緒に作っていった感じなので。

──初期衣装をデザインした時は、まだスバルさんと直接コンタクトを取ったことがなくて、ホロライブの運営会社カバー(株)の谷郷代表取締役社長とやり取りしていたそうですね。

しぐれ はい。スバルが谷郷さんに要望を伝えて、谷郷さんがそれを私に伝えてくださっていたのだと思います。



──そのやり取りによって、最初にしぐれさんが描いたデザインからは大きく変わっていったのですか?

しぐれ 実はけっこう変わっているんですよ。だから、よりスバルらしいデザインになっていったと思います。

──スバルさんの初期衣装の色使いは斬新で非常にキャッチーですが、色の組み合わせとしてはバランスがとても難しそうです。

しぐれ そうなんです! 実は私ではなく、スバルが選んだ色なのですが、めちゃくちゃ難しくて……。「まとめられないよ~」って悩みながら描きました(笑)。たしか本当は、「この色が良いです」みたいな感じで5、6色くらいのカラーチャート(色見本)が送られてきたのですが、さすがにそれは無理だよと思って。「その色を全部使ったら、(『トイ・ストーリー』の)バズ・ライトイヤーになるから止めた方が良いですよ」って真剣にアドバイスした記憶があります(笑)。まあ、後から考えたら、スバルは単に賑やかな色が好きだっただけだと思うんですけれど。

──アドバイスを受け入れてもらえて良かったですね(笑)。では、スバルさんの初配信を観た時の感想を教えてください。

しぐれ 性別不祥とは聞いていたので、ダウナー系の少年っぽい子なのかなと想像していたら、まったく真逆の方向で「あ、元気な子なんだ!」って(笑)。想像以上にテンションが高くて、ちょっとびっくりしちゃいました。

──派手な色使いの衣装も似合う元気さですよね。

しぐれ そうそう。これだけ元気な子なら、カラフルな色が好きだろうなって思いました(笑)。

VTuberデビューは完全にノリ。「スバルが言うなら」みたいな(笑)
──しぐれさんとスバルさんは、VTuberファンの間でも仲良し親子として有名ですが、しぐれさんの思う「VTuber大空スバル」の魅力を教えてください。

しぐれ 観ていて元気になれるところですね。あとはスバル自身、配信者としてすごく意識が高いというか、エンタメを作っているという意識がとても強いので、こだわりもすごいんです。そういうクリエイターっぽいところも尊敬しています。



──お二人が一緒に配信する時、スバルさんが「母ちゃんは取れ高をすごく気にする」「配信者としての意識が高い」などとよく言ってますが、しぐれさんからすると「スバルの方こそ」という感覚なのですね。

しぐれ はい。むしろ私は、生配信のVTuberをスバルから知ったので、生配信ってそういうものだと思っていたんですよ。でも、必ずしもそうではないんですよね。スバルの配信みたいに面白くて絶対に笑っちゃうような配信だけでなく、可愛いお話をしている癒し枠とかもありますし。いろいろな配信があってもいいんだということは後から知った感じでした。

──最近のスバルさんは、二次創作が原因で「オチの無い話を許さないキャラ」という扱いもされています(笑)。

しぐれ (二次創作で)後輩さんたちに「で、オチは?」って圧をかけるキャラになってますよね(笑)。実際にはそんなこと無いんですけれど。でも、スバル自身の配信に関しては、絶対にオチを付けるんだという強い意志を感じます。

──では、配信者としての魅力以外に、スバ友(大空スバルリスナーの愛称)もあまり知らないであろうスバルさんの魅力があれば教えてください。

しぐれ どうだろう……スバルって表裏が本当に無い子で。配信外でも、ずっとあんな感じなんですよ(笑)。元気で楽しくて、話していると私も元気になります。あ、意外なところ……でもないのですが、リスナーさんのことをすごくよく覚えていて。「あのリスナーさん、受験どうなったかなあ」とか気にしていた時は、リスナーさんのことを本当によく見ていて大切にしているんだなって思いました。配信でもスパチャ読み(投げ銭を送ってくれた人へのお礼を伝える時間)の時、「いつもありがとう!」とか、「初めましてですね」とか言ってるので、スバ友さんもご存じのことかもしれないんですけど。

──しぐれさんは、スバルさんに誘われる形でVTuberとしての活動を始めようと決意したそうですが。スバルさんに誘われてからVTuberデビューの準備を始めるまで、迷いはまったくなかったのですか?

しぐれ 完全にノリでしたね。「スバルが言うならやるか!」みたいな(笑)。逆に、何かの理由が無いと絶対にやらなかったと思います。一時期、イラストレーター界隈でバ美肉(バーチャル美少女になること)が流行ったんですけれど、その時には「私は裏方のイラストレーターだから」という気持ちがあって。VTuberを始める前、スバルの配信に何度かゲストとして呼んでもらった時も、やっぱり裏方は裏方らしくしておくべきじゃないかなって、ちょっと思っていました。でも、そういう話をスバルにしたら、「そんなことは気にせず好きにやれば良いし、スバルは母ちゃんに(VTuberになって)動いて欲しいから、動いてよ」と言われて、「じゃあ、やるか!」って。何か免罪符を得たような気持ちになって、そこからは真っ直ぐに準備を始めました。
(丸本大輔)

※インタビュー後編はこちら

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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