「GACKTの歌を聴きたい」マルチな活躍を繰り広げるインフルエンサー その本領とは?

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ミュージシャン、俳優、プロデューサー、ビジネスマン……と幅広く活躍去る7月4日、47歳の誕生日を祝し『GACKTと一緒に!日本一豪華なリモートバースデー!!』と題した生配信を行ったGACKT。毎年盛大な誕生日イベントを開催しており、そのレポート取材を継続的に行ってきたのだが、本年は新型コロナウイルス感染症の影響で実際に大勢が集うことは不可能に。

居を構えるマレーシアから主役GACKTがそもそも帰国できないため、ゲストがリモート参加及びメッセージ出演するリレー式オンラインパーティーとして執り行われた。YOSHIKI、HYDEを筆頭としたミュージシャン仲間はもちろん、小林幸子やお笑い芸人など顔触れは多彩。例年以上にGACKTの人脈の広さを実感するラインナップだった。

元旦恒例となった『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系列)で連勝し“一流芸能人”の座を不動のものとしているほか、昨今はマレーシアの豪邸での暮らしぶりをテレビで目にすることも多い。『がくちゃん GACKT official YouTube』での発信や、Instagramを活用したファンとのコミュニケーション強化など、テレビ以外での発信にもいち早く取り組んできた。

全世代にわたり極めて高い認知度を誇り、ミュージシャンとしてのみならず、広く表現者、プロデューサー、ビジネスマンとしても活躍。しかし、音楽作品のリリースごとに取材を重ねてきた者としては、稀代の歌い手であるという核を見落とさないようにしたい、と常々思ってきた。

2019年にはソロデビュー20周年を迎え、パシフィコ横浜で行われたプレミアムバースデー公演のラスト、この日のコンセプトを全国ツアー化する、と発表。2020年は、心待ちにしていた音楽家としてのライブ活動が4年ぶりに本格化する、と喜んでいたところへコロナ禍が直撃。

『GACKT 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2020 KHAOS』の福岡でのファイナル公演は、政府による自粛要請を受け、延期に。それはあまりに残念な出来事だったが、「必ず帰ってくる」とGACKTは発信。未完のツアー映像はすでにパッケージ化され、ファンの手に届き始めている。

幅広い声色と豊かな表現力とで歌いこなす、正真正銘の実力者1995年、クラシックとロックとを融合させたドラマティックな音楽性、装飾的かつ耽美な世界観を確立し人気を誇るMALICE MIZERに、GACKTは二代目ヴォーカリストとして加入。1999年の脱退後、ソロアーティストとして始動。48枚のシングルと19枚のアルバムをリリースし、男性ソロアーティストシングルトップ10入り連続記録を保持している。

圧倒的な声量、激しいロックナンバーで聴かせる凄みのある低音、腹の底から放たれる鋭いシャウトから、哀切を帯びたバラードで響かせる柔らかいファルセット、艶やかなシルキーヴォイスまで、幅広い声色と豊かな表現力とで歌いこなす、正真正銘の実力者である。

2007年のNHK大河ドラマ『風林火山』の上杉謙信役で高い評価を受けるなど、俳優としても活躍。2019年、大きな話題となった映画『翔んで埼玉』の麻実麗はGACKTにしかできない役どころだったと言える。浮世離れしたキャラクターで人々に親しまれ、ある種の虚構性を内包するGACKTが演じ肉体を与えることで、架空の人物にリアリティーが生まれていたのは不思議な現象だった。



2010年に初出演にして主演を務めた『眠狂四郎無頼控』以降、舞台にも注力。平安末期を舞台に壮大なストーリーを描く『MOONSAGA-義経秘伝-』シリーズでは原作、脚本、演出、主演を担った。シリアスな表現に邁進する一方で、『神威♂学園』では「本気の遊び」をコンセプトに大騒ぎ。GACKTをリスペクトする“性”徒会長が繰り広げる“楽”園祭という設定で、制服コスプレに身を固め、音楽あり、演劇あり、羽目を外した笑いありのバラエティー・ショーを展開してきた。

こうして一部を挙げただけでも活動は幅広く、一つ一つが濃密。取材者も真剣勝負で臨み、著しいカロリー消費を覚悟する必要がある。



胸を打つGACKTの歌声の源にあるものそんな多才な表現者であるGACKTの歌唱に感じる迫力、胸を打つ歌声の源には何があるのか? プロとして磨き上げられた技術は言うまでもないが、人に対する念のような、強い気持ちの存在を思うのだった。

根拠は些細なことばかりだが、例えば、取材現場に現われた彼は必ず「よろしく」とスタッフ一人一人に語り掛け、笑みを浮かべ固い握手を交わす。慣例的な挨拶というよりは、「よろしく頼むよ」と相手の心に向かって強く念じるように。チームでいいものをつくろうとする気迫が伝わってくるようで、身が引き締まる想いがした。

目が光に弱いと公言し、室内でもほぼサングラス着用。表情が読み取りづらいので、インタビュアーとしては不安要素となるのだが、取材は基本的に穏やかに進行した。たっぷりと間(ま)を取る独特の語りのテンポ感、真顔でふと挟み込まれるジョークによく笑った。

取材のために訪れたオフィスでは、用意してあった手元の質問表がムード満点のブラックライトで全く読めず動揺、プチパニックに陥ったことも懐かしい思い出だ。

楽曲についてのインタビューであっても、未来を担う子どもたちへの想いをよく語っていたのも印象深い。2006年からは全国の中学校、高校の卒業式にサプライズ登場し、「野に咲く花のように」を披露し続けている。今年はコロナ禍で叶わなかったものの、『MUSIC STATION』で同曲を披露、エールを届けた。これまでの誕生日イベントでは、自分を祝うために集まった人々の姿に目を細める、心底うれしそうな笑顔が脳裏に焼き付いている。



GACKTは稀有な“言葉の人”である少しマニアックなライター視点で気付いたGACKTの特徴は、語られた通りに文字に起こせばそのまま書き言葉として文章が完璧に整っている、稀有な“言葉の人”であるということ。膨大な読書体験に裏打ちされていると推察され、複数の外国語が堪能であることともリンクしていると考える。

10年以上前のことになるが、ある書籍のロケ撮影時、ほんのわずかな待ち時間すら無駄にせず、外国語の単語暗記に勤しむ姿に驚いたこともある。何事もスマートにこなすイメージがあるかもしれないし、魅せ方を熟知しているようでいて、きっと地道に努力を重ねる人なのだろうな、と感じる場面だった。インタビューでよく本人の口から出ていた「僕は不器用だから」という言葉に半信半疑だったが、たしかにそうなのかもしれない、と腑に落ちる瞬間でもあった。

メディアで活躍する姿を目にするたび、「じっくりと歌が聴きたい」「もっと多くの人に、“歌手GACKT”の本領を見せてほしい」と、誠に勝手ながら心で願ってしまう(ファンの方々はとっくにご承知の魅力だと思うのだが)。コロナ禍が収束し安心してライブを行える世が戻って来た日には、必ず。長々と書き連ねてきたが、そんなシンプルなリクエストが叶うことを夢見ている。
(大前多恵)

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当記事はエキレビ!の提供記事です。

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