橋本環奈 『今日から俺は!!』『銀魂』シリーズなど福田雄一監督作品で弾けて短期消費されない女優に成長

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先日、「オバチャンみたいに笑う美少女」という佐藤二朗のツイートに橋本環奈が反応したことがネットニュースで話題になっていた。二人が出演する映画『今日から俺は!!劇場版』(福田雄一監督)の舞台挨拶が17日の18時に生中継されるというお知らせ絡みの出来事である。

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オバチャンみたいに笑う美少女は、名指しされていないが彼女のことではないか……と想像させるわけだが、橋本環奈の声がハスキーで、小柄な美少女の外見から受けるイメージとちょっと違うところが彼女の魅力のひとつだと思う。

『今日から俺は!!』で彼女が演じているのは“スケバン”。“スケバン”とは昭和の学校に存在した女番長のことで、かつて斉藤由貴や南野陽子も演じていた(『スケバン刑事』)。正統派アイドルはスケバン役の洗礼を受けると言っていいかも。

いや、すでに彼女は『セーラー服と機関銃 -卒業-』(前田弘二監督)で高校生ながらなりゆきでヤクザの親分になってしまうヒロインを堂々と演じていた。そっちに比べたらスケバンは可愛いものであろう。でもこのとき主題歌を歌った橋本環奈のウィスパーボイスは天使の声であった。



福田雄一監督により発揮される才能橋本環奈演じるスケバン京子は、彼氏の伊藤(伊藤健太郎)の前では乙女全開でぶりっ子していて、ラブラブのバカップルでいるが、彼の目の届かないところではめちゃくちゃ荒ぶっている。セーラー服に外巻きヘアで濃いめの口紅が、ときに可愛く、ときに物騒に。素早く二面性を切り替える運動神経こそが「奇跡の美少女」「国宝的美少女」と呼ばれる橋本環奈の神が与えた美を越えた武器である。

橋本環奈の才能を存分に発揮させているのは福田雄一監督で、『銀魂』シリーズ、『斉木楠雄の災難』、『今日から俺は!!』などで橋本は弾けまくっている。個人的に好きなのは『銀魂』シリーズの配信ドラマ『-世にも奇妙な銀魂ちゃん-』のなかの一作「眠れないアル篇」。

橋本演じる神楽が夜、眠れなくなってしまい、銀時(小栗旬)を困らせる話で、「眠れないアル」と目をギンギンにさせてつぶやき続ける橋本環奈がウケる。仰向けに寝て、ずーっと「眠れないアル」と言い続けているだけなのだが、それがもうおかしくておかしくて……。



短期消費されない女優に成長福田雄一と出会ったことで橋本環奈は単なる美少女として短期消費される運命から逃れたといっていい。いや、たとえ出会ってなくても自力でサヴァイブしたかもしれないが。それほど橋本環奈はなにやらものすごく精神的にたくましそうに見える。

切り替えの演技も難なくやっている気がするし、バラエティー番組などに出ているときのトークもそつがなく、なにかと頼もしい。頭の回転がすごく良さそう。だから、たまに『午前0時、キスしに来てよ』(新城毅彦監督)などで普通の女子高生がキラッキラの国民的スター男子(片寄涼太〈GENERATIONS from EXILE TRIBE〉)にときめくという初心(うぶ)な役割を演じるとものすごく新鮮だった。これはこれでまたじつに巧みに、好きな男の子の夢のようなエスコートにおどおどする乙女心を演じている。



どちらかといえば『かぐや姫は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(河合勇人監督)の頭が良くて高飛車な役のほうが橋本環奈らしいが、俳優としては『午前0時~』のほうがやりがいがあるかもしれない。

カメラが回っていなくとも発する只者じゃないオーラ橋本環奈の突出したたくましさ、頼もしさが見られる作品といえば、『十二人の死にたい子どもたち』(堤幸彦監督/以下シニコド)。最初はマスクで顔を隠していて、公開前は橋本環奈の名前も伏せられていた謎の人物役。美少女としての顔も、豹変する顔芸も封印されても、全身から発するオーラで見事に大役を果たしたことに驚愕した。橋本環奈は実は全身俳優なのだと思わせる一作である。

私がこの映画の取材をしたとき、よく、カメラが回っていないと全然違う雰囲気になる俳優はいるが、橋本環奈はカメラが回ってなくてもオーラがあって、少なくとも『シニコド』の現場では薄暗いスタジオのなかで座っている後ろ姿だけで只者じゃないオーラを発していて近づきがたい気持ちになったものである。なんか成功した女社長みたいな空気感があるのだ。大きなものを背負える覚悟と度量があるように見える俳優である。“オバチャンみたいに”というのは何者にも動じない頑とした強さという意味なんではないだろうか。蒸し返すこともないが。



顔を出さなくてもなんかすごそうな気配がする役といえば、『シニコド』に次いで『キングダム』(佐藤信介監督)の河了貂がある。普段は戦闘服と鳥のような蓑をかぶっている。橋本の小柄さが生かされて、この蓑がマッチしていて可愛く見える。でも蓑を取るとショートカットの勇ましさが現れる。トレードマークのサラサラストレートロングでないところにインパクトがあった。目で殺すという言葉があるが、橋本環奈の瞳はどんな役をやってもハードボイルドな凄みがあって、ひれ伏さざるを得ない。
(木俣冬)

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当記事はエキレビ!の提供記事です。

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