今こそ映画館でジブリを体験しよう!再上映ジブリ映画4作品の秘密

Oh!My!アニメ

2020/7/10 12:00

 

皆さんは、スタジオジブリの作品を映画館で観たことはありますか?

今、映画館では「一生に一度は、映画館でジブリを。」という惹句と共に、スタジオジブリ制作の名作映画が4作品上映されています。しかも、さすがスタジオジブリというべきか、再上映でも公開開始と共に大ヒットとなっています。

そこで今回は、どの作品が上映されているのか、どれを観るべきか、といった足がかりになるよう、作品のあらすじや豆知識などを紹介していきます。

 

 

大ヒット!「一生に一度は、映画館でジブリを。」

 

2020年6月26日(金)より全国372館で『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』のスタジオジブリ映画4作品の上映が始まりました。もともとの公開年はバラバラですが、いずれも当時のヒット作であり、地上波放送などでの人気もあるため、このたびの再上映でも多くの人が足を運んでいるようです。

その証拠に興行通信社が発表する映画の週末動員数ランキングでは、『ランボー/ラストブラッド』や『ソニックザ・ムービー』といった新作映画を抑えて、なんとTOP3をスタジオジブリが独占する形となり、根強い人気が数字に現れる週末となりました(※6月27日(土)~28日(日)の動員数)。

 

 

一体どれを観ればいい?復活上映

 

4作品もあると、まずはどれを観ればいいのか?という人もいるのではないでしょうか。
そこで、上映されている作品ラインナップと、知っているとより楽しめるトリビアなどを紹介していきます。

 

 

風の谷のナウシカ

 

 

<あらすじ>
文明の崩壊から1,000年。大地はサビとセラミック片に覆われ、有毒の瘴気に包まれて、巨大な蟲(むし)達の生息する“腐海”という菌類の森が広がっていました。海から吹く風により瘴気から守られている辺境の国“風の谷”に住む族長の娘・ナウシカは、人間以外の生き物と通じ合う能力を持っており、巨大な蟲・王蟲(オウム)に襲われた師・ユパを救ったり、凶暴だったキツネリスをたちまち手懐けてしまうのでした。

そんな風の谷に、国家トルメキアの大型船が墜落。この事件を機に、風の谷やナウシカは大きな事件に巻き込まれていくのでしたーー。

 

宮崎駿監督にとっては、『ルパン三世 カリオストロの城』に続く、劇場公開監督作品第二弾が本作『風の谷のナウシカ』です。この『風の谷のナウシカ』には原作となる漫画が存在しているのですが、その作者も何を隠そう宮崎駿監督ご本人なのだから驚き。映画公開当時は、原作のないアニメーション作品のアニメ化は難しく、企画を実現するために徳間書店の雑誌『アニメージュ』にて、漫画版『風の谷のナウシカ』の連載をスタート。映画の製作につなげました。映画で描かれているのは、実はこの漫画のほんの一部分。映画を観てから漫画を読んでみると、驚きや発見があると思います。

今となってはスタジオジブリ作品の一つとして挙げられることも多い作品ですが、実は公開当時はスタジオジブリという会社は存在しておらず、トップクラフトという、スタジオジブリの前身となる会社で制作された作品です。

『風の谷のナウシカ』公開後に制作チームは解体、新作映画の制作のためにスタジオジブリが設立され、『天空の城ラピュタ』の制作を機に宮崎駿監督の元に新たに制作陣が集いました。

 

■製作年:1984年
■キャスト:島本須美、松田洋治、榊原良子、納谷悟朗 ほか
■監督:宮崎駿
■原作:宮崎駿(徳間書店『アニメージュ・コミックス』)

 

 

もののけ姫

 

 

<あらすじ>
人を憎み、恨みによってタタリ神となってしまった巨大イノシシは、エミシの村を襲います。少年アシタカは、そのタタリ神を撃退したことにより右腕に呪いを受けてしまうのでした。村の掟に従い、タタリ神のやってきた西の地を目指すアシタカは、道中で出会ったジコ坊の話を聞き、シシ神の森に呪いを解く鍵があると感じ、シシ神の森を目指します。その先でアシタカは、山犬に育てられた少女サンと出会うのでした。この出会いをきっかけに二人は、自然と人間がぶつかり合う大きな戦いへと巻き込まれていきます。

登場人物のセリフから室町時代の日本を描いているともいわれる『もののけ姫』。少し凄惨なシーンや、グロテスクなキャラクターも登場する作品なのですが、学びも大きい一本。

生死に関する重厚な物語や、他の映画ではあまり見かけなかったり、日本史でもあまり学ぶことのないような、日本の一面が観られる映画でもあります。

例えば劇中には“タタラ場”という場所が登場します。これは鉄鉱石や砂鉄といった酸化鉄から鉄を取り出すための実在した製鉄所です。このタタラ場で武器を製造しているのが、当時差別や偏見の目で見られることも多かったハンセン病の人々。

「時代劇が取りこぼした人間たちが出てくる世界を作ろうとしたら、ハンセン病ということも向き合わなければ話にならないだろう」

と語ったのは、2019年の国立ハンセン病資料館で行われた講演会での宮崎駿監督。歴史におけるマイノリティに目を向ける機会としても、貴重な体験ができる一本といえるでしょう。

猩々(ショウジョウ)や、デイダラボッチといった、実際に伝承として登場するもののけ達の不気味で個性的な姿にも注目。和製ファンタジーここに極まれりといっても過言ではない作品です。

 

■製作年:1997年
■キャスト:松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、小林薫 ほか
■監督:宮崎駿

 

 

千と千尋の神隠し

 

 

<あらすじ>
主人公の少女・千尋は、両親と引越し先の新居へ向かっていました。その途中、森の中で不思議なトンネルを見つけます。妙な雰囲気に嫌がる千尋をよそに、どんどんトンネルの奥へと進んでいく両親。その先にあった街のお店で、両親はひたすら食事を始めてしまいます。

放っておかれた千尋が街を観て回っていると、次第に暗くなる街中で謎の少年ハクと出会うのですが、「ここにいてはいけない」と追い返されます。しかし時すでに遅く、両親はその姿を豚に変えてしまっているのでした。パニックになる千尋の前に再びハクが現れ、湯屋で働くよう助言をします。こうして千尋は、巨大な湯屋へとやってくるのでしたーー。

 

言わずとしれた日本における歴代興行収入第1位という記録を保持している作品が本作『千と千尋の神隠し』。その興行収入はなんと308億円。圧倒的な数字となっています。

個性的な姿をした神様や、独特な構造をしたお湯屋さんなどを観ているだけでも楽しい、万人にお勧めできる作品ですが、実はこの映画が描こうとしているテーマの一つには、日本の“風俗産業”があることを宮崎駿監督本人が語っています。

日本版プレミア2001年6月21号にて、いかがわしさを感じる不思議な街並みに関して、

「僕が子供の頃には、新宿にだって文字通り赤いランタンがともっているような街がありましたからね。意図的にそういうものをというより、ちょっと古くて、いつの間にかみんな忘れてしまっている盛り場を描いているんです。もともと日本は、性に対してあっけらかんとしたものでしたから」

とモチーフに風俗街があったことを明らかにしており、続けて

「いまの世界として描くには何がいちばんふさわしいかといえば、それは風俗営業だと思うんですよ。日本は全て風俗営業みたいな社会になっているじゃないですか」

といった社会批評ともとれるコメントを残しています。風俗営業化した社会だけを表現しようとしたわけではないのでしょうが、少なくとも一つのテーマとして内包していることは間違いないようです。

 

■製作年:2001年
■キャスト:柊瑠美、入野自由、夏木マリ、神木隆之介 ほか
■監督:宮崎駿

 

 

ゲド戦記

 

 

<あらすじ>
巨大な国の王子であるアレンは、ある日父親を殺めてしまいます。国を捨てて逃げるアレンは、その途中で狼の群に襲われてしまいますが、賢者であるハイタカによって命を救われます。こうして二人は、世界に異変を起こしている災いの元凶を探す旅へと出るのでした。

そんな折、旅の途中で泊まったハイタカの友人・テナーの家で、アレンは顔の半分に痣がある少女テルーと出会います。最初はアレンに嫌悪感を抱くテルーでしたが、次第にアレンに共感するようになり、心に歩み寄っていきます。

そこへ永遠の命を望む魔法使い・クモが現れ、アレンはクモに利用され、テナーは人質に取られてしまいます。ハイタカとテルーは、テナーとアレンをクモの手から救うため、クモの城へ向かうのでしたーー。

 

今回のリバイバル上映で、唯一の宮崎駿監督作品以外の上映作品となったのが、本作『ゲド戦記』です。監督を務めたのは、宮崎駿監督の息子・宮崎吾朗監督。宮崎駿監督も、原案としてクレジットされています。この点が実は『ゲド戦記』の珍しいところ。

原作はアーシュラ・K・ル=グウィンさんの小説「ゲド戦記」シリーズ第3巻に当たる『さいはての島へ』なのですが、それとは別に宮崎駿監督が執筆した『シュナの旅』という1980年代に出版された絵物語が原案となっています。原作と原案があるというのはなんだか不思議な感じですが、鈴木敏夫プロデューサーが『シュナの旅』は映画『ゲド戦記』の翻案だろうと考えて、このクレジットの仕方にしたことを語っています。本作はある意味、小説『ゲド戦記』のアニメ映画化であり、絵物語『シュナの旅』のアニメ映画化でもあるという不思議な映画なのです。

そんな複雑な一本を手がけた宮崎吾朗監督は、現在新作アニメーションを製作中。その名も『アーヤと魔女』。全編3DCGの長編作品として2020年冬にTV放送が予定されています。

 

■製作年:2006年
■キャスト:岡田准一、手嶋葵、菅原文太、風吹ジュン ほか
■監督:宮崎吾朗

 

 

スタジオジブリ作品は、海外でこそデジタル配信がスタートしているのですが、残念ながら日本でのデジタル配信は現状予定されていません。ディスクリリースしたものを購入するか、数年に一度放送される地上波放送を待つという手段しか鑑賞方法がないのが悩ましいところ。

そんななか、劇場の大きなスクリーンでジブリ作品が観られるというのは、非常に貴重な体験です。どの作品も名作ですし、ぜひこの機会に多くの人に足を運んでほしいです。

きっと、「映画館で観た」という体験が後々にも思い出として大きく残っていくでしょう。

WRITER

  • ネジムラ89
  •        

  • 缶バッジ販売専門店「カンバーバッチ」のオーナー兼アニメ映画ライター。アニメ映画情報マガジン「読むと アニメ映画 知識が結構増えるラブレター」をnoteにて配信中。その他いろんなとこでアニメ映画話を執筆中。古今東西関係なくアニメ映画を中心とした有益な情報を多くの人に提供できるようにやっていきます。

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