「千駄ケ谷の受け師」木村王位、藤井七段の攻め「受け」て立つ! 30歳差の王位戦1日開幕

 将棋の第61期王位戦7番勝負は7月1日、愛知県豊橋市の「ホテルアークリッシュ豊橋」で開幕する。若き挑戦者・藤井聡太七段(17)を迎え撃つのは、強烈な守り将棋を得意とする「千駄ケ谷の受け師」こと木村一基王位(47)。特異な将棋でファンを喜ばせる人気棋士は、伸び盛りの天才といかに戦うのか。直前の心境を聞いた。

 23日の王位戦挑戦者決定戦。当日は偶然にも47回目の誕生日だったが、特に何事もなく都内の自宅にいた。永瀬拓矢2冠(27)に快勝した藤井の対局中継は「チラチラと」見ていたという。「どちらが来ても結構きついので、藤井さんを意識していたわけではないですが、来るべき人が来たという感じですね」と、挑戦者が決まった心境を振り返った。

 東京・将棋会館の最寄り駅にちなみ命名された異名が「千駄ケ谷の受け師」。「受け」とは守備を意味する。デビュー当初から相手の攻めをことごとく無力化し、最後に反撃する戦法を愛した。語り継がれるのは02年に鈴木大介七段(当時)と対した新人王戦第3局。六段の木村は攻め込まれながらも自王をするすると敵陣に進入させ、その王を起点に駒をつないで相手王に迫り、逆転勝利をつかむ離れ業を演じている。

 そんな棋風の木村に対し、攻めも守りも自由自在なのが藤井だ。28日の棋聖戦では渡辺明棋聖(36)に序盤から仕掛ける好戦指向も見せたばかり。「ごちゃごちゃした内容の将棋を最後は勝ち切る。判断が冷静にできるのでしょう」と評し、中盤に長考を重ねる姿には「力のある証拠。充実している人の指し方」と、穏やかな口調に警戒心を潜ませた。

 30歳差の対決としても注目だ。史上最高齢の46歳で初タイトルを奪った木村に対し、17歳11カ月の史上最年少で初戴冠を狙う藤井。何もかも対照的だが「年齢差は縮めようもありません(笑い)。プロ棋士の間では藤井さんはもう普通の大人。だから私も1対1の、棋士対棋士の勝負と思っています」と平常心を誇示した。

 一方で日本中の視線が集まる現状には「それはもう、はっきり静かに指したかった」と本音を交ぜた。そして「ただなってしまったのはしょうがない。後はなるようになります。一生懸命取り組む姿を見てほしい」と言葉を加えた。その心中は「受け」の一択か。

 40代半ばでの戴冠は「中年の星」と称賛され、2人の娘の父親でもある。ファンからは「将棋の強いオジサン」と愛される木村。間違いなく歴史に残るシリーズは明日から始まる。(我満 晴朗)

 《会場はチャペルに畳》第1局の会場となるのは、愛知県豊橋市の「ホテルアークリッシュ豊橋」。通常は結婚式のチャペルとして使用している場所に対局場を設営。29日、10畳の畳を搬入した。新型コロナウイルス対策については、30日に将棋連盟と協議する。将棋のタイトル戦の会場となるのは初めてで、くしくも地元のスターである藤井七段の大一番を手掛けることになった。ホテル側は「初めてのことで、しかも藤井さん。スタッフ一同、楽しみ半分、緊張半分です」と話している。

当記事はスポニチアネックスの提供記事です。

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