噂されるMacの大改編。未来のMacはどうなるのか?

200626_armbasedMac_01
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

この大発表で、Macの世界はどう変わる?

Apple Silicon(アップル シリコン)、発表されましたね。まだ詳細は不明ですが、これによってMacの未来がどう形作られるのか? 私たちに何をもたらすのか? 米GizmodoのSam Rutherford氏が推測しています。WWDC 2020前に書かれたものですが、発表後の今でもほとんど何も分かっていないような状態であり、彼の考察には一読の価値があるでしょう。翻訳して紹介します。


Apple(アップル)のMacは、これまでに2度の大きな変更を経ています。最初は94年のMotorola 68kからPowerPCプロセッサへの変更。次は2005年の、PowerPCからIntel x86への変更です。そして最近のニュース(と5年近く漂っている噂)から考えるに、WWDC 2020でAppleはARMプロセッサ搭載のMacを発表すると言われていることもあり、どうやらMacはまた大きな転換期を迎えるのかもしれません。

Appleにとって、Intelチップを離れ、iPhoneやiPadに使われているAシリーズチップのようなカスタムARMプロセッサに移行する利点は明確です。ハードウェアの将来のロードマップや、CPUに載せたい機能をより自由に決めることができるだけでなく、サードパーティの供給者を断つことでより大きな利益を得ることができます。さらに、AppleのAシリーズコアが、Intel x86チップと比較してシングルコアの性能なら同等、1ワット毎の性能ならより優れた結果を出す場合が多いこともあり、ARMベースのMacBookは同じくらいの性能でより優れた電池持続時間を持つかもしれないのです。

しかし、IntelからARMへの転換が私にとってもっとも興味深いのは、それが将来のMacコンピュータのデザインにどういう変化をもたらすのかということです。ARMベースのMacはどんなOSで動くのか?単純にmacOSのARMチップサポートを強化するのか、それともOS 9からOS Xに移行したときのような大きな移行を行なうのか?WWDC 2005の講演にて、スティーブ・ジョブスはOSXにかけた苦労が、Appleをこの先20年間支えると発言しました。今年は2020年。あと5年で丁度20年目になります。なら、OS Xの次とは何なのか?

もっと言えば、ARMへの移行がプロダクトデザインにどういう影響を与えるのか? WWDC 2020を控えた今、Appleの大きな変換が何をもたらすのか、考えてみたいと思います。

macOSにこだわるのか、iOS/iPadOSを拡張するのか


これまでAppleは、macOSがさまざまなアーキテクチャで動作するように対応させてきました。なので、簡単ではありませんが、macOSをARMで動作させるようにすることもできるはずです(編注:実際、WWDC 2020ではmacOSがApple Siliconで動作していました)。それに、たとえばMacBook Airに新しいAシリーズチップを載せたりするなら、それが一番シンプルな解決策とも言えます。そうすれば今まで以上に薄くて軽く、毎日のコンピュータ使用に十分な性能を持ちながら、電池の持ちが大幅に良くなったデバイスになるわけです。
200626_armbasedMac_02
Image: Alex Cranz/Gizmodo US
アプリが動作するのか問題
ただ問題は、Apple自身が持つアプリの多くはARMに対応させることが比較的簡単かもしれませんが、Final Cut Proのようなより複雑なアプリは他より時間がかかるだろうし、対応させるだけのリソースがないかもしれない数々のサードパーティアプリはなおさらなことです。CatalystなどのツールはARMベースのiPad用アプリをmacOSにも対応させる手助けをしてくれますが、それでも全てが解決するわけではありません(編注:WWDC 2020ではいくつかのサードパーティアプリがネイティブで動作していました。また、Appleはネイティブ動作せずともRosetta 2でエミュレートできる、としています)。
複数のmacOSが必要になる、あるいは消滅する可能性
ですが、もっと大きな問題は、去年新しいバージョンがリリースされた、Mac Proなどのデスクトップマシンです。一般的に言って、Complex Instruction Set Computer(CISC)方式のx86チップの方が、Reduced Instruction Set Computer(RISC)方式のARMチップよりも映像編集や3Dモデリングなど負荷の大きい作業は得意なのです。なので、結果としてAppleは複数のバージョンのmacOSを作り続けなければならないかもしれません。一つはハイエンドのMac Proなど、x86ベースのシステム用、もう一つはそれほどパワーの必要ないモデルに使うARMベースのシステム用です。

しかし、最近追加されたネイティブのマウス対応やMagic Keyboardなどのアクセサリ、それにタッチパッドも完備しているので、iPad Proは多くの人にとってローエンドのMacBookの代わりとして十分使えるようになってきました。なので、長期的な目で見たら、iOS、iPadOSがMacコンピュータの基盤となり、macOSはハイエンドモデルのために維持されつつ、4年か5年(もっとかかるかもしれませんが)でフェードアウトするということも可能ではあるのです。

macOSと比較すると、AppleはiOSとiPadOSの改良にかなり注力しているように感じます。2019年の第4四半期にはiPhoneとiPadの売り上げがAppleの利益の60パーセントなのに対してMacが11パーセントであることを考えると、無駄にmacOSを延命させようとしたり違うバージョンに気を散らせるより、AppleのラインナップでもっともポピュラーなOSにより投資するのは理にかなっています。さらに言えば、iOSとiPadOSは既にマウスとキーボード、タッチ、スタイラスなど、さまざまな入力方法に対応していますが、macOSも同じだとは言い難いです。

初の「タッチスクリーン付きMac」はありうる


2020年にもなって、Appleが未だに完全なタッチスクリーン付きのMacを作っていないというのはちょっと驚きじゃないですか? Windows(ウィンドウズ)は、タッチスクリーン付きのラップトップのラインナップは10年近く、豊富にあります。そして今では、伝統的なキーボードを完全に廃止し、二つのタッチスクリーンや、大きくてフレキシブルなディスプレイなどに置き換えたコンセプトデザインを開発している会社もあります。
200626_armbasedMac_03
Image: Apple

Appleの重役たちは、過去に何度もタッチスクリーン付きのMacBook作るのに興味がないと語っていますが、タッチスクリーン付きMacに立ちふさがっているもう一つの障害はOSそのものです。macOSのUIはタッチの為にデザインされていないので、アイコンやメニューなどは指で触れるには小さすぎます。もちろんmacOSをタッチで操作しやすいようにリデザインすることは出来るでしょうが、Microsoft(マイクロソフト)がWindows 8から、ある意味Windows 10に至るまでに多大な痛みとともに学んだように、長く苦しい道のりとなるでしょう。それならば、iOSやiPadOSをスケールさせ、デスクトップでの利用に耐えられるようにした方が簡単だし、長期的に見て成功するかも知れません。

ここまで読んで、そもそもiPad Proがあるのに、無理やりMacにタッチスクリーンをつける必要があるのか?と問う人がいるかも知れません。それは真っ当な疑問です。しかし、12.9インチのiPad ProとMagic Keyboardのセットと2.8ポンド(1.29キロ)MacBook Airを比較すると、実はiPadの方が重く(1.3キロ)て頑丈さに欠けます。それにUSB-Cポートが一つしかないことを考えても、メインの仕事用マシンとして誰にとってもベストとは限りません。

なので、Macユーザーの多くにとっては、より重くて分厚いiPad Proを強制されるのではなく、タッチスクリーン付きの極薄ラップトップ(もしかしたらコンバーチブル2-in-1でもいいかも)を買えるという選択肢があった方が嬉しいわけです。

真に統一化したアプリストア

200626_armbasedMac_04
Image: Apple

短期的に言うと、AppleのARMチップへの転換は、アプリの互換性で少なくともある程度苦労することになるでしょう。これはSurface Pro XなどのARMベースのWindowsデバイスが、レガシーのWindowsアプリやARMにネイティブで対応していないプログラムを動かそうとしたときにも起こる問題です。

しかし、Appleがそれを耐え抜けば(過去の転換の例を見てもなんとかなりそうです)、完全に統一化したアプリストアという、同社がこれまで長年かがけてきた目標が達成されます。 Macアプリストア、iOSアプリストアという境がなくなり、デバイスに関係なく、一度購入したら、手持ちのAppleデバイス全てで使うことができるわけです。

最近、Appleは「ユニバーサル購入」システムを導入したことで、この目標に大きく一歩前進しました。これは、アプリを一度買えば、MacでもiOSでも利用できるシステムです。しかし、システムがまだ新しいことや、まだARMベースのMacアプリの将来的なニーズが来ていないため、一つのアプリストアで全てに供給するゴールに到達していませんが、そんな状況も変わるかも知れません。

Macがもっと安くなる


誰もが賛成できると思うのが、より安くなったMacです。絶対そうなるとは限りませんが、iPhoneやiPadだけに限らず全てのデバイスのデザインを自社で行なうことができれば、かなり製造費用を抑えることができて、ARMベースのMacの価格も抑えることができるかも知れません。最近の例でいうと、iPhone SEがそうです。これはiPhone 8のボディーを使い、iPhone 11のA13チップを使うことで価格を抑えています。販売価格400ドル(約4万3000円)ということはインフレーションを考慮すると、iPhone SEが今まででもっとも安いiPhoneとなります。
200626_armbasedMac_05
Image: Alex Cranz/Gizmodo US

一方Macはというと、MacBookが1000ドル(約10万7000円)を切るなんてことは、例え全てのオプションをなくしたモデルでも滅多にないし、たとえば第10世代のIntel core i5を搭載した新しいMacBook Pro 13では、価格のうち250ドル(約2万7000円)がプロセッサ代だと言われています。ということは、ARMプロセッサにすることで、消費者にとってお買い得になる可能性があるのです。

ただ前述の通り、全てがまだまだ推測の段階で、これからさまざまな要素が絡んで来ます。何より、される可能性が高いとはいえ、Appleはまだ初のARMベースMacを発表してもいません(編注:正式に発表されることとなりました)。この記事は、あくまであらゆる可能性にワクワクするためのものです。なぜなら、テック関係で大きな発表が来る直前にできるもっとも楽しいことといえば、その可能性をいろいろ妄想することだからです。

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ