ポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」の歌詞が描く愛の意味とは

UtaTen

2020/6/27 21:00

不倫を書かせたら天下一品


『カメレオン・レンズ』の作詞を手掛けた新藤晴一の作詞センスは唯一無二ですが、中でも不倫というテーマは彼の真骨頂ではないでしょうか。

本人いわく、『カメレオン・レンズ』自体は不倫をテーマにしているわけではないそうですが、2組の夫婦間での不倫や家庭の問題、女同士の戦いなど、ドロドロした感情を描いたドラマの世界観に、見事にマッチしています。

見ているようで見ていない




『カメレオン・レンズ』の歌い出しは、このように始まります。

「ありのままの真実」というのは、意外と見落としがちなものです。その時の感情や立場などによって、物事の見え方は変わってしまいますよね。

その時々に応じて自在に色を変えるカメレオンのように、物事の見え方も人によって違う。それを新藤晴一は『カメレオン・レンズ』と表現しています。

赤い林檎を見ても、赤の感じ方は人それぞれ。必ずしも、同じ「赤」を見ているとは限りません。

「君の愛は What color?」という歌詞には、少しでも相手の気持ちを知りたいという、切なる思いが詰まっているように感じられます。

色の感じ方が違うように、景色の見え方さえも違う残酷さ。

愛しているのに、すれ違う心の距離が「双子の月」で表現されていますね。

同じ月を見上げていても、2人が見ているのは全く違う月かもしれません。

同じ景色を分かち合えないように、気持ちも分かち合えない。

その切なさと歯がゆさがひしひしと伝わってくる歌詞です。

崩壊していく日常




「君」という存在が世界を輝かせるのだとしたら、「深紅のバラもワインも色を失くし泣いて」いる世界は、2人の関係の終わりを予期させるものです。

「デタラメな配色で作ったステンドグラス」は、決して見栄えのよいものではありません。

正しい手順を踏まずに築かれた、いびつなもの。それはまるで、不倫という不安定な関係を築いてしまった夫婦のようです。

ドラマの中で繰り広げられる、歪んだ愛や醜い争い。不格好で、デタラメに積み上げられた関係性は脆く、いつ壊れても不思議ではないのです。

しかし、間違った関係だと分かっていても惹かれ合い、傷つき、周りの人間も傷つけていく姿は、滑稽なだけでなく悲しくもありますね。

出会うタイミングがずれてしまった、出会ってはいけない人と出会ってしまったために崩れていく夫婦や家庭。

「君の明日は What color?」という歌詞が、先の見えない不安を暗示しているようです。

カラスが象徴するもの




『ホリデイラブ』の中には、冒頭から黒い羽や黒いシミが登場します。

結婚式のシーンから始まる物語の中で、一点の曇りもない幸せの中に突如訪れる、黒。

それはまるで、これから訪れる未来の不吉さを物語るようであり、歌詞に登場する「カラス」を思わせる色です。

「不吉な声でカラスが鳴いた」とは、劇中のあらゆる場面に登場する、意味深な黒い羽とリンクします。

ささやかな幸せが崩れ始める予兆。

しかしそれは「僕が君の空に放した 青い鳥なのかもしれない」というところが興味深いですね。

不吉な鳥も、初めは幸せを運ぶ青い鳥だったのです。

幸せなはずの未来が、予想外の出来事によって崩壊していく怖さをカラスに込めたのでしょう。

愛することの難しさ




ラストのサビ前の歌詞では、愛し合っているはずの2人でさえ分かり合うことのできない切なさが伝わってきます。

ただ、お互いを理解したいだけなのに、傷つけ合ってしまうもどかしさ。

“愛を分かち合うことはできないのならばせめて、互いが受けた傷で、痛みだけでも分かち合いたい…”

すぐそばにいるのに、痛みくらいしか分かり合えないなんて悲しいですね。



愛しい人の肩を抱き寄せても、温もりを感じていても、心は別々の方向を向いたまま。

通わせ合うことはできないのでしょう。

実際ににはあり得ない「ふたつの月」という表現に、心の距離を感じます。

同じ月を見ているのに、それぞれ全く違う景色を見ている2人。

心を重ね合うことができないからこそ、月蝕の夜を待ちわびる。

追いかけても追いかけても届かない心のすれ違いを「月」にたとえた歌詞に、新藤晴一のセンスが光ります。

現在ドラマ『ホリデイラブ』は再放送中。

前回見逃してしまった人も、この機会にぜひ、チェックしてみてはいかがでしょうか?

ドラマの空気感と見事にマッチしたイントロは、一度聴いたら耳から離れません。

ぜひ、『カメレオン・レンズ』という曲の魔力に、どっぷりと浸かってみてくださいね。

TEXT 岡野ケイ

当記事はUtaTenの提供記事です。

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