みどりみどりすけよ、どこへゆく? 謎の動く苔玉の群れ、氷河で発見される

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Image: Dr. Ruth Mottram (DMI)|2005年にアイスランドで撮影された氷河マウス

氷河の上に、まっくろくろすけならぬ、みどりみどりすけが登場。

世界のそこかしこにある氷河の上に、明るい緑色の苔玉が散らばっているらしいですよ。なにが信じられないって、この苔玉のコロニーが移動しているってことです。しかも、移動する速度も方向もほぼ同じなんですって。

「氷河マウス(glacier mice)」と呼ばれている、氷河を転がる苔玉に関する研究結果が、Polar Biologyのオンライン版に掲載されました。NPRによると、この苔玉は柔らかく湿っていて、まるで苔の枕のように見えるのだとか。著者たちが言うには、苔玉は氷の表面に付着している不純物から発生するらしく、こういう現象は比較的まれなんだそうです。

著者のひとりであるアイダホ大学に所属する氷河学者のティム・バーソロマス氏はNPRの取材に対して、2006年にアラスカのルート氷河の近くで初めてこのマウスに遭遇したとき、「なんだこりゃー!」と思ったことを覚えているそうです。

彼はこう続けています。

何にも執着しない明るい緑色をした苔玉たちは、ただ真っ白な氷の上で休んでいるんです。


苔玉たちはゆっくりゆっくり移動中


でも、明るい緑の苔玉たちはいつまでもそこにじっとしているわけではありません。バーソロマス氏によると、苔玉は1日平均約1インチ(2.5cm)動いていたとのこと。アイダホ大学の野生生物生態学者で、この研究の共同執筆者のひとりであるソフィー・ギルバート氏は、苔玉の表面全体を定期的に太陽にさらさなければいけないため、移動は必要不可欠になっていると指摘しています。

ギルバート氏はこう述べます。

転がらないと、底のコケが枯れてしまうんですよ。

苔玉が動く様子を見たい人は、ルート氷河で撮影された動画をチェックしてみて。研究とは無関係な動画ですけど、なんだかとてもクール。また、氷河を転がる緑色のネズミが、ヘンテコな場所にいる様子も捉えられています。なんだこりゃー。



氷河マウス自体は新しくもなんともなくて、1950年以降にアラスカやアイスランド、スバールバル、南米でも発見されています。でもだからといって、この神秘的な苔玉のことを熟知しているという意味ではありません。私たちにはまだまだ学ぶべきことがたくさんあるらしいですよ。訳者もみどりみどりすけのこと、もっと知りたい。

なんで同じ方向に移動しているのかは謎のまま


最大の疑問のひとつは、最短でも6年生きる氷河ネズミがどうやって動くのかってこと。一部の科学者は、氷の台座が鍵だと考えていました。この台座の上に乗っかっている苔玉は、下にある氷がその周囲の氷と同じ速さで溶けるのを防ぐ役割を担っている可能性があるのだそう。この理論によると、最終的に苔玉は氷の台座から落ちて転がっていくとのこと。

今回の研究では、アラスカに生息する色つきのビーズでタグ付けした苔玉30個を追跡しました。NPRによれば、2009年には54日間にわたってそれぞれのボールの位置を追跡し、その後2010年、2011年、2012年にも調査が行なわれています。研究チームは、氷の台座から転げ落ちた苔玉はランダムな場所にあると予想していたみたいなのですが、これが大ハズレ。
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Image: Dr. Ruth Mottram (DMI)
2005年にアイスランドで撮影された氷河マウス

なんと、氷河の苔玉たちは一緒に行動していたのだとか。バーソロマス氏はこれを、セレンゲティを移動するヌーの群れなどと比較しています。研究者たちは、この妙ちくりんな発見をいろいろな方法で説明しようとしています。まず浮かんだのは、苔玉が下り坂を転がったんじゃないか説。でも、あとで下り坂になっていなかったことがわかってこの説はボツに。その次は、風に吹かれて移動したんじゃないか説。これも調べてみると風向きが一定していなかったことがわかってこれまたボツ。まったくもって説明不能なみどりみどりすけ。

そして最後は、太陽で氷が溶けた方向に転がったんじゃないか説。でも、太陽放射の方向と苔玉の進む方向が一致せず、この説もまたまたまたボツに。結局のところ、どうして苔玉たちが同じ方向に動くのか、まだわかっていません。どこまでミステリーなんだ、このみどりみどりすけは。

前出のギルバート氏は楽しそう。

物事が仮説に従って動いかないときって、いつもなんだかワクワクしますよね。

しますします!

バーソロマス氏は、未来の世代がこの超不思議なミステリーの答えにたどり着くのを願っているとのこと。とにかく彼は、どうして氷河の苔玉が群れのように移動しているのか、そして苔玉がいったい何歳なのかを知りたいんだそうです。


原因が坂でも風でも太陽でもなく、それでいて群れのように同じ方向に移動しているとなると、もしかすると意思疎通しながら動いているんじゃないかとワクワクしてきます。未来の研究者たちがこのみどりみどりすけの謎を解く日が楽しみですね。

Reference: NPR

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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