北朝鮮、毒舌姫でエスカレートする罵倒の系譜。安倍総理は“チビで卑劣”?

日刊SPA!

2020/6/26 08:51

 風雲急を告げる、朝鮮半島情勢。北朝鮮お得意の“口撃”も、ひさびさに激しさを増しています。

金正恩朝鮮労働党委員長に代わり、妹の金与正氏が登場すると、言い回しはエスカレートする一方。脱北者団体が北朝鮮を批判するビラをまいたことに対し、

<裏切り者とくずの連中の罪過を絶対に容認してはならない>

との声明を発表した後、6月16日に南北共同連絡事務所の爆破へとつながりました。

北朝鮮には、こうした文章を作成するエリート集団、“毒舌チーム”がある――と日本の複数のニュースショーが報じました。元毎日新聞記者でジャーナリストの西岡省二氏によると、北朝鮮の元外交官(現在は韓国の議員)が平壌国際関係大学の学生だったとき、授業で<仇の心臓にペンを刺す>との教えに基づいて毒舌文書を書く訓練をさせられたそうです(6月22日配信 Yahoo個人より)。

というわけで、ここからは過去にも聞かれた、伝統の悪口芸を振り返ってみましょう。

◆①安倍総理をひたすらこき下ろす

2019年10月の北朝鮮による飛翔体の発射実験を日本政府が批判した際、宋日昊・日朝国交正常化大使は、<まるで核爆弾が日本の領土に落ちたかのように騒ぎ立てている>と反論し、続けて安倍総理個人を、次のように酷評したのです。

<愚かで性悪>、<卑劣>、<不道徳>、<チビで不格好>。さらに日本という国についても、<沈みつつある島国>、<希望のない荒廃した国家>と切り捨て、日本を相手にしていないとのメッセージを出しました。

新型コロナ以降、国民の批判にさらされている安倍総理でも、ここまでひどく言われたことはないのではないでしょうか?逆に、安倍さんでよくこれだけの形容詞が思いつくものです。可愛さ余って憎さ100倍、ということにしときましょう。

(参考:Newsweek 2019年11月8日)

◆②トランプ大統領には肉弾戦を挑む

トランプ大統領が金正恩氏を<ロケットマン>とからかい、金正恩氏は<精神が混乱したアメリカの老いぼれ>と言い返す。かと思えば、良好な関係をアピールするなど、奇妙なツンデレが続く最近の米朝関係。

2年前は、こんな感じでした。北朝鮮の人権問題を取り上げ、先制攻撃も辞さないとしたトランプ大統領の一般教書演説。この「ブラッディ・ノーズ(鼻血)戦略」に、北朝鮮はこう応じてみせたのです。

<鼻血程度でなく、朝鮮の草一本にでも触れた瞬間、トランプ自身の背骨が折れ、アメリカ帝国は地獄と化し、米国の歴史は永遠に終わる。>(朝鮮労働新聞 2018年2月6日)

息のあった小気味良い応酬。プロレスのマイクパフォーマンスみたいです。

(参考:朝日新聞 2018年2月7日)

◆③惚れたら負け?韓国・文大統領、毒舌姫にののしられる

一昨年の平昌冬季オリンピックで、一気に融和ムードが盛り上がったように見えた韓国と北朝鮮。ところが、ここ最近の流れを見ると、文在寅・韓国大統領の片想いだったようです。追いすがる者を谷底に突き落とす、ドSで冷酷な姫・金与正氏の発言を見ていきましょう。

文大統領の南北共同宣言20周年のビデオメッセージに対して、金与正氏は6月17日の談話で、

<冷や水を飲んで胃もたれしたような鉄面皮で図々しい内容>と一蹴。

立て続けに、

<南朝鮮当局者の演説を聞くと、我知らず吐き気を催した>

<南朝鮮当局者は何を誤ったのかを認めることもせず、目クソほどの反省もない>

<キツネも顔を赤らめる卑劣で奸慝(かんとく=あさましい)な発想>

と、めった斬りにしていました。

思えば、金与正氏に会う時の文大統領の笑顔は、いつだってヘヴン状態でした。惚れてしまった者の弱みなのか、今のところグッとこらえているようです。

(参考:中央日報6月18日、文春オンライン2020年6月21日)

◆④オバマ前大統領には優しい

敵と見るや、無慈悲に罵倒する北朝鮮ですが、相手によってはトーンを抑えることもあります。オバマ政権末期、アメリカの財務省が北朝鮮の人権侵害への制裁措置を発表した際、朝鮮中央通信は形ばかりの反発にとどめていました。

<オバマ大統領は他人の人権問題を批判して時間を無駄遣いするより、ホワイトハウスでの荷造りをしっかり準備したほうがいい>

悪口が効かない相手には、無駄撃ちしない。ちょっぴりしおらしい北朝鮮なのでした。

(参考:CNN.co.jp 2017年1月18日)

◆⑤身内への制裁が一番怖い。張成沢氏処刑

北朝鮮の敵国といえば、日米韓。強烈な批判の数々は、主にこの3国に向けられてきました。しかし、その牙が内側に向かったとき、ちょっと笑えなくなるのです。

2013年12月12日、張成沢氏(金正恩氏の叔父)に対し国家転覆陰謀行為の罪で死刑判決が下された際、判決文には以下のような言葉が書かれていました。

<卑しい人間のクズ> <醜悪な政治的出世主義者> <犬にも劣る>

対外作戦の歯切れ良い毒舌とは異なる、こってりとした怨念に、背筋が凍る思いです。

(参考:『金正恩の実像』P.225 著/アンナ・ファイフィールド、ワシントンポスト北京支局長)

今後、ますます注目を集めそうな朝鮮半島情勢。毒舌チームの活躍にも期待しましょう。

<文/石黒隆之>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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