渡部建だけじゃない「多目的トイレ」のヒドい使い方をする人たち

女子SPA!

2020/6/16 08:46

 またも不倫騒動が勃発しました。

佐々木希さんと結婚したことでますます好感度の上がっていたアンジャッシュ渡部建さんが、まさかの複数不倫疑惑(週刊文春6月11日発売号)。しかもその場所が「多目的トイレ」だったことで、SNSでは「アパ不倫の袴田が紳士に見える」などと再評価される始末です。

報道後、行為の現場となった六本木ヒルズのトイレが観光地化し、何人ものYouTuberがさっそく動画をアップして炎上しています。

ですが、多目的トイレの不正使用は、今に始まったことではありません。車いすインフルエンサーの中嶋涼子さんは、数年毎のハロウィンの夜、会社帰りに入った多目的トイレの惨状写真をSNSにアップしています。トイレを着替え&メイクに使ったらしく、ゴミだらけで赤い液体が溜まり…「惨殺現場のよう」(中嶋さん)でとても使えません。

この「多目的トイレ」、車いすの人が使うトイレ、という認識の人も多いでしょうが、それだけではないそうです。

『首都圏バリアフリーなグルメガイド』(※1)を編集するなど、障害者の事情に詳しい和久井香菜子さん(合同会社ブラインドライターズ(※2)代表)に聞いてみました(以下、和久井さんによる寄稿)。

◆多目的トイレが必要なのは障害のある人だけじゃない

多目的トイレは、多機能トイレ、みんなのトイレ、誰でもトイレといった名前で呼ばれることがあります。車いすのかただけではなく、赤ちゃん連れ、オストメイト(人工膀胱・肛門を付けたかた)など、「通常のトイレが使えない、もしくは使いにくい人」のための設備です。

マヒや四肢障害などがあって移動が困難なかたが便器に座るための手すりがあったり、個室で車いすが方向転換できる必要なスペースが確保されています。またオストメイトのかたが汚物を洗浄するための洗浄器を設置しているところも増えてきました。

ベビーベッドが置いてあり、おむつが替えられるところも多いですが、最近は「ユニバーサルベッド」という大人が使えるベッドが置いてあるところもあります(ベッドは使ったら畳んでしまうことも必要です。自力で畳めないかたもたくさんいます)。

多目的トイレは男性用・女性用と分かれていないことが多いので、トランスジェンダーのかたが利用しやすいことや、異性の介護者と一緒の場合に使いやすいというメリットもあります。

◆渡部のような目的で使われて閉鎖されていたトイレも

こうしたあらゆる配慮をした多目的トイレですが、設置箇所は多くはありません。オストメイトや車いすのかたは、出かける前にトイレの場所を確認していくことが多いようです。「ここにトイレがあるから、この店なら入れる」というように行く場所を決めたりします。

多目的トイレは、そこしか使えないかたたちにとっては、とても重要な設備なのです。

しかし今回のように不必要な人が不必要な目的のために多目的トイレを使うことは、以前から問題視されていました。新宿二丁目のバリアフリー取材をしたときのことです。多目的トイレを探していましたが、なかなか見つかりません。公園にありましたが工事中で、中に入れないようにテープが貼ってありました(当時)。

いつ工事が終わるのか管理事務所に聞いてみましたが「トイレ以外の目的で使う人が多いため閉鎖している」とのこと。バーのスタッフにそんな話をしたところ「あそこでやっちゃう奴らがいるのよ」というのです。結局、周辺に多目的トイレは見つかりませんでした。

◆「トイレ警察」みたいな人が出るのも問題

多目的トイレは広さがあるため、個室代わりに中で着替えをしたり、お喋りに使う人もいます。しかしその間、本当にトイレを利用したい人たちは、待っていなければなりません。なぜなら彼らの多くは、「そのトイレ」しか使えないからです。「ここがふさがってるから、他に行けばいいや」というわけにはいかないのです。

待たされた挙げ句に、とても使えないような汚い状態になっていたら、どうでしょうか。腹立たしく、悲しくなりませんか

かといって、「トイレ警察」みたいな人が出るのも問題です。障害のある方が全員「目に見える障害」とは限りません。オストメイトや内部障害、聴覚障害などは一見して障害がわからない。トランスジェンダーの人も見てわかりません。こうした方々が多目的トイレに入って非難されるのは間違いです。一見、健常者に見えるからといって「お前が多目的トイレを使うな」とは言えないのです。

そのため私たちに必要なのは、他人の行動を責めるのではなく「自分は、公共の設備をモラルを守って利用する」という強い気持ちです。

◆これを機会に多目的トイレの役割を知ってほしい

ひとつ、印象的なことがあります。オーストラリアの海辺にあった公衆トイレは、男女の区別なく、すべてのトイレが車いす対応だったことです。男性用、女性用に分かれておらず、男も女も車いすの人も、同じ列に並んで順番を待ちます。ユニバーサルな社会が進んでいるな、と感じました。

不倫問題はとても残念ですが、多目的トイレの重要性を多くの人に知ってもらう機会にしたいものです。

※1『首都圏バリアフリーなグルメガイド』

設備・段差・トイレ情報、補助犬歓迎店などの情報を集めたレストランガイド。

※2 合同会社ブラインドライターズ:視覚障害者をはじめ、スタッフ全員が何らかの事情で就業しづらい人たちで構成され、音源をテキスト化する「文字起こし」・記事執筆・バリアフリー監修などを行っている

<文/和久井香菜子 写真提供/和久井香菜子、中嶋涼子>

【和久井香菜子】

ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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