列車発着時しかホームに入れないモグラ駅、駅舎が傾いてみえる駅とは?

日刊SPA!

2020/6/6 06:52

―[シリーズ・駅]―

駅舎が独創的な形をしていたり、ちょっと変わった場所にあったりと全国各地に点在するおもしろ駅。ここでは筆者が実際に訪れた駅の中から厳選したユニークな駅を紹介したい。

◆駅舎が傾いているように見える

JR宇野線の宇野駅(岡山県玉野市)は近年、全国でもここだけというトリックアートな駅として注目を集めている。

白い洋風の建物に黒い線が斜めに何本も入っているが、これにより目の錯覚を引き起こし、まるで駅舎が傾いているよう見える。そんな物珍しさもあり、駅舎をバックに記念撮影する人が多いという。

ちなみに以前は普通の白壁だったが、2016年に開催された瀬戸内国際芸術祭2016の「JR宇野みなと線アート化プロジェクト」の一環として作品化。イタリア人芸術家エステル・ストッカーの手によって現在の形へと生まれ変わった。

しかも、アート化されたのは宇野駅だけではなく、その手前の備前田井駅、八浜駅、常山駅の全部で4駅。いずれもトリックアートではないが同じアーティストの作品で、白と黒の線によって何の変哲もないローカル駅がモダンな駅へと生まれ変わっている。

さらに宇野駅の周辺には現代アートや彫刻など展示。瀬戸大橋や瀬戸内の島々も眺めることができ、潮風を浴びながら海沿いを散策するのは実に気持ちがよかった。

◆山間に架かる秘境の鉄橋駅

次に紹介するJR土讃線の土佐北川駅(高知県大豊町)は、鉄橋の中にある駅。川の上にホームが設置されている駅は、東大島駅(都営新宿線。東京都江戸川区・江東区)や武庫川駅(阪神電鉄。兵庫県尼崎市・西宮市)など都市部にもあり、そこまで珍しいわけではない。だが、鉄橋に覆われる形で島式のホームがあり、それも渓谷に架かる橋の上というのは珍しい。

土佐北川駅は四方を山に囲まれた秘境駅で、停車するのは上下線ともに普通列車が1日5本ずつ(※2020年春のダイヤ改正後時点)。朝の列車を逃すと次の列車まで6時間半~7時間半待たなければならず、列車を乗り継いで行くのはなかなか大変だ。

高知市と高松市を結ぶ国道32号が並行して走っているので交通量は意外と多いが、近くに集落はおろかコンビニやガソリンスタンドも見当たらない。ただ、そんな山奥にもかかわらず、駅入口の階段のそばに『駅前食堂』なるお店がポツンと一軒家状態で営業している。哀愁と旅情が漂う田舎の食堂といった趣で、いかにも『孤独のグルメ』に出てきそうな感じだ。

地元の山菜や自家栽培の野菜などを使った郷土料理やと味がよく染みたおでんが名物で、四国ではツーリングやドライブ中に立ち寄る人気スポットにもなっている。

目の前の川も見事な渓流で、景色を眺めているだけで癒される。途中下車するだけの価値がある場所だ。

◆列車発着時以外はホーム立入禁止のトンネル駅

また、橋上駅があればトンネル駅もある。北越急行ほくほく線の美佐島駅(新潟県十日町)は、全長約10.5キロの赤倉トンネルの途中に設けられた駅だ。

開業は1997年と比較的新しいが、土合駅(JR上越線。群馬県みなかみ町)、筒石駅(えちごトキめき鉄道ひすいライン。新潟県糸魚川市)と並ぶ「全国三大モグラ駅」として鉄道ファンに知られている。

ただし、ほかの2つのトンネル駅との違いは、ホームまでの階段の段数が65段と少ないこと(※土合駅462段、筒石駅290段)。それとトンネル内のホームには列車発着時以外は立入禁止という点だ。

ほくほく線は北陸新幹線が開通する前の首都圏と北陸を結ぶ主要路線。同路線を走っていた特急『はくたか』の最高速度は160キロで、当時の国内在来線の営業速度ではもっとも早い列車だった。

現在は特急の運行もなくなり、最高速度は130キロに抑えられているが、それでも列車通過時には台風上陸時のような強風が吹き荒れる。そのため、事故を防ぐ安全面への配慮から発着時以外は分厚い扉でホームを封鎖。無人駅だがカメラで確認されており、下車後2分以内でホームから出なければアナウンスで退出を促される。

筆者も到着前から準備し、ドアが開くなりダッシュでホームを移動しながら撮影。時間内にホームから出てアナウンスされずに済んだが、短い時間しか滞在できないため、その点ではほかのトンネル駅よりも貴重ともいえるだろう。

なお、地上の駅舎には畳敷きの広い待合室があり、どこか公民館っぽいが待ち時間を横になって過ごせるのはありがたい。そこも鉄道ファンたちから支持されているポイントのひとつになっている。

いずれも駅自体が観光スポットのような存在。今はまだ遠出を控えなければならないが、越県して自由に旅行できるようになったときの参考になれば幸いだ。<TEXT/高島昌俊>

―[シリーズ・駅]―

【高島昌俊】

フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。世界一周(3周目)から帰国後も仕事やプライベートで国内外を飛び回っている。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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