柴咲コウがTwitterを更新し、種苗法改正案に関する彼女のツイートを元にした誹謗中傷や事実誤認記事の作成メディアに対して法的措置を検討していることを明らかにした。
5月27日、柴咲コウはこのようにツイートしている。
<今回のことに限らず、例えば学校や会社などで何かを決めるときに、誰か一部の人の意見で物事が決まっていってしまうと、残された人の懸念や不安が置いてきぼりになってしまいます。
意見を言うことは、誰にも平等に与えられた権利です。賛成、反対だけでなく、その間にある声も聞きながらベストを探っていく。その時間が必要だと思うのです。
そうしていくことによって、当初のものよりも、より磨かれて抜け目のない強い決定になっていくはずです。
一筋縄ではいかないことだからこそ、たくさんの知恵と意見が必要だと思います。
伝統野菜を作っている農家さん、家族でこだわりも持って営んでいる農家さんが、未来に笑顔で仕事ができるように祈っています。
私は完璧な人間ではないので誤字脱字ミスも起こします。適切でないものは今回のことに限らず気づいた段階で削除し言い直したり更新しています。(もしそれにより困惑してしまった方がいらっしゃったら申し訳ないです。)
しかし事実とは異なる投稿、捏造、誹謗中傷、脅迫行為、ミスリードしさらなる事実誤認した記事の作成元に関しては法的措置も検討しています。
様々な人が健全にオープンに物事を語り合える高尚な社会をこれからも期待します>
4月30日、国会で審議されていた種苗法改正案に関して柴咲コウはTwitterで問題提起した。
<新型コロナの水面下で、「種苗法」改正が行われようとしています。自家採取禁止。このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます。これは、他人事ではありません。自分たちの食卓に直結することです>
この投稿に対して賛否それぞれのコメントが相次ぎ、柴咲コウは上記のツイートをいったん削除した。だがその後、自分がSNSで種苗法に関する投稿をしたのはこの問題について知らない人があまりにも多いため、まずは議論を喚起することが目的であったとして、ツイートし直している。
<種の開発者さんの権利等を守るため登録品種の自家採種を禁ずるという認識ですが、何かを糾弾しているのではなく、知らない人が多いことに危惧しているので触れました。きちんと議論がされて様々な観点から審議する必要のある課題かと感じました>
種苗法改正案は、日本国内で開発された品種が海外に流出することを防ぐためのものだが、その一方で、農家の負担が増える可能性があることから慎重な議論を求める声もあった。
コロナに関する報道一色でほとんど周知されていなかった種苗法改正案だったが、柴咲のツイートもひとつのきっかけとなって注目が集まり、結果的に今国会での成立は見送られている。やはり、議論が足りていなかったということだろう。
種苗法改正案に関して疑問を呈した柴咲のツイートは大きな話題となり、彼女の意見に対する反応をまとめた記事も複数つくられた。
しかし、そこには種苗法改正案の是非に関する真摯な議論はほとんどなく、むしろ目立ったのはヘイトやデマを撒き散らす暴言だ。一部を抜粋しておく。
<特亜に盗ませたくて邪魔してんだろ>
<赤旗に出てたじゃん 柴咲コウ作員>
<柴咲コウは朝鮮と共産の工作員だな>
<柴咲コウリアンだな、確定だよこいつ>
<なんで日本にはこいつみたいに無責任な売国奴ばかりはびこっているのか不思議>
柴咲の主張は、反対意見が出ている法案に関して時間をかけて議論をしたうえで最もよい着地点を探っていくべきだというものだった。つまり、国民の周知が行き届いた議論がなされているとは言い難い種苗法改正に関して、もっと意見の交換が行われるべきだということだ。
だが、それに対する反応が、種苗法改正案に関する意見の交換ではなく、「芸能人が政治に関する発言をした」「安倍政権に楯突いた」という点でもって誹謗中傷するものであったという問題は根深い。
現在、SNS上での匿名アカウントによる誹謗中傷は社会問題として議論されている。柴咲の問題提起は、SNSを開かれた議論が可能な場所に変えていくためのヒントとも言えるだろう。