中丸雄一、カズレーザー、バカリズムが家事に挑む 『家事ヤロウ!!!』人気の秘密

女子SPA!

2020/5/27 08:46

 バカリズム、メイプル超合金のカズレーザー、中丸雄一の3人が家事を学ぶ『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系/水曜23時15分~)が、バラエティ番組のインスタフォロワー数で日本一になった(2020年5月25日現在で78.1万フォロワー)。吉本ばななやファーストサマーウイカなど、著名人のファンも多い同番組だが、何故そんなに人気なのか。改めてその魅力を考察してみたい。

◆社会的なテーマを柔らかく実用的に提示

第一に挙げられるのは、時代に合ったテーマ性。

2018年4月にスタートした時点では、「ワンオペ育児」が問題視される社会的背景から、独身男3人が将来のために「主婦が夫にやってほしい家事」について徹底的に学習するといったコンセプトだった。

とはいえ、根底にあるのは社会的テーマながら、それを堅苦しくなく、重くなく、楽しく柔らかかつ実用的に提示するスタイルは、家事と日頃縁遠い若い世代や男性層にも受け入れられた。

ただし、昨年末、バカリズムが元でんぱ組.incの夢眠ねむとの結婚を発表したことにより、「独身男3人」のコンセプトが崩壊するため、番組ファンの間では番組存続への危機感の声も噴出する事態になっていた。

見事だったのは、そこからの微調整と着地点だ。番組では画面上に表示される番組ロゴの「独身男3人」部分において、「独身」の部分のみを黒いマジックで塗りつぶして修正したような演出を行った。さらに、番組の公式ツイッターアカウントではバカリズムの結婚を祝福しつつ、花嫁のイラストとともに「『家事ヤロウ!!!』は引き続き『家事初心者のヤロウ3人』が家事をゼロから学んで行きます」と宣言。

これには「粋な演出」という声も多く挙がっていた。「独身男3人」から独身+新婚の3人をひっくるめた「家事初心者の男性」への変更は、結果的にむしろターゲットの拡大にもつながったともいえる、巧い手法である。

◆コロナ禍による「おうち時間」の増加でますますニーズが高まる

「柔軟性」と「迅速性」は、まさしくこの番組のキモであり、それを感じさせた一つの事象がバカリズムの結婚だったが、そうした番組のスタンスがさらに際立つことになったのが、コロナ禍を受けての外出自粛による変化だ。

外出自粛により、「おうち時間」が増えたことで、家事ライフハック的な情報へのニーズはますます高まっている。

もとより深夜帯は、『孤独のグルメ』『深夜食堂』などをはじめとして、“飯テロ”的なものが好まれる時間帯。しかも、「独身男→家事初心者」が学ぶということで、まったく家事の知識やテクニックがない人でもすぐにマネできる簡単なレシピの数々や、主婦でも意外と知らない、使うと便利な家事アイテムなどが多数紹介される。

特に同番組で人気なのが、食育インストラクター・モデルの和田明日香のレシピ。ちくわを大量に使うレシピをはじめ、冷蔵庫を開ければいつでも普通に入っているような材料だけでチャチャッと手軽に作れ、なおかつ美味しそうなアイディアが、若い世代や男性などの家事初心者からベテラン主婦にまで幅広く支持されている。

その一方で、ロバート・馬場裕之のように、高額かつ高機能な調理器具を取り揃え、さまざまなスパイス・食材を常備し、調味料から手作りするような手のかけ方を披露する“上級者向け”の家事も、非日常的な優雅なおうち時間の過ごし方として、好評を得ている。

しかも、これらの家事ライフハックやレシピなどが、番組放送に合わせて、インスタに続々とアップされていく利便性とスピード感も、実にいまどきだ。

◆バカリズム、カズレーザー、中丸雄一の忖度なき化学反応

さらに、忘れてはいけないのが、バカリズム、カズレーザー、中丸雄一という不可思議かつ絶妙な3人の組み合わせである。

芸人二人と、アイドル一人。なぜこの組み合わせになったのかは謎だが、おそらく企画段階でイメージしていたよりも、実際にはさらに奇妙な化学変化が起きているのではないだろうか。

最近では、バカリズムとカズレーザーによる“中丸イジリ”がお約束化し、定番となっていることで、「さすがに中丸くんがかわいそう」などという指摘も、ネットの一部では見られる。しかし、バラエティ番組での「ジャニーズ+芸人」の組み合わせでは、芸人が司会を務めてジャニーズをオイシくしたり、ツッコんだり、話題をふったりと大忙しで、ジャニーズの番組なのにジャニーズが「お客様」ポジションになってしまうこともあるなかで、この“イジり”もまた番組の柔軟さを象徴していると言える(『スクール革命』のように、その垣根なく団体芸が練り上げられたケースももちろんあるが)。

バカリズムとカズレーザーに、中丸への遠慮・配慮・忖度はまったくない。なさすぎるほど、フラットな扱いであるために、先述のような「かわいそう」といった声もあるのだろうが、芸人たちとそこまでフラットな関係性を築けるのは、タレントとしての強みにほかならない。

さらに、この3人に共通しているのは、見事なまでに率直であること。遠慮・配慮・忖度のなさは、レシピやアイテムに対しても同様で、美味しいモノは美味しいと言うし、物足りないモノには作り手やメーカーへの配慮ナシで平気で何かを追加して「味変」してしまったりする。便利アイテムも気に入れば「買う!」と言うし、売れ筋アイテムであっても、その値段を聞くと「たっけ~!」と叫ぶ。

3人の感想が実に正直だからこそ、視聴者は安心して観られる。ついでにこの3人、それぞれの中に大雑把さと細かさが同居していて、こだわりや「マイルール」が強い。

だからこそ、表面的な「協調」はしない。しかし、こだわりやマイルールの「強要」もしない。協調も強要もない世界は、何だかとても自由で楽しそうだ。

◆「フラットな3人」だからこそリモート撮影とも好相性

ちなみに、MCとゲストという構図ではなく、3人が同等でフラットな立ち位置にある強みは、コロナ自粛禍でのリモート撮影とも好相性であることが、5月20日放送分で実感された。

『便利家電 開封ヤロウ』と題し、話題の家電を片っ端からお取り寄せして開けまくる企画。ここでは、3人がそれぞれ自分の家に届いたアイテムを使ってみて、順番にプレゼン&レビュー、3人で値段を予想するのだが、MCのみがスタジオに行って、リモートで芸能人の家とつなぐ多くのバラエティ番組と違い、特定の人物の負担もなければ、不自由さもまるでない。

むしろ家にいることで、ますます自由にも見える。

男3人がエプロン姿で真剣に家事に取り組み、それをてらいなく本気で楽しんでいる姿は、視聴者側にとっても実に楽しい。さらにそれをスタジオやロケでやらなくても良いという自由度も、良い。

「家事は女がすべきもの」という昔ながらの固定観念を、声高に否定するのではなく、戦うわけでもなく、あくまでユルく、楽しく、覆してみせる。昨今のフェミニズムの機運の高まりにも合致した、新しさとユルさ・自由さは、今の空気に最も合っている番組ではないだろうか。

<文/田幸和歌子>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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