中村倫也は野生の動物!?自宅からのYouTube配信に見る生態とは…

女子SPA!

2020/5/24 15:46

 毎週楽しみに見ていた連ドラ「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)が7話以降、中断になってしまった。

新型コロナウイルス感染予防のため映画やテレビドラマの撮影が中断中、まだ1話も放送されていないドラマもあれば、放送がはじまっても2、3話で中断したものも。そのなかで「美食探偵」は主演の中村倫也が6月5日から主演舞台「ケンジトシ」(中村が宮沢賢治役で黒木華がトシ役という素敵なキャストだった)に出演する予定だったため撮影が早めに進行していた。

おかげで6話まで放送できたとはいえ、逆にドラマが終盤に向けて盛り上がってきたところでの中断で、視聴者としては身悶えするほど残念。しばし特別編などでつないでいくようだが、やっぱり本編が気になる。クールな明智(中村)と妖艶なマグダラのマリア(小池栄子)と健気な苺(小芝風花)の死の香り漂う三角関係はどうなるのか――。

◆主演ドラマ、主演舞台、主演映画のトリプルで中止・延期

それにしても中村倫也。余計なお世話ながらお気の毒である。主演ドラマは中断、主演舞台は延期(中止でなく延期であることは不幸中の幸い)、ひとりで7人もの演じ分けをする意欲的な主演映画「水曜日が消えた」も公開延期に。

いま日本の芸能人はほとんど仕事が中止と延期とはいえ、主演ドラマ、主演舞台、主演映画のトリプルで中止、延期とは。これまで、中村は若手の名バイプレーヤーとして2番手、3番手のポジションで作品に大いに寄与していたところ、朝ドラ半分、青い。」(18年)をきっかけに人気がぐいぐい上がってきた。結果、今年、主演作が一気に発表されるいい流れだったというのに……。

◆「中村さんちの自宅から」You Tubeで配信

このせっかくの露出の場を中村倫也はYou Tubeに切り替え、「中村さんちの自宅から」という配信を4月15日から開始。5月20日の時点で29回。

じょじょに緊急事態宣言も解除され、そろそろ撮影も再開されそうなので、あとどれくらい「中村さんちの自宅から」が配信されるかが気になる昨今、5月20日深夜には、世界初の宇宙と地上の双方向ライブ配信を行う宇宙放送局「KIBO宇宙放送局」のメーンクルーとして出演するなど、中村イヤー2020(勝手にそう呼んでみただけです)の戦いはまだこれからだ!と少年漫画のラストページみたいな感じではないだろうか。

「中村さんちの自宅から」はアーカイブが残っているので今から第1回から見ることも可能である。私は4月から時々見ていたのだが、この機会に改めて、1から29回までイッキ見してみた。

◆動物の生態を追った番組を見ているような感じで飽きない

「中村さんちの自宅から」は文字通り、中村倫也の自宅(らしき場所)からの配信。生中継ではなく、事前に撮影したものに編集をすこし施しての配信であるが、ほどよいゆるさで臨場感がある。

最初はファンに質問を募(つの)りそれに答えていたが、4月22日配信の第6回から、キッチンで料理するパターンが加わった。質問コーナーはゆるい部屋着(Tシャツにカーディガンに楽そうなパンツ)にメガネ、髪の毛がハネているところもいかにも自宅ぽい。そんな姿で白い部屋の片隅にスツールに腰掛けスマホを見ながら質問に答える。

料理のときはメガネを外し、ちょっとスリムなパンツにきれいめトップス、黒いエプロンをかけ、ビールを飲みながらほろよいムードを漂わせる。

中村倫也の魅力は耳に程よいゆったりしたウィスパーボイス。ラジオでリスナーに向けて語りかけるような感じで質問に答える。ときに親身に、ときに塩対応でと緩急自在。料理コーナーで中村倫也がいろいろしゃべりながら料理を続ける姿は、まるで、彼氏の家に遊びに行ってその日は彼が料理を作ってくれるというから横で見ているときのような感じがする。

エプロンをうまく着れなかったり、勢いに任せて肘(ひじ)を棚にぶつけたり、調味料を入れ忘れてあとから入れたり、できたものを立ったまま食べたり、その出来に満足そうに拳を握ったり、その一挙手一投足にほのぼのする。動物の生態を追った番組を見ているような感じで、ずっと見ていても飽きない。

中村はハムスターを飼っているそうで、そのハムスターを見ている中村と、中村をモニターから見ている私達は同じような気分なのではないだろうか。ハムスターは時々、出てきて水を飲んだりしていることを中村が語るが、ハムスター自体は配信には登場しない。

◆野生の動物のような達観を感じる

なにげない日常の記録の初回は5分18秒だったが、徐々に長くなって、4月28日の11回では17分越え、5月12日の22回では28分10秒も喋っていた。おそらくこれが29回までで最長と思う。

中村は動物が好きなのだそうで、動物の話になると長くなる。動物のどこが好きかという話はわりと乾いた人生観で興味深かった。たまに、人生観の話になるのだが、そうすると口調はちょっとだけしっかりする。

5月14日の25回は、自分は立ち直りが早いほうであるという話をしていて、感情が上がっても下がってもすぐにゼロ地点に自動的に戻るとか、状態をしっかり味わって栄養素にするとか、実に冷静なことを言っていた。

そういうことに対して、ここまでブレイクするまで苦労もあっただろうからなどと訳知りに分析するのも、それこそ余計なお世話だと思うが、若い男性俳優が実際ものすごくたくさん芸能界にいて、どうしたって役の取りあいになるわけで、どうしたら俳優として生き残っていけるか考えたとき、技術を磨くことは当然ながら、精神力をいかに鍛えるかが重要になってくると思うのである。

そういうとき、中村のような考え方になるのは当然の流れのような気がする。ただ、そう思ってもなかなかできるものではない。それを淡々と自分に言い聞かせてここまで来たのかなと思うと、毎日、さもほんわかした雰囲気で、おしゃべりと料理を繰り返しているなかに野生の動物のような達観を感じるのである。

「老境まんが」(ちくま書房)というアンソロジーのなかに入った永島慎二の「生命」という漫画は狼と猟師の戦いを書いたもので、ただただ本能のままに生きて戦う狼の姿が興味深く、中村倫也にこういう役(狼だけど)を演じてほしいと思った。

◆中村倫也イヤー2020、これから巻き返してほしい

ドライだなと思うのは、料理コーナーでは、アサヒスーパードライ、ピエトロドレッシング、パスタソース・おうちパスタ、ブルボン ルマンド、ルマンドアイスとCM商品を徹底的に使用しているところ。こんなときでも(こんなときだからこそ?)クライアントの宣伝も忘れないのである。すばらしい。

5月2日の15回でピアノを購入。5月14日の25回でピアノ演奏を披露。5月13日の24回と5月15日の26回ではTシャツにプリントする道具を仕入れて、Tシャツやエプロンに文字をプリント。5月20日の29回はテーブルを作った(ものすごい音がうるさい)。

5月17日の27回では、フードプロセッサーを買おうか迷いながら、仕事再開したらそんなに料理できないからなと逡巡していたのに、いろいろ作業のできるテーブルは作ってしまう。テーブルを作りながらスリッパを脱ぎ、裸足の足をさらし、このスリッパ暑いと言っているところに、背景はずっと白い部屋の一角ながら、季節が着実に移り変わったことを感じさせた。そういうさりげない変化の見せ方もにくい。

そろそろ仕事も再開するだろう。中村倫也イヤー2020(勝手に呼んでるだけです)、これから巻き返してほしい。

<文/木俣冬>

【木俣 冬】

フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など

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