無敗馬デアリングタクトに死角はある?オークス注目馬を競馬の達人が徹底解説

日刊SPA!

2020/5/23 15:47

 春競馬も佳境にさしかかり、オークス、ダービーと一番競馬が盛り上がる時期になってきた。無観客競馬が続く中ではあるがテレビで、ネットで多くの競馬ファンが注目するクラシック戦線のオークス。無敗のデアリングタクトに死角はあるのか? オークスで注目すべき馬たちを競馬有識者たちに聞いてみた。

――まずは注目の最新刊『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)を上梓した競馬予想家・TARO氏から。

◆2020年は柴田大知騎手が“買い”のこれだけの理由

~競馬予想家・TARO氏~

<注目馬>

8番スマイルカナ

16番ウインマリリン

無観客が続く競馬界だが、今週末はオークス、そして来週は日本ダービーが行われる。1年で競馬が最も熱く盛り上がる時期といって差し支えないかもしれない。特に今年のオークスはなかなかの豪華メンバー。2歳女王のレシステンシアこそ回避となったが、それ以外の有力馬はほぼリタイアすることなく顔を揃えた。その中でも主役を担うのは3戦3勝、無敗で桜花賞を制したデアリングタクト…というのが世間一般の見立てだ。だが、当コーナーでは世間の見立てとは異なる視点で、穴馬を探してみたい。

そこで注目したいのは2頭。世間にヘタだと思われている騎手が騎乗するからこそ狙いの伏兵と、言わずと知られた名手が騎乗するのに人気がない伏兵馬だ。

◆世間にヘタだと思われている騎手は儲かる

人気の盲点という意味で、注目は桜花賞3着のスマイルカナだ。もっとも、本来であれば桜花賞3着という戦績から、人気を集めてもおかしくない存在だ。だが、恐らくスマイルカナは人気にならない。なぜだろうか?

その理由のひとつは、柴田大知騎手。柴田大知騎手は2006~2007年には年間未勝利を経験しており、引退も囁かれた(というか多くのファンが存在すら忘れかけており、遠くないタイミングで引退するものだと思っていた)が、その後に平地・障害の両G1を制するなど復活した苦労人だ。

今回騎乗するスマイルカナは、とにかくスタートが速くスピードがあり、これまでのキャリアで逃げたケースでは4戦3勝、3着1回。一度の3着は前走の桜花賞で、つまり逃げれば確実に好走する馬なのである。2走前のチューリップ賞では丹内騎手が手綱を取って控える手に出て失敗しており、恐らく今回も逃げの手に出ることが濃厚。柴田大騎手は近年不振傾向でお世辞にも上手いとは思われていないが、馬を気分よく走らせることには長けているジョッキーだ。

しかも昨年は165連敗を喫するなど、不振を極めた同騎手だが、今年は密かに好調だ。とりわけ芝では買えるジョッキーで、2020年は先週終了時点で芝に限ると単複をベタ買いしてもプラスになっている。騎手の相場は株価のようなもので、世間がヘタだと認識すればそれだけ人気にならず、むしろ実力以上に過小評価されるケースも出て来る。特に大一番ではライト層の流入が大きく、その傾向は顕著になる。武豊だから買おう、デムーロだから買おう、という人はいても、柴田大知だから買おうという人は余程の偏屈者だろう。株価でいえば‟柴田大知株”は昨年の不振で投げ売り状態。今年はむしろ必要以上に軽視され、むしろ買いの状況なのだ。

◆子から父へ手綱を繋ぐウインマリリン

もう一頭、伏兵で注目したいのがウインマリリンだ。過去4戦中3戦で手綱を取り、3戦3勝の好相性を誇った関東のホープ・横山武史騎手が騎乗停止になってしまったのは残念だが、替わって手綱を取るのは父の横山典弘騎手だ。

横山典騎手は言わずと知れたJRAを代表する騎手で、自在な騎乗をするアーティストタイプ。特に長丁場での印象的な騎乗が多く、あのディープインパクトの3冠を脅かしたアドマイヤジャパンでの菊花賞2着や、イングランディーレであっと驚く逃げ切りを決めた天皇賞(春)など、例を挙げればキリがないほど、数々の伝説を残してきた。もっともアーティストタイプなだけに、時に無気力に感じる騎乗もあるが、それはファンにはわからない感性ゆえのこと。ファンとしてはそれも込みで横山典ワールドを楽しむべきなのだ。

手綱を取るウインマリリン自身、前走で2000mを経験しており距離への不安は小さく、レースに注文がつかないのは強み。息子から譲り受けた手綱で果たしてどのようなレースを見せるのか。桜花賞組と比べると実績面では劣るが、その分未知の魅力には溢れている。名手が騎乗する割に人気もなさそうで、昨年12番人気で2着に好走しその後はジャパンカップ2着など活躍しているカレンブーケドール同様に「走ってみたら強かった」というパターンがあるかもしれない。

◆オークス展望まとめ

本命馬、対抗馬、穴馬という形で編集部からは依頼があったが、今回はこの2頭に注目する馬券を提案したい。

その他で注目は、もう一頭の無敗馬デゼル。こちらはまだキャリア2戦という馬だが、前走のスイートピーSでは豪快に大外から差し切り勝ち。次点を0秒8上回る上がり32秒5の末脚は強烈な印象を残した。鞍上のダミアン・レーン騎手は昨年短期免許で初来日し、数々の大レースをかっさらった腕達者だ。経験値では他馬に劣るが、素質でその壁を突き破ることができるだろうか。同じく2戦2勝で出走するアブレイズとともに、もしキャリア2戦でのオークス制覇となれば、長い歴史の中でも初めての快挙となる。

また、桜花賞4着でデムーロ騎手が騎乗するクラヴァシュドール、同5着で今回は武豊騎手が手綱を取るミヤマザクラ、同6着でルメール騎手が騎乗するサンクテュエール、同10着ながら2歳時には大物と言われた川田騎手が手綱を取るリアアメリアといった面々が有力だろうか。

桜花賞から800m距離が延び、出走馬の多くが未知の2400mに挑むオークス。昨年のような波乱が起こるのか、当欄ではスマイルカナ&ウインマリリンの2頭をイチオシの穴馬としたい。

――続いては、セオリーや型を用いた見解と競馬論でおなじみの本島修司氏。本島氏は例年注目の忘れな草賞組ではなく王道の桜花賞組に注目している。

◆今年は桜花賞組を評価

~競馬論でおなじみ・本島修司氏~

<注目本命馬>

2番クラヴァシュドール

<オススメ対抗馬>

4番デアリングタクト

<注目穴馬>

10番ミヤマザクラ

オークスで強いタイプとパターンは、次の2つのような馬たちだ。

●王道を歩んできた桜花賞組、特に桜花賞で良い末脚を見せた馬が強い

(ソウルスターリング、シンハライト、ヌーヴォレコルト)

●忘れな草賞圧勝馬が、王道路線の桜花賞組み相手に一発を放つことがある

(ラヴズオンリーユー、ミッキークイーン、エリンコート)

何年かに一度はオークス馬を出す、注目の「忘れな草賞馬」だが、今年はゴールドシップ産駒のウインマイティーが勝った。これは「新星」と言えるかもしれないが、父親と同様で道悪が上手そうだ。そのぶん、速い馬場になるとどうか。東京芝2400mは馬場が硬く、雨が降らなければ速い時計が出やすい。向いている舞台ではないかもしれない。そう見ると、今年も王道を歩んできた桜花賞組が有利になりそうだ。

無敗の桜花賞馬デアリングタクト。不利もあって4着だったクラヴァシュドール。東京コースの重賞を勝っているミヤマザクラ。シンザン記念を勝っているサンクテュエール 。このあたりが有力候補となるだろう。

血統的には、それぞれ順に、エピファネイア産駒、ハーツクライ産駒、ディープインパクト産駒が2頭となる。人気になるのは、無敗の桜花賞馬となったデアリングタクトだろう。これまでの3戦で見せた強烈な末脚はどれも圧巻だ。ただ、エピファネイア産駒はこの世代が一期生ということもあり、適性舞台など、現時点では未知な面もある。東京芝2400mという舞台で、硬い馬場と上手くフィットするかどうかはまだわからない。

桜花賞4着のクラヴァシュドールと、桜花賞5着のミヤマザクラ、桜花賞6着馬のサンクテュエール。この3頭の中に、無敗の女王に対して、桜花賞の時以上に食い下がれる馬がいるかもしれない。中でもハーツクライ産駒の成長力は侮れないものがある。注目したい。

――最後に、元競馬エイトトラックマンで現在は競馬伝道師として『元敏腕競馬TMの期待値マシマシ話』連載も好評な鈴木ショータ氏。なんと注目点は「デビュー戦」?!

◆1000~1200mデビュー馬が激穴!

~競馬伝道師・鈴木ショータ氏~

<注目本命馬>

12番マジックキャッスル

<オススメ対抗馬>

4番デアリングタクト

<注目穴馬>

11番リリーピュアハート

「2400mの長距離レースなのに、なぜに1200mデビュー馬を狙う!?」そう疑った方は多いでしょう。過去の大穴馬の傾向として、短距離戦(1000~1200m)でデビューした馬が非常に多いのです。少し前からさかのぼると……

クリロータリー10人気2着、タレンティドガール11人気3着、ヤンゲストシチー11人気3着、コスモドリーム10人気1着、マルシゲアトラス11人気2着、ライトカラー10人気1着、ナナヨーウイング13人気2着、チャペルコンサート12人気2着、チューニー13人気2着と二桁人気の激走が多いです。

最近は出走数も減ってきていますが、ラブカーナ8人気3着、エフティマイア13人気2着、エリンコート7人気1着と、やっぱり穴をあけるなら短距離戦デビュー馬なのです。

なぜこのような因果関係があるかというと、オークスは「折り合い力」が問われるため。ほとんどの馬にとってオークスの2400mは初めての距離。そこで重要なのはスタミナをロスせず走れる「折り合い力」になります。短距離戦でデビューした馬は、クラシックを意識するにつれて、距離を延ばしてオークスに駒を進めてきます。そこで訓練を積んできた「折り合い力」が、2400mの距離でも生きると予想します。

今年、唯一該当するのが芝1200mの新馬戦を勝ったマジックキャッスル。2戦目には1600mのレースを使い2着。その時の1.3着馬は、その後GⅠでも好走するマルターズディオサ、ギルデッドミラーでした。2頭はともに、前走でも1600mを使っていたぶん、当馬よりも有利なローテーションで出走していただけに、能力は互角以上でしょう。

デアリングタクトはウオッカ級の器で、ここも鉄板。エルフィンSは1.33.7というウオッカのタイムを0.1秒更新し、史上最速タイム。それも上がり34.0という点まで全く同じです。それも前半4F46.3という過去最速のハイペースでも、脚をためて爆発させたことから、ウオッカ以上の可能性すら感じます。

400m以上の距離延長で連対経験のあるのがホウオウピースフルとリリーピュアハート。特に後者は、距離延長のローテーションでは2戦2勝と底を見せておらず、「折り合い力」の問われるオークスでは穴馬として推奨したい。

【TARO氏】

競馬予想ブログとしては屈指の人気を誇る『TAROの競馬』を主宰する気鋭の競馬予想家。最新の著書に『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(扶桑社)が発売中。

※最終的な結論はブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定。

【本島修司氏】

作家、エッセイスト。喫茶店を舞台にしたエッセイや、競馬論を中心に執筆。中でも競馬論は、’08年に「馬単位」という概念を提唱。セオリーや型を用いた見解と、予想売りにならない姿勢が多くのファンから支持されている。近刊に『正当化競馬に勝つ方法』、小林弘明氏との共著『日本競馬頂上分析』(秀和システム)。『自分だけの「ポジション」の築き方』(WAVE出版)など。

※最終見解は、本島オフィス公式noteにて公開予定。

【鈴木ショータ氏】

元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。

※『鈴木ショータのPDF新聞』をコンビニプリントやネットで販売中

【勝SPA!取材班】

SPA!が運営する日刊SPA!内のギャンブル情報サイト「勝SPA!(かちすぱ)」の取材班。Twitter(@kspa_official)

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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