【医師監修】胎児の大きさの調べ方は?測定方法と発育の目安、考えられるトラブル



妊娠中に気になるのが、お腹の赤ちゃんの成長ですね。妊婦健診では、胎児の推定体重を計測します。ここでは胎児の発育の目安と測定方法、測定結果からわかるトラブルについて紹介します。

この記事の監修ドクター

産婦人科医 太田寛先生

アルテミスウィメンズホスピタル産婦人科(東京都東久留米市)勤務。京都大学電気工学科卒業、日本航空羽田整備工場勤務。東京医科歯科大学卒業後、茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センター、北里大学医学部公衆衛生学助教、瀬戸病院を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、医学博士、インフェクションコントロールドクターICD)、女性のヘルスケアアドバイザー、航空級無線通信士

胎児の発育の目安

まずは胎児成長曲線をチェック
妊娠中に定期的に行われる妊婦健診では、お腹の赤ちゃんの状態を調べる超音波検査が行われています。この超音波検査は、赤ちゃんが健康に生まれるように、胎児のころから健康を見守り発育を管理するためのものです。

超音波検査の際には、お腹の赤ちゃんの頭やお腹、足などの測定が行われています。これらの数値から、赤ちゃんの推定体重が計算されます。

この推定体重を、母子手帳にも載っている「胎児成長曲線」と測定された数値と照らし合わせることで、赤ちゃんの発育が正常かどうかを確認することができます。胎児成長曲線は、日本人の胎児超音波検査の計測データをもとに作られたものです。

胎児発育曲線[*1]

日本産科婦人科学会「胎児計測と胎児発育曲線について」より作成

http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_hatsuiku_kyokusen.pdf
3つの線は、上から「+2.0SD」、「平均」、「-2.0SD」となっています。SDとは標準偏差という意味です。

正常に発育している胎児の95.4%の測定値は、「+2.0SD」~「-2.0SD」の間(赤色の範囲)に入ります。正常に育っている胎児の約98%は、一番下の「-2.0SD」よりも上になります。

ただし、正常に育っていても曲線の外にはみ出す子もいますし、1回の測定値だけでは赤ちゃんが順調に発育しているかどうかはわかりません。あくまで、おおよその目安と考えてくださいね。

この範囲から外れている場合には、赤ちゃんがまだ見つかっていないトラブルを抱えていないかなどを考えて、さらに詳しく検査する場合もあります。ただし、誤差も大きいので1回の測定からだけでは、何とも言えません。
胎児の大きさの調べ方って?
妊婦検診の超音波検査で測って、計算します
妊娠中に超音波検査を行う頻度は施設によって異なりますが、毎回行う産院も少なくありません。厚生労働省が例示する標準的な妊婦健診の頻度と超音波検査の回数は次の通りです。

・妊娠初期から妊娠23週まで……妊婦健診:4週間に1回、超音波検査:期間内に2回

・妊娠24週から妊娠35週まで……妊婦健診:2週間に1回、超音波検査:期間内に1回

・妊娠36週から分娩まで……妊婦健診:1週間に1回、超音波検査:期間内に1回[*2]

超音波検査では、次の数値を計測します[*3]。

・BPD:児頭大横径(胎児の頭の一番大きな部分の横幅)

・APTD:躯幹前後径(胎児のお腹の前後幅)※

・TTD:躯幹横径(胎児のお腹の横幅)※

・AC:躯幹周囲長(胎児のお腹周りの長さ)※

・FL:大腿骨長(胎児の太ももの骨の長さ)

※「APTD+TTD」または「AC」のどちらかを測定します

超音波検査で計測した上記の数値を使って、お腹の赤ちゃんの推定体重(推定胎児体重:EFW)を計算します。

胎児の推定体重には誤差があります
胎児の正しい体重は、外に出して体重計で測らないとわかりません。超音波による推定胎児体重は、超音波で測った一部分の長さから計算したものなので、誤差があるものです。

基本的には推定胎児体重、実際の赤ちゃんよりも10%多かったり少なかったりすることもある、と考えられています。たとえば、「推定胎児体重が2000g」の場合は、「実際の体重は1800~2200gくらい」ということになります[*1]。

妊婦健診のたびに赤ちゃんの体重に神経質にならなくてもいいということがわかりますね。
胎児発育曲線からはみ出していたら
1回の計測だけで判断しないで
赤ちゃんの個人差や計測上の誤差があるので、赤ちゃんの発育が順調かどうかは、妊婦健診のたびに計測した数値を胎児発育曲線の上につけていき、どんなふうに変化していっているかを見て総合的に判断します。

「『推定胎児体重と胎児発育曲線』保健指導マニュアル」平成24年3月発行 平成23年度厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「地域における周産期医療システムの充実と医療資源の適正配置に関する研究」(H21-子ども-一般-002)「胎児推定体重」保健指導マニュアル作成グループ p.25より作成

http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_taiju_hatsuiku_201203.pdf
上の図には、●と●で表した2人の赤ちゃんの推定胎児体重がつけられています。

妊娠30週の●と●を見て、下側に近い●の赤ちゃんの方が心配なのでは、と思う人もいるかもしれません。でも、小さめの赤ちゃんもいれば大きめの赤ちゃんもいます。そのため、1回だけの数値では正常な発育かどうかはわかりません。

たとえば、●の赤ちゃんは、推定胎児体重が胎児発育曲線の上下の線の間にあります。少し下側にあるものの、それぞれの〇をつなぐと右肩上がりに変わっていくのがわかります。この変化から、●の赤ちゃんは正常な発育だとわかります。

●の赤ちゃんは、妊娠24週ごろから妊娠30週までは、胎児発育曲線の上下の線の真ん中あたりに●があります。ところが妊娠32週以降はだんだんと下の線に近づいていき、妊娠37週以降は下の線よりも下に●がついています。この変化は、胎児発育不全の典型的なパターンです。

推定胎児体重が小さ過ぎる場合
胎児発育曲線に推定胎児体重をつけていって、赤ちゃんが小さめなのではないかと思うこともあるかもしれません。

医療機関では、推定胎児体重が小さめで胎児発育不全の可能性がある場合に、次の点を説明しています。
推定胎児体重の誤差
発育評価には時間が必要
赤ちゃんの発育の評価にはある程度の時間がかかります。1 週間程度たって検査を繰り返す必要があります。
未熟児でははい
推定胎児体重が「小さめ」というのは「未熟児」という意味ではありません。体重が重くても未熟な状況もあります。逆も同様です。
赤ちゃんの成熟度
赤ちゃんの成熟度に、一番大きく影響するのは「妊娠週数」です。推定体重が軽かったとしても、妊娠週数が大きい方が成熟しているのです。
出産予定日は変更しない
妊娠初期から妊婦健診に通っている場合は、妊娠週数の確認は済んでいます。そのため、発育が小さめでも予定日が変わることはありません。
胎児発育曲線との関係
推定胎児体重が胎児発育曲線の上下の線の間に入っていれば、生まれた時の体重も正常だと期待できます。
時間をかけて見守って

1回の検査で推定胎児体重が小さめだったとしても、今後の検査で推定胎児体重が右肩上がりになっていけば大丈夫です。時間をかけて見ていきましょう。

赤ちゃんが小さめだと感じたら、医療機関の専門家と一緒に赤ちゃんの発育を見守っていくことが大切です。一人で思い悩まないで、気になったらかかりつけの産婦人科に相談してくださいね。
推定胎児体重が大き過ぎる場合
妊婦健診で胎児発育曲線を明らかに超えて大きい推定胎児体重が続く場合もあります。そのような場合には、ママの妊娠糖尿病や赤ちゃんのトラブルなどが隠れていないかを調べていくことになります。

検査によって、妊婦さんが妊娠糖尿病であるとわかったら、血糖値が正常範囲になるように食事療法や薬物治療を行うことがあります。これを放置すると、生まれたときの体重が4000g以上の巨大児に育って、難産になったり、赤ちゃんが低血糖になったりすることがあります。

なお、病気がなくても、単に両親が身体の大きい人だから赤ちゃんも大きいという場合もあります。ちなみに、欧米での巨大児の定義は4500g以上です。人種によって定義が違うことがわかりますね。上で示した胎児成長曲線は、両親とも日本人である場合に作られた基準ですから、国際化した現代では当てはまらなくなる場合もあります。

いずれにしても、かかりつけの産婦人科で産婦人科の先生とよく相談して対処していきましょう。

難産
赤ちゃんが大き過ぎると、お産が難産になりやすくなります。回旋異常や産道裂傷などが起こりやすくなります。赤ちゃんの肩が中で引っかかって難産になることもあります(肩甲難産)。また、緊急帝王切開になる可能性も、正常体重の赤ちゃんよりも大きいです。
合併症
難産になりやすい分、合併症も起こりやすくなります。赤ちゃんの呼吸困難、けいれん、黄疸、低血糖などが考えられます。

巨大児の可能性があるとわかったら、まずは妊婦さんの血糖値を検査します。

妊婦さんが糖尿病だったり糖尿病の体質があるとわかったら、血糖値が正常範囲になるような食事療法や薬物治療を行うことがあります。

なお、病気などの背景がなく、赤ちゃん自身が大きめな体質だったり、遺伝的に大きい場合もあります。

いずれにしても、かかりつけの産婦人科で産婦人科の先生とよく相談して対処していきましょう。
気になる時には産院で相談を
測定値が気になったら、妊婦健診の時に詳しく尋ねてみたり、看護師さんや助産師さんに相談したりしましょう。今までたくさんの赤ちゃんを見てきた経験をもとに、アドバイスをしてもらえるはずです。
まとめ

お腹の赤ちゃんの発育は、妊婦健診の超音波検査で計測される推定胎児体重から調べることができます。順調に発育しているかどうかの目安となるのが、母子手帳にも載っている胎児発育曲線です。ただし計測した時の誤差や性差、個人差が大きいので、1回の推定胎児体重が曲線からはずれていても単純に問題があるとは言えません。何回か計測を続けて、胎児発育曲線に数値を書き込み、発育の変化を見ていくことが大切です。

専門家以外の人が判断するのは難しいので、不安な時や気になった時には、妊婦健診の時に医師や産科の看護師さん、助産師さんに相談してくださいね。妊娠・出産のプロと一緒に、お腹の赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。
(文:大崎典子/監修:太田寛先生)

※画像はイメージです

参考文献

[*1]「胎児計測と胎児発育曲線について」日本産科婦人科学会

http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_hatsuiku_kyokusen.pdf

[*2]厚生労働省「妊婦健診を受けましょう」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken13/

[*3]「『推定胎児体重と胎児発育曲線』保健指導マニュアル」平成24年3月発行 平成23年度厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「地域における周産期医療システムの充実と医療資源の適正配置に関する研究」(H21-子ども-一般-002)「胎児推定体重」保健指導マニュアル作成グループ

http://www.jsog.or.jp/public/shusanki/taiji_taiju_hatsuiku_201203.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

当記事はマイナビウーマンの提供記事です。

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