「青二プロダクション」声優陣が声、表情、全身で<命>を表現! 朗読劇を超えた新しい芸術『Symphonic Drama 「火の鳥 ~黎明編~」』レポート

ウレぴあ総研

2020/5/22 17:00

野沢雅子、銀河万丈、古川登志夫ら声優界のレジェンドから、神谷浩史、緑川光、中井和哉、沢城みゆき、島﨑信長などアニメ・ゲームでおなじみの人気声優が多数所属している「青二プロダクション」。

青二プロダクションの創立50年とTOKYO MX開局25周年を記念した公演Symphonic Drama 「火の鳥 ~黎明編~」の無観客公演が2月29日、3月1日、舞浜アンフィシアターにて開催された。

青二プロダクション所属の声優60名以上が参加し、手塚治虫の名作『火の鳥』を朗読するという事で、大きな注目を集めチケットが即ソールドアウトしていた本公演は、新型コロナウィルス感染拡大防止の為<無観客収録>という形で行われた。

今回、「menew」では特別に公演の様子を取材したレポートを掲載する。

■円形のステージに響き渡る声たち 新感覚の朗読劇に引き込まれる

朗読するのは『火の鳥』の「黎明編」。手塚治虫氏が漫画家として活動をはじめた初期から晩年まで描き続けていた『火の鳥』の始まりとなる物語。

ステージが円形にデザインされ、せり上がり装置など凝った設計で知られる舞浜アンフィシアター。開演前の劇場は静寂に包まれ、これからどの様な『火の鳥』が始まるのか期待が高まる。

揃いの白い衣装に身を包んだ男女30名以上のキャストが登場すると、「命とは何だ?」と声を合わせる「群読」。力強い語りかけは本公演中にしばしば登場するのだが、その度に迫力に胸がふるえる。

語りの古川登志夫が登場し【序曲 生と死】と読み上げると、いよいよ物語が始まっていく。

中央せり上がりから登場し、「生き血を飲むと不老不死の体になれる」という伝説を持つ“火の鳥”を狙うウラジ(置鮎龍太郎)。火の鳥は光の演出で表現され、その姿が見えずとも火の鳥がどれだけ強く、凄い存在なのかを観客に知らしめる。

力の入った声優陣の熱演と、音と光の演出。『Symphonic Drama』が通常の朗読劇とは異なる、新しい表現方法の舞台である事が開始5分で実感出来るのである。

■鬼気迫る演技に華麗な歌唱 声の表現力に圧倒

<第一楽章 クマソ>では、本作を牽引していく存在であるナギ(松野太紀)、ヒナク(皆口裕子)、グズリ(緑川光)、シビキ(野沢雅子)らが暮らす「クマソ」という国の話が展開していく。

平和に暮らしていたクマソの人々、しかしここは“日本”が誕生する前の混沌とした世界であり、領土争いが絶えない。ある日、猿田彦(銀河万丈)率いる「ヤマタイ」の軍が攻めてきて「クマソ」の人々は追い詰められていく。村の長老シビキは毅然とした態度で村人達を守ろうとするのだが……。

野沢雅子による鬼気迫る演技、会場に響く断末魔の叫びは息を飲む迫力。Blu-rayでもその熱演に鳥肌がたつはずだ。

<第二楽章 ヤマタイ>での見所は、猿田彦に連れられヤマタイで暮らすことになったイザナギの成長、女王ヒミコと弟スサノオの関係、ヒミコ周辺の人間関係だ。

圧倒的な権力を持ち、国民から崇められるヒミコ(小山茉美)であるが、弟であり政治をサポートしているスサノオ(神谷浩史)は姉の考えに疑問を抱いている。

日々の葛藤の中、奴隷であるアグリ(藤井ゆきよ)に癒しを求めるのだが、スサノオに想いを寄せるサトメ(柿沼紫乃)はアグリを恨む日々。第一章で描かれた圧倒的な強さを持つヤマタイであってしても、内部には様々な事情、思惑が混在している事が語られていくのである。

ヒミコの鬼気迫る迫力の歌唱、アグリによる美しい癒しの歌声も必見だ。

■本物の炎の演出も! 緊迫感あふれるステージは佳境へ

<第三楽章 火の山>では、火の鳥に近づいていく、ナギ、ヒミコらヤマタイの軍隊の姿が描かれる。

ここでは、ヒミコに火の鳥を打つように命じられた、弓の名手の弓彦(中井和哉)も多く登場する。火の鳥を守る様に轟く火の山、それに翻弄される人間たち、そこに実際に山は無いのに存在する様に感じさせる迫力の演出は見ものである。

また、これまでヴェールに包まれてきた火の鳥の存在が次第に明らかになり、火の鳥を演じる沢城みゆきの美声をたっぷりと味わうことが出来る。火の鳥がナギに呼びかける心の声は、「命とは何だ?」という本作のテーマに対する答えの様であり、新たな問いかけの様にも感じられるのだ。

<第四楽章 騎馬軍団>には、ヤマタイ国を征服しにやってきた高天原族のニニギ(田中秀幸)が登場。クマソの国を倒し、強大な力を持っていたヤマタイが崩壊していく、盛者必衰な展開は現代の社会に通じる寓話の様である。

タカマガハラとヤマタイの戦闘シーンでは、タカマガハラ軍の勢力を表現する「ザザッ…ザザッ…」という群読、本物の炎による演出も物語に緊迫感を与える。

本公演の冒頭で、クマソをあっけなく倒してしまったヤマタイをも翻弄するタカマガハラの力の強さに圧倒される。

また、ナギと猿田彦が出会う女性キャラクター、ウズメ(桑島法子)にもご注目。ウズメの醜い見た目に猿田彦は驚くが、ウズメは猿田彦に一目惚れをしてしまう。コミカルに舞い歌う“愛の唄”は非常に印象的で、その後に明かされる真のウズメの姿とのギャップに驚かされるだろう。

ヒナクとグズリの息子であるタケルが新しい命をつなげていく<終曲 黎明>では、どの様な過酷な状況であっても生きていく命の強さが描かれ、『火の鳥』という物語の魅力を改めて味わうことが出来る。

これまでに登場し、キャラクターを演じてきたキャスト全員も群読に加わり、「命とは何だ?」という問いかけもますます迫力を増していくのである。

実力派キャストがしのぎを削り、声、表情、全身で<命>を表現した本公演。数々の映画・舞台で唯一無二の世界観を紡いできた深作健太による演出、ヴァイオリニストであり作曲家である土屋雄作による荘厳で美しい音楽、円形舞台の特徴を最大に活かした気迫あるセットは必見。

Blu-rayでは細部まで何度でも楽しむ事が出来る。関わったたくさんの人が心血を注ぎ<朗読劇>を新しいエンターテイメントに進化したSymphonic Drama 『火の鳥 ~黎明編~』。『火の鳥』という普遍的な物語の凄さ、声の持つパワーの素晴らしさを耳と目と心で味わって欲しい。

今回の公演が完全収録されたAONI PRODUCTION 50th Anniversary Symphonic Drama「火の鳥~黎明編~」× Drama CD「火の鳥~未来編~」は2020年5月29日(金)に発売。※通信販売のみでの取り扱いとなります。

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当記事はウレぴあ総研の提供記事です。

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