LiDARって何? どうして未来の携帯に必要なの?

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Image: Apple

これからのARがよりエキサイティングに!

新しいiPad Proには既に入っていて、次のiPhone 12にも搭載が予定されていて、過去数年、Android携帯にもその一種が搭載されたものとは、一体何でしょう? 正解はLiDARです。ではそもそも、LiDARってどういうものなのでしょう? そして、どうして私たちの携帯に必要になるのでしょうか? 今回は、LiDAR技術の仕組み、様々な用途、さらに、この技術がいずれスマホのカメラのように当たり前になる理由を説明したいと思います。

LiDARとは


LiDAR(Light Detection And Ranging)の名前を聞いたことがある方がいたら、それは恐らく自動運転車関連ではないでしょうか? 自動運転車の多くはLiDARを使うことで、自分がどこに向かっていて、周囲に何があるのかを検知しています。

でも実は、LiDAR技術の歴史は自動運転車よりはるか昔に遡ります。そもそもの技術の誕生は1960年代で、当初の目的は人工衛星や軍事目標のトラッキングでした。その技術の根本は現代のLiDARと同じで、光を使うことで目標を追うというものです。

光(正確にはレーザー光)が障害物に当たって跳ね返ってくるまでの時間を測ることで、その障害物の位置がわかります。これは世界初のLiDARでも、今のiPadのLiDARでも変わりません。

1980年代にはLiDAR技術が飛躍的に進歩し、赤外線レーザーを使うことで、飛行機から建物や山岳などの地形を計測することが頻繁に行われるようになりました。同じ技術は現在でも使われており、海底隠れたマヤ文明の開拓地など、あらゆるものの計測に使われています。
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Image: University of Miami

跳ね返った光が返ってくる時間だけでなく、返ってくる時の角度も記録することで、LiDARのデータは他のデータを複合することで非常に正確な3Dマップを作ることができます。プロ用のLiDARシステムには、現在のスマホでは当たり前になったGPSユニットがついていることが多くなりました。

自動運転車におけるLiDAR


また、前述の通りLiDARは自動運転車にも非常に便利です(イーロン・マスクはお嫌いなようですが)。車の上に乗ったLiDARスキャナーは、運転手が見れないような物体までリアルタイムで「視る」ことができ、ポイントクラウド(計測データを元に作られた3次元の点地図)を形成することで、避けるべき障害を検知します。

LiDARは、使われているセンサー次第では空気中の汚染物質を検知したり、飛行場の利用客の列をモニタリングしたりもできます。これらの用途に共通しているのは、データ収集とデータ分析の繊細なバランスが大切なことで、これはタブレットやスマートホンでの利用の際にも重要な要素です。

モバイル用LiDAR


ここで話をモバイルデバイスに戻しましょう。新たな深度センサーを表現するためにLiDARという言葉を使ったのは、モバイルデバイス業界の中ではAppleが初めてです。深度センサー自体は、iPhoneやiPadには何年も内蔵されていました(ポートレートモードで背景をボカしたりするのに使われています)。しかし、LiDARはこのセンサーの機能を一気にレベルアップさせます。
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Image: Apple

Appleによりますと、iPad Proに内蔵されているLiDARセンサーは光子レベルで動作し、5mの範囲内をナノセカンド(つまり瞬きする瞬間に)でスキャンできます。データ解析の大部分は、A12Z Bionicチップが間違いなく担っているでしょう。ということは、安価な携帯にLiDARが搭載されることはしばらく無いと思われます。

ARの新たな可能性


LiDARによる最も大きな違いは、Appleが大好きな拡張現実(AR)の分野に現れます。例えば、iOSとiPadOSにプレインストールされる計測アプリはLiDARが導入されることで、より速く、より正確で柔軟に計測できるようになります。おかげで、縦、横、高さがなんとなく測れるノベルティアプリではなく、より真面目な計測用ツールとして利用することができるのです。

また、LiDARがあることで、Appleデバイスとしては初めて海底や山をマッピングしていたのと同じように周囲の環境を詳細まで3D化できるようになったのです。つまり、テーブルの上でMinecraft(マインクラフト)をプレイするどころか、テーブル、床、猫の周りまで含めてマイクラの舞台にできてしまうのです。

自分の部屋にバーチャルな家具を設置できるARアプリなどでは、現実に置いてある物にぶつかったりすることでより本当にその場に家具があるかのように見えるし、ARゲームでは、キャラクターが角を曲がったり壁をよじ登って登場したりする様が、よりリアルに見えるでしょう。
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Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

オブジェクト配置はより正確で見た目もリアルになり、モーションキャプチャーはより多くの情報を取り込め、空間に配置された物体はどのARアプリ上(LiDARによって向上する要素は、AppleのARKitフレームワークに自動的に反映されます)でもより正確に扱われることになります。

現時点では、LiDARは必要なデータ処理量とセンサーのサイズの関係で、最もハイエンドなデバイスに限られています。しかし、モバイル関連の技術がすべからくそうであるように、いずれ安くてより実用的になるでしょう。それに、Appleが今後も力を入れ続けるなら、取り込み可能な範囲と精度はさらに上昇するでしょう。

とはいえ、スマホ用LiDARが絶対に普及するとは限りません。深度検知技術は他にもありますし、人工知能によって普通のカメラの映像から深度を検出する技術もより正確になっていくでしょう。しかし、LiDARはどんな明るさの場所でも素早く正確に動作できます。AppleがLiDARに賭けている理由はそこにあるのでしょう。

AppleのLiDAR  vs Android携帯のLiDAR


ただし、Appleの最新のiPadが使っているタイプのLiDARは、ハイエンドAndroid携帯が使っている技術とは大きく違います。Android携帯に使われている深度センサーはToF(Time of Flight、飛行時間)センサーと呼ばれるもので、結局のところはLiDARです。ToFはLiDARのように、反射された光を使って距離を測り、カメラエフェクトやARに利用しています。しかしToFセンサーの場合、一度のパルス信号で周囲の環境をマッピングする、スキャナー無しのLiDARなのです。一方、AppleのLiDARはスキャナーがあり、複数の光を使ってより高い頻度と正確さで検出します。

初めてのiPhoneが登場してから13年。もうかつてのようにスマートフォンにアッと驚くようなことはなくなりましたが、それでもこれからもスマートフォンはよりスマートで多機能になっていくことを 、LiDARは証明しているのです。

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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