仕事も人生も「うまくいく人」は、自己肯定感の高さがちがった。/心理カウンセラー・中島輝


あなたのまわりに、仕事や人生が順調に見える人はいませんか? 能力やスキルはそれほど変わらないのに、なぜかものごとがうまくいったり、いつの間にか大きな差がついてしまったりしている……。そんな人を見ると、心が焦ってしまい、自信を失うこともあるかもしれません。いわゆる「うまくいく人」は、ほかの人といったいなにがちがうのでしょうか?

自己肯定感の第一人者である心理カウンセラーの中島輝さんに、人生がうまくいく理由とそのコツを聞きました。
○人生を前進させるトライアングル

社会人として活躍する若い世代の人たちにとって、わたしは「自己肯定感」を持つことが大切な仕事だと考えています。でも、「自己肯定感」といってもどこか抽象的で、よくわからないという人もいると思います。

そもそも自己肯定感とはなにか? それは、あなたという存在を支えるエネルギーのことです。このエネルギーが高い状態になると、人は「自分には目標を達成できる力がある」「自分は幸せに生きる価値がある」「近い将来きっといいことがある」と自然に信じることができます。

端的にいえば、「どんな自分であっても自分にイエスと言える状態」ということ。そんな状態を根底から支えているのが、自己肯定感なのです。

では、どうすれば自己肯定感は高まるのか? わたしがいつも伝えているのは、「(1)感情」「(2)ものごとのとらえ方」「(3)行動」という3つの要素に働きかけること。人には持って生まれた才能や、後天的に身につけた能力がありますが、わたしはそれ以上に「(1)感情」の持ち方が非常に重要だと考えています。

いつもポジティブな気持ちで生きているのか、ついネガティブな感情にとらわれてしまうのかで、人生はまったく異なったものになるからです。

「(2)ものごとの捉え方」も大切です。自分に起きた出来事をプラス思考でとらえるのか、悲観的にとらえるのか。それによっても人生の景色はまったく変わります。そして、「(3)行動」。勇気を持って行動に踏み出せるのか、無意識にブレーキをかけてしまうのか。

要するに、人生でうまくいくためには、「ポジティブな感情」を持ち、ものごとを「プラス思考」でとらえ、「行動」のアクセルを踏んでいく。そんな才能や能力を超えたところにある「自分軸のエネルギー」が必要なのです。

これら、3つの要素は連動しています。たとえば、(2)のプラス思考をしようと思うなら、(1)のポジティブな感情が伴っていなければできません。そして、(1)の感情を自然に持つためには、ふだんから積極的に(3)行動に踏み出し、たくさんのフィードバックを得ていることが助けになります。

つまり、いま自分の能力がどんなレベルであれ、このサイクルを回していけば、どんどん才能が開花していくということ。わたしはこのサイクルを、「人生を前進させるトライアングル」と呼んでいます。
○「見える化」すれば感情や思考のゆがみを変えられる

「人生を前進させるトライアングル」のポイントは、(1)(2)(3)どこからでも、自己肯定感を高められること。方法はいろいろありますが、いくつか具体的な方法を紹介しましょう。

まず、「(1)感情」を高めたいなら、ネガティブな感情に陥ったときに、その感情のゆがみに気づかせてくれる「見つめ直しメモ」が役に立つでしょう。やり方は至って簡単。

ネガティブな感情を持つきっかけとなった出来事を振り返り、そのときの状況を具体的に書き出すのです。それによって、自分の意志とは関係なく生じてしまう「自動思考」を修正することができます。

ネガティブな感情を持ったのは、「いつ?」「どこで?」「誰と?」「なにをしていたとき?」
そのときにパッと浮かんだ自動思考は?

この「見つめ直しメモ」を何度か繰り返していると、自分の感情の傾向を認識できるようになります。人生が「うまくいく人」は、けっしてネガティブな感情を感じない人ではありません。そうではなく、自分を否定する気持ちを感じたときに、それを自分で修正できる方法を知っている人なのです。

「(2)ものごとのとらえ方」についても、簡単な方法をひとつ紹介します。それが、「1分セルフトーク」。これは、とくに仕事などでプレッシャーを感じたときに、ものごとのとらえ方を変えるために活用できます。やり方は、まずゆっくりと深呼吸し、その後1分間で「自分がすでに持っている能力や強み」を思い浮かべてください。

書類やデータをつくることが好き
人の話を聞くことが得意だ
ものごとを深く考えることができる
相手を思いやることができる

次に、それらの才能・強みから、いまプレッシャーを感じている状況に対して使える能力を書き出します。すると、ピンチだと感じていた状況のなかでも、「自分にはできることがある」「自分はうまくやることができる」と、ものごとをプラスにとらえられるようになる。

つまり、仕事に合わせてその都度自分を変えようとするのではなく、あくまで自分の得意な能力や強みを使って、仕事に向かっていくのです。

○ネガティブな感情は「言葉」を使って転換する

このように、自己肯定感を高めるためには、自分の感情やものごとのとらえ方、行動を別の立場から見る姿勢が必要です。これを心理学では「メタ認知」と呼びます。でも、先に紹介したようなテクニックを使っても、メタ認知を持つことが難しいという人もたくさんいるでしょう。なぜなら、人間には主に以下のようなネガティブなスイッチ(認知バイアス)があるからです。

小さなことにとらわれてしまう
1つのものごとに執着してしまう
目先の不安に流されてしまう

誰しもが持つこれらの傾向を転換する方法を知っていると、心が楽になって、自己肯定感を高めやすくなります。そこで、1~3の状態に陥ったときは、次のような言葉を口にして、意識的に考え方や行動を変えてみてください。

「ま、いっか」
「その考え方・やり方もいいね」
「なんとかなるよ!」

「ま、いっか」と思うようにすると、状況を大局的にとらえられるようになり、ものごとがいい方向へと変わりやすくなります。また、「その考え方・やり方もいいね」と考えると、複数の視点から対処法を得ることができます。自分だけでなく、きっとまわりの人も肩の力を抜くことができるでしょう。

そして、「なんとかなるよ!」と口にしていると、無用に焦ることなく、未来の可能性を見据えることができるのです。

これら3つの言葉は、意識すればするほど自然に使えるようになります。そして、習慣になれば、自分の心のなかで起きていることを客観的に見つめることができ、どんなものごとでも心を楽にして考えられるようになっていきます。

ネガティブな感情を否定するのではなく、言葉を意識的に使って、心をフラットな状態へと転換していく。このセルフコーチングの力は、きっとあなたの大きな味方になってくれるでしょう。

構成/岩川悟(slipstream) 取材・文/辻本圭介 写真/玉井美世子

○中島輝(なかしまてる)
心理カウンセラー、メンタルコーチ、トリエ代表、肯定心理学協会代表。5歳で里親の夜逃げという喪失体験をし、9歳ごろから、HSP、双極性障害、パニック障害、統合失調症、強迫性障害、不安神経症、潰瘍性大腸炎、斜視、過呼吸、認知症、円形脱毛症に苦しむ。25歳で背負った巨額の借金がきっかけでパニック障害と過呼吸発作が悪化。10年間実家に引きこもり、自殺未遂を繰り返すような困難な精神状況のなか、独学で学んだセラピー・カウンセリング・コーチングを実践し続ける。10年後、「恩師の死」がきっかけとなり35歳で症状を克服。その後、30年間の人体実験と独学で習得したメソッドを用いたカウンセリングとコーチングを24時間365日10年間実践。Jリーガー、上場企業の経営者など15,000名を超えるクライアントにカウンセリングを行い、回復率95%、6カ月800人以上の予約待ちに。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれ上場企業の研修オファーも殺到した。現在は、ニューライフスタイルを提案する資格認定団体「トリエ」を主催し、120以上のオリジナル講座を開発。著書に『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』(ともにSBクリエイティブ)、『エマソン 自分を信じ抜く100の言葉』(朝日新聞出版)など多数。
『1分自己肯定感』(2020年:マガジンハウス)

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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