【インタビュー】コロナ禍での「保育園」の取り組み。オンライン保育も!

ウレぴあ総研

2020/5/22 06:30

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、仕事が休めない保護者を支える保育園でも休園、もしくは登園自粛を要請する自治体が増えてきました。

今までとは一変した生活に戸惑っている保護者は少なくないですよね。

保育園側も、開園を続ければ感染の危険と隣り合わせの保育を続けることになりますし、休園すれば保育の代わりに何ができるか、悩みは尽きません。

今回、コロナ禍のもと、保育園側はどういった取り組みをしているのか、休園を含む複数の保育園を運営する法人団体の代表2名にお話をうかがいました。

■原則開園している保育園の取り組み

まずお話をうかがったのは、6つの保育園と2つのこども園を運営する社会福祉法人つぼみ会の中嶋雄一郎統括園長。

現在(5/11)、自治体から原則休園の要請が出ている2園以外は、原則開園しています。

とはいえ、保護者が在宅勤務になり家で子どもを見ることが可能であれば、登園自粛を要請しているところがほとんどのため、登園率は20-30%に留まっているそう。

保護者からの無理な要望がないかお聞きしたところ、

「今のところ、保護者の皆さんにはご理解いただいていますね。相談という形はあっても、クレームはありません。ですが、“在宅勤務でやっているが子どもがいると仕事ができない”という声はよく耳にします」

とのことでした。

■子どもたちはいつも通り

登園している数少ない子どもたちにとっても、今まで一緒に遊んでいた仲間の大半がいない今の状況は異常事態と言えます。園での子どもたちの様子をうかがうと、

「特に不安な様子は見られません。どんな状況でも一生懸命遊んでいますよ。ですが、三密を避けた保育をすることは難しいですね。保育士は可能な限りマスクをしていますが、子どもたちには強要できませんし」

子どもはどんな状況でも遊びます。長引くコロナ禍に親の不安は尽きませんが、遊び方や場所が限定されるにせよ、なるべくのびのびと遊ばせてあげたいものです。

■保育で気をつけていること

今、保育をするにあたって気をつけていることをお聞きしました。

「消毒・検温は普段以上にこまめにしています。

園庭のある園は外で遊べるのでいいのですが、街中にある園だと外にお散歩に行くときに注意が必要です。どうしてもかたまってしまうので、できるだけ少人数に分かれて行くようにしています。ご近所の方から注意を受けてしまったこともあります」

様々な考え方があるなかで保育を行う難しさが、コロナ禍で浮き彫りになっています。

■登園できない子どもたちに向けた発信を開始

つぼみ会では、登園できない子どもたちに向けての発信も始めています。

「おうちで過ごしている子どもたちに向けて、4月17日からYouTubeチャンネルを始めました。工作の作り方、運動遊びの仕方、おやつの作り方、出し物など、自分たちで動画をつくって、1日に1,2本はアップできるようにしています。

普段会っていた先生の顔が見られるだけでいいみたいで、保護者の方からも“楽しみにしています“という声をいただいております」

■今後の心配

これだけ長く続くと、今後の活動について心配も出てくる、と中嶋さんはおっしゃっていました。

「子どもの数が少ないので交代勤務でやっていますが、在宅勤務している保育士がいかに8時間働けるようにするかが課題です。動画編集などが主な仕事ですが、それにも限りがありますし」

子どもあっての保育園。ですが、新型コロナウイルスが猛威を振るっている今、感染しないことが最優先事項のため、ジレンマに苛まれている様子が伝わってきました。

■早い時期から休園を決めた保育園の取り組み

次にお話を伺ったのは、保育園の繭の糸グループを運営する辻村人財コンサル㈱辻村あい理事長です。

自分の子どもを通わせたい保育園をつくるという想いから、4年前に文京区に保育園を立ち上げ、今では文京区・新宿区に4園を運営しています。

目下、保育園のある自治体の判断に従い、全園休園しています。そのうちの1園で新型コロナウイルス感染者が出ましたが、それがわかったのはすでに休園が始まった後。

早めに決断できた背景などをお聞きしました。

■平時から気をつけていたこと

繭の糸グループでは、平時から平時から気をつけていたことがあったといいます。それはどういったことかお聞きすると、

「日頃からインフルエンザや感染症には気をつけていました。2月の中旬には、消毒液を大量に購入していましたね。10リットルのものを30個。それを小さな容器に移して社員や保育士に配っただけでなく、お預かりしているお子さんの家庭にもすべて配りました」

そういえば、3月に入るとあっという間に消毒液やマスクが入手しにくくなりました。そう考えると、繭の糸育園さんのアクションはかなり早かったと言っていいでしょう。

■保護者との関わり合い

3月には保育園で保育士の感染者が出たニュースや、病院でのクラスターが報道されるようになってきました。

「保育園は“三密”は避けられませんので、もう誰が感染してもおかしくないと思いました。それで国の緊急事態宣言の前日には4つのうち3つの園の休園を決定し、各家庭に電話で連絡をしたんです。最後の園もその後、休園にしましたね」

早い決断に保護者はどんな反応だったかをお聞きすると、約70家庭に電話して、クレームは1件もなかったとのこと。普段から連絡を密にしたりすることで、保護者と園との間にしっかりとした信頼関係があったのですね。

■これからの心がまえ

園はすでに6月末までの休園の延長を決めています。

「長期戦になると思いますので、今まで自宅にPCやWi-Fi環境がなかった職員も含めた全員にオンライン環境が整っているかを確認中です。子どもに向けた動画編集をするにも、スマホでは限界があるので」

連休の前半に、半日かけて全職員とオンラインで会議をしたという辻村さん。その時に職員に言ったことは2つだけ。

「家の掃除をすること」と「親孝行をすること」。

どういったことか、詳しくお聞きすると、

「家の乱れは心の乱れ。心の乱れは仕事の乱れ。仕事の乱れは保育の乱れにつながります。

業務時間を使っていいから家の掃除をするように言いました。もう一点の親孝行ですが、GW中の帰省は禁止したのですが、親が生きているなら、オンラインや電話などで親と連絡を取るように言いました。

なぜ親孝行かというと、いちばん身近な親を大事にすることが、次に身近な職場の人を大事にできて、それができたら子どもと保護者を大事にできるという考えだからです」

さらに、繭の糸グループでは、ごとに毎日、オンライン朝礼と終礼をしています。健康チェックもかねていったん顔を合わせ、少し雑談をしながら一日の在宅勤務を始めているそうです。

「職員のなかには1人暮らしで孤独な人もいるので」という辻村さんの言葉に、職員への愛情を感じました。人は優しくされるから人に優しくできるのだといいます。優しさの連鎖が園から子どもへ、子どもから保護者へと回っていると感じました。



今まで誰も経験したことのなかった状況を、私たちは生きています。ですから「これが正解」ということはないですよね。

保育園、保護者と立場は違えど、子どもたちのために最善のことを探ってやっていくしかありません。今後どうなっていくかはまだわかりませんが、落ち着いてお互い協力しあえるといいですね。

当記事はウレぴあ総研の提供記事です。

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