LiSA『紅蓮華』の《僕》は誰なのか? 今改めて考える『鬼滅の刃』主題歌の魅力

《強くなれる理由を知った 僕を連れて進め》――。
クリアな中にロック的な歪みを感じさせるLiSAの声が耳に残る曲『紅蓮華』。アニメ『鬼滅の刃』のOP主題歌として昨年に発売されたこの曲が、シングルCD出荷枚数+配信DL数で、合算ミリオンを達成。ストリーミングは1億回再生を突破した。

ヒットの理由は、LiSAのパフォーマンスや原作の世界観と合致した歌詞、アニメ映像と融合を果たしたサウンドはもちろん、コロナ禍による「おうち時間」の増加で『鬼滅の刃』に触れる機会が増えたことや、Twitterのトレンドに入り続けるほどに注目された『鬼滅の刃』コミックス20巻の発売のほか、ToshIやポルノグラフィティ・岡野昭仁など様々な人々にカバーされていることも挙げられるだろう。

長きにわたって愛されるアニメ主題歌は多いが、この楽曲へ向けられる熱量には目を見張るものがあるように思う。
本コラムでは、『鬼滅の刃』の世界に触れながら『紅蓮華』の魅力を改めて考えていきたい。

■『鬼滅の刃』とは

アニメ『鬼滅の刃』の原作は、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)による同名のファンタジー漫画だ。大正時代の日本を舞台に、家族を ”鬼” に殺された炭売りの少年・竈門炭次郎(かまど・たんじろう)が、鬼にされてしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻すために過酷な戦いへと身を投じていく。

原作は、5月18日発売の『週刊少年ジャンプ』2020年24号をもって完結したが、単行本の累計発行部数は6000万部を突破。2019年、アニメーション制作スタジオ・ufotableによる映像化を機に火のついた人気は未だに留まるところを知らず、2020年1月18日からは舞台化も行われ、待望の映画「無限列車編」が10月16日に公開を控えている。

『舞台 鬼滅の刃』をライブビューイングで観劇したのだが、観客の多くが、炭治郎の感情に呼応するように冒頭から涙をこぼしているのが印象的だった。

『鬼滅の刃』のキャッチコピーは、「日本一慈(やさ)しい鬼退治』――。
作中では、他者を慈しみ、守り育みたいと願う『想い』こそが ”鬼” に対抗し得る武器として繰り返し描かれる。
そんな『鬼滅の刃』のテーマソングとして支持されているのが、この『紅蓮華』なのだ。

■『想い』を否定し続ける強大な鬼

『鬼滅の刃』を語る上で欠かせない要素として「兄妹の絆」や「敵への追悼」などが挙げられるが、何よりも特筆すべきは鬼の総大将・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)の存在だろう。
無惨は人を喰らう鬼の原種として君臨しており、炭治郎をはじめとする「鬼によって大切な存在を失った者達」をことごとく否定し、「お前たちは助かったのだからそれでいいだろう」と、彼らの悲しみを一蹴する。

物語が始まってすぐに、炭治郎は「鬼舞辻無惨を倒すこと」を戦う理由として掲げる。それは、言い換えれば「大切な存在が理不尽に奪われる悲しみを繰り返さないこと」とも表現できるだろう。『紅蓮華』にある《強くなれる理由を知った》は、戦いに身を投じていく炭治郎の決意表明だと思えてならない。
視聴者は、そんな炭治郎の『想い』を加速させるLiSAの歌声に引き込まれ、よりいっそう物語の世界に没入していくのではないだろうか。

■『紅蓮華』の《僕》とは誰なのか

『鬼滅の刃』では ”鬼” という存在が人々の脅威になっているが、現実の世界でも脅威が尽きないのは書くまでもないことだろう。しかし、人々の『想い』のリレーが今日の暮らしを形作っている点を踏まえると、『鬼滅の刃』が年齢や国籍を問わず支持されている理由も分かる気がするのだ。

《僕を連れて進め》――。
炭治郎や我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)といった、戦いに身を置く当事者の心情を描いているように思わせる歌詞の中で、ひと際印象的なこのフレーズ。
ここに登場する《僕》は誰なのかと疑問に思っていたが、『鬼滅の刃』を「『想い』を繋ぐ者と、それを否定する者の戦い」という目線で読んでみると、正体が見えてくる。
この ”僕” は恐らく、炭治郎であり善逸であり禰豆子であり、今もなお『想い』のために戦う者、そして、戦いの中で命を落としていった ”誰か” なのだ。

物語でも、現実でも、『想い』を繋いでいくのは容易ではない。《トゲだらけの道》が横たわり、《世界に打ちのめされ》ることもある。それでも《僕》という存在は、時に《紅蓮の華》となって、前へ進むことを選んだ人々の《運命を照らして》いく。

聴けば聴くほど力強く励まされ、心の奥を掴まれる『紅蓮華』。
この名曲のますますのヒットを、一ファンとしてこれからも応援していきたい。

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記です。
※鬼舞辻無惨の「辻」はしんにょうの点が1つの字が正しい表記です。

【『紅蓮華』の各種ジャケット写真>>>】

<関連情報>

『紅蓮華』が、2020年4月度にレコード協会「トリプルプラチナ」認定決定!
LiSAのオフィシャルYouTubeチャンネル登録者数が100万人に到達。
『紅蓮華』のMVは3700万再生を突破!

一昨年に発表したTVアニメ『SAOアリシゼーション』OPテーマ「ADAMAS」も、2020年5月度にレコード協会「プラチナ」認定!

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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