SPICEアニメ・ゲーム班オススメ!今だからこそ観たい!家で楽しめるアニメ三選 Vol.10

SPICE

2020/5/1 18:00


4月7日に発令された「緊急事態宣言」に伴い外出の自粛、自宅待機が続いていますが、そんな時こそお家で楽しめるアニメ作品を見るチャンスに変えていこう!ということで、SPICEアニメ・ゲームジャンルのライター・編集陣が総力を決して「今お家で楽しめるアニメ三選」をお届けします!(配信状況は執筆時のものです)

Vol.10選者:実川瑞穂

フリーのライター兼編集者です。女性向けのアニメ・ゲーム情報誌の編集出身。WEBや雑誌で、声優さんへのインタビューや番組・イベントレポート記事を書いています。アニメと声優さんのラジオと朗読劇が好きです。

オススメ作品①
『つり球』
(FOD、Amazon Prime Video、dアニメストア他)


TVアニメ『つり球』振り返りPV【BD-BOX:2020年4月1日発売!】

この春、行き詰っている人。
心か乾いてしまった人。
やさしい気持ちになりたい人。
ぜひ『つり球』を見てください。

花がきれいに元気に咲くためにお水をあげるのと同じで、疲れた心には潤いをくれる作品、『つり球』がぴったりです。

今期のフジテレビ“ノイタミナ”作品『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』が、新型コロナウイルスの感染拡大に配慮するため、放送延期となりました。この未曽有のタイミングに、8年前の作品である『つり球』が再放送されることになったのです(4月23日開始)。ただのBlu-ray BOXの販促のためではなく、いまこのタイミングに放送されることに意味がある。筆者はそう思っています。

『つり球』は、“ノイタミナ”枠にて2012年4月に放送されたオリジナルアニメ(全12話)。監督は、『空中ブランコ』や『C』、『ガッチャマン クラウズ』など挑戦的な作品を数多く手掛けてきた中村健治氏。キャラクターデザインは『センコロール』の宇木敦哉氏。声優・逢坂良太さんにとって、記念すべき初主演作でもあります。

テーマは“釣り×高校生×宇宙人=青春”。

湘南・江の島に引っ越してきた主人公 ユキ(CV:逢坂良太)が、水鉄砲で人を操る自称宇宙人のハル(CV:入野自由)や、いつも不機嫌そうな地元の釣り少年 夏樹(CV:内山昂輝)、同じクラスに転校してきた25歳のインド人 アキラ(CV:杉田智和)と出会い、少しずつ変化していく青春ドラマです。

バラバラだった4人の男子高校生たちが、釣りをとおして友情を育む……という展開は王道ですが、ただの“釣りアニメ”ではありません。宇宙人やインド人、江の島に古くから伝わる伝説に、フランス人のおばあちゃんなど、個性的でシュールな要素が盛りだくさん。だけどなぜだかすんなり受け入れてしまえるのは、のんびりと時間が流れる江の島ならでは。栗コーダーカルテットによる劇伴にも、そりゃあもう癒されます。そして、このふんわりとした空気感そのものが、『つり球』の一番の魅力なのです。

主人公のユキは、コミュニケーションが極端に苦手で、これまで一度も友だちができたことがありません。だから、自分の気持ちを相手にどう伝えたらいいのかわからない。伝えたところで、どうせわかるわけない。前半は、そんなユキのあきらめや心の葛藤が丁寧に描かれていきます。でも不器用なのは、宇宙人のハルや夏樹だって同じ。

初めての釣り、初めての友だち、初めてのケンカを経験しながら、わからないなりにわかろうとする3人を見ていると、なんともやさしい気持ちになります。一番普通そうな夏樹が抱える家族とのエピソードでも描かれるように、友だちよりも密な家族でさえ、人と人との距離は難しいのです。

後半は、そこに25歳のインド人ことアキラも加わります。ハルが地球にきた本当の目的、アキラの正体が明らかになり、4人は力を合わせて江の島の危機を救うことに……。この衝撃と怒涛のSF展開を盛り上げるのが、たくさんの伏線と釣り、彼らを見守る家族や周りの大人たち。そして、固く結ばれた4人の絆なのです。

息が詰まりそうなとき、心がちょっと疲れたとき、部屋に花を一輪飾るだけでなんだかホッとする。それくらの絶妙な加減で寄り添ってくれるアニメ『つり球』。まずは3話まで、肩の力を抜いてふんわり楽しんでみてください。こんなとき、やさしい気持ちになるためには、誰かのやさしさに触れるのが一番です。

ちょうど再放送が終わるころには、夏が来ます。

その頃には、気軽に江の島へ行ける世界になっていますように、という願いも込めて。配信もあるよ!

オススメ作品②
『少女終末旅行』
(Netflix、Amazon Prime Video、dアニメストア他)


『終末が日常だ。』『絶望と、仲良くなろう。』

そんなキャッチコピーがついた本作は、文明が崩壊し、生き物のほとんどが死に絶えた世界を、ふたりぼっちであてもなく彷徨う少女たちの物語。つくみず氏によるwebマンガが原作のテレビアニメ(全12話)です。

廃墟となった巨大な都市を、ゴツい愛車(ケッテンクラート)に乗って旅するふたりは、どうして世界が終ってしまったのかすら疑問に思いません。都市の上層部を目指し、食料と燃料を求めながら、ただ前に進んでいくだけ。

ちょっと想像してみてください。

ひっそりと静まり返った深夜3時。この世界で自分ひとりだけになってしまったように感じたことはないでしょうか。寂しいはずの夜の闇が、なぜかいつもよりやさしく感じたことはないでしょうか。夜と自分との境目が、あるような、ないような……。

戦車や壊れかけたロボット、崩れた建物だらけの灰色の世界で、ゆっくりと終わりに向かっていく少女たちの旅は、そんな夜と同じようになぜだかとてもあたたかいのです。その旅に、意味なんかなくても。

登場人物は、チト(CV:水瀬いのり)とユーリ(CV:久保ユリカ)のほぼふたりだけ。

シンプルな日常会話なのに、クスっと笑えるユルさがいい。飾る必要もないので、本音でしかしゃべってないところもいい。たまに哲学的でシニカルなところもまたいい。

不意に出会う人間や、人間ではないものたちとの刹那的な会話もいい。

とにかく何も考えず、ぼんやり眺めているだけで癒されます。なぜなら彼女たちには、なんの使命もないから。ちなみに、めったに出会わないゲストキャラクターを演じる声優陣は、石田彰、三石琴乃、梶裕貴、花澤香菜、島本須美。最高です。

世界観も会話もシンプルなこの作品にぬくもりを添えているのが、末廣健一郎氏(代表作はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』、アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』など)による劇伴です。1話の冒頭5分だけ見れば、きっとご理解いただけるはず。

木琴やハープ、女性コーラスなど、温度感が伝わってくる音楽に心が洗われます。

遠い過去を想像しながら、大切なものを見つけていく長い旅の果て。いよいよ「終末」に近づいた少女たちが知る、世界の真実とは……?

ところで、さきほど「日常会話」と書きましたが、それはあくまで彼女たちにとってのもの。何らかの戦争があって、地球上から生物がいなくなった世界は、だいぶ非日常です。そして同じように、現代の我々が過ごしているこの日常だって、かなりの非日常なのかもしれません。いまこそ、『絶望と、なかよくなろう。』という言葉の意味が染みることはないのではないでしょうか。

オススメ作品③
『ひそねとまそたん』
(Netflix、U-NEXT)


TVアニメ『ひそねとまそたん』【HD】

2018年4月から深夜に放送されていた、総監督・樋口真嗣×脚本・岡田麿里×ボンズ制作によるオリジナルアニメ(全12話)。航空自衛隊を舞台に、ドラゴンと新人搭乗員たちの交流を描いた笑いあり涙ありの異色系お仕事作品です。

なぜ異色かというと、登場人物たちが脇役に至るまでとにかく愛すべきクセ者ぞろい。キャラクター原案の青木俊直氏によるかわいらしい絵柄で中和されていてもなお、岡田麿里氏の毒は健在です。さらにプレスコで収録しているため、人間味も濃厚。役者陣の素晴らしく生々しいお芝居が、登場人物たちの“愛すべき”魅力を生み出していて、「こんなお芝居が見たかった!!」と筆者は痺れました。

主人公の甘粕ひそね(CV:久野美咲)は、航空自衛隊の新人自衛官。素直が転じて嘘のつけない性格の持ち主で、思ったことを無意識に口に出してしては、周囲を傷つけてしまう“マジレス”人間です。

ひそねのいる航空自衛隊 岐阜基地は、とある国家機密を抱えています。それは、本物のドラゴン“OTF(変態飛翔生体)”を管理し、戦闘機に擬態させていること。ある日そのドラゴンがひそねを選んだことから、 OTFに搭乗する飛行要員(Dパイ)に任命されてしまい……というのがイントロダクションです。

物語の軸は大きく2つ。

前半は、Dパイたちが自分自身やドラゴンとどう向き合っていくのかを描いた“成長”。

後半は、航空自衛隊として国家の危機を救う重大な儀式に命がけで向かっていく“試練”。

そのなかでひそねは、アイデンティティや自分が大切にしたいものを見つけいきます。

芝居の次に引き付けられたのが、本作のお仕事要素。

Dパイには、ある理由から「自分を好きになれない、不完全だと思っている少女」という適正条件があります。同僚の女性隊員や元Dパイだった上司たちも一様に、自分にコンプレックスを抱えているのですが、それを肯定してくれたのがひそねのマジレスでした。

1話から、思ったことは口にしてしまうマジレス人間として描かれてきたからこそ、誰かを肯定するひそねの言葉にも嘘がないのです。プライドの高いDパイ隊員の星野絵瑠(CV:河瀬茉希)や、まそたんの整備を担当する小此木榛人(CV:梶裕貴)が、ひそねの言葉に肯定される描写はとても印象的。さらにクライマックスでも、ひそねの言葉は大事な要素となってきます。自衛隊舞台の作品だからこその重い選択や、こうであるべきという決まり事に納得がいかなければ、徹底的に悩んで納得する答えを出せばいい。なぜならパイロットは、ひそね自身なのだから。主人公の言葉を信じられるアニメは、間違いない。持論です。

仕事で疲れて帰ってきた一日の終わりにテレビをつけ、不器用なキャラクターたちが悩んだり凹んだりしながらも頑張っている姿を見ていると……。不思議と「明日も頑張ろう」という気持ちになりました。「自分はどうしたいんだろう、自分の決断は正しかったのだろうか、頑張ってるのになんでうまくいかないんだろう……」。そんな社会人のモヤモヤを、ひそねの無自覚マジレスは一直線に突き刺します。考える時間があるいまだからこそ、ぜひ視聴をおすすめします。

選んだ3本は、いろんなことを感じさせてくれる、考えさせてくれる、やさしい気持ちにさせてくれる作品です。見終わったとき、『楽しかったー!』と清々しい気持ちで笑顔になれるはず。明日がどうなるかさえ分からない今だからこそ、笑顔になれますように。

他にも、じっくり余韻や考察に浸れる『クラシカロイド』、『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』、『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』、『ワールドトリガー』がおすすめです。

今期は『天晴爛漫!』と『かくしごと』と『波よ聞いてくれ』が楽しい! 会話劇が大好きです。アニメがあるって楽しいー!

文:実川瑞穂

当記事はSPICEの提供記事です。

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