子どもの孤独、寂しさとどう向き合う? 子育てと仕事の両立術[インタビュー-前編-]

ウレぴあ総研

2020/4/7 06:30

バリキャリの雑誌編集長でありながら1児の母。テレビコメンテーターとしても活躍する傍、自分を見つめるため新たなキャリアへと歩みを進めるーー。そんな生き方を聞いて、憧れを抱く人も多いのではないでしょうか。

子育、仕事、キャリア磨き、忙しい生活を送りながらどうバランスをとっているのか? “突破型編集者”松田紀子さんに、その生き方の裏側について聞いてみました。

聞き手は、ハピママ*で人気のコミック・エッセイ「まっとうな親になりたい」の著者で4歳男児の母のChaccoさん。

13歳の思春期男子を育てる先輩ママ松田さんの口から、思いがけない男子の生態が明らかに!?

■まっとうなお母さんって?

Chacco:いきなりですが、松田さんみたいな生き方、働き方って、憧れでもありつつ、「でも私にはできない!」っていう葛藤があるんですよね。

松田さんの著書「悩んでも10秒 ~考えすぎず、まず動く! 突破型編集者の仕事術」を読んで感じたのが、根性とセンス。

でもそれだけじゃなくて、その裏でコツコツとした努力というのを、一人の親としてお子さんを持ちながらも積み重ねて来られたんだなと少し納得しました。

松田:私、憧れと思ってもらうほど母親業で輝いているとは思っていないのですが…

Chacco:そうなんですか!?

松田:世の中のお母さん方の方がもっと頑張っているし、みなさんの方が「それは100も承知」という事くらいしかお話できないだろうと思っているのですが、大丈夫でしょうか。

Chacco:聞かせてください!

■子育ては「放任」でもいい!

Chacco:松田さんにとって、子育ては、どんなスタートでしたか?

松田:もう随分前になりましたが、子どもが出来て、1年間育休を取ってみたけど、子どもと二人で密室に居るというのは私には合わなかったんです。

子どもは可愛いんだけど、ノイローゼ気味で、それこそ『産後うつ』になりそうでした。Chaccoさんも確か…。

Chacco:私も完全に『産後うつ』になってしまい…最近はやっと、育児と並行して仕事もするというのが自分の快楽なんだな、と割り切れました。

家が荒れない程度に、とか色々夫ともルールを作りながらで、まだ悩むこともありますが。

松田:そうですよね。家事も大変だし、保活やら仕事との両立やら、子育ての悩みってたくさんあって、私も一通りのことは体験しましたが、本当にしんどいですよね。

今となっては、息子も13歳になって、親よりも友達第一。部活動だのなんだのって、ほとんど一人で行動しているから全然手がかからなくなってます。とはいえ思春期だから、それなりに親の関与が必要なこともあって少しフォローは必要ですが。

Chacco:13歳!中二ですね。

松田:色々ありますが、面白い時期ですよね。

Chacco:色々あって、気になる時ってあると思いますが、「言わないでおこう」って心に留める事もありますか?

松田:ありますね。子どものやることにはなるべく口出ししたくないので。特に男の子は経験しないとわからない。

経験して、失敗して、その繰り返しで体で学んでいく生き物なんだって思っています。失敗するとわかっていても、あえてやらせて、見守る。それで「痛かったでしょう?」と声をかける。そんな事を繰り返してきました。

Chacco:「放任って思われるかも」とは?

松田:放任と言われてもいいくらいだと思っています。実は、私の母もそういう育て方だったので、私もそうやって学んできました。

母にも理由があって、「生きてればいいじゃん」というのがその根底の考え方。もちろん、人を傷つけるような事をしたらとても怒られましたけど。

部屋が汚れている、テストの点が悪い…そんなこと、いちいち怒ってもしょうがないなって。こっちの身も持ちませんし(笑)。

Chacco:確かにそうですね。私も息子と接してきて「男の子ならでは」というのはやっぱりあるのだなと思います。

一概には言えませんが、子どもとは言え息子も同じ男性なんだなって思うことがあります。

■子育ては、仕事に活きる

松田:子どもを産んで、本当に良かったな、って思うことの一つが、仕事のメンバーに優しくなったな、っていうところ。

男性だけでなく女性に対してもですが、これは自覚があります。

子育てを通じて、「みんなこういう成長過程を経て今ここに居るんだな」っていうのがダイレクトに分かるようになりました。

ちょっとしたコミュニケーションでも、声をかけるべきタイミング、褒めるのに適したタイミングや褒め方とかが分かるようになってきた気がします。

Chacco:出産育児の経験が、仕事にも活きて来るんですね。

松田:それは絶対活きると思います。忍耐強さとか、接し方とか。子どもに「靴をそろえなさい」って100回言ってもそろえない。200回言ったところでそれは変わらない。でもそれって、言い方ひとつで変わったり、タイミングが来ればするっと実行できたりするんですよね。

Chacco:夫への接し方というのも、子どもへの接し方と通じるところがありますよね。

話す前に前置きをすると良く聞いてくれる、というところに特に感じてます(笑)

松田:注意を向けさせてから話をする。そんな、コミュニケーション能力として仕事でも通じることが育児からたくさん得られますよね。

でもこれって、得ようと思っても簡単には得られない。 育休をブランクだと思って「復帰してからどうしよう…」って心配されている方もたくさんいらっしゃいます。

でも、自分では気づかないかもしれないけど、育休中だって、育児を通して得るものってすごくある。ママさん視点が組織を和ませることも多いです。

育休期間を過小評価しなくてもいいんじゃないかなと思います。

Chacco:私にも、ブランクを“やる気”で巻き返さないといけないんじゃないかって思ってたところがありました。

私の場合、子育てに加えて病気の治療とか色々なブランクがあって、だから他の人よりも頑張らなきゃいけないんじゃないかって。

でも頑張り過ぎてもまた体や心を壊してしまうかもしれない。どこでどう自分のラインを引くか、攻め時と休み時をどう見極めるかというのはすごく悩みます。

仕事は扶養範囲内に収めて、子育て優先にした方がいいんじゃないか、とか。

そんなことを考えつつ仕事をしていると、子どもに対して「申し訳ない」という気持ちを持ってしまう。仕事をしていると、どこかに罪悪感という気持ちがあるんですよね。

松田:育児ってなんだろう?仕事ってなんだろう?って話をしていると、女って何?とかフェミニズムの話にもなってきますね。

Chacco:なりますね。そこを考え始めるとキリがなくなって来る。だからって開き直って仕事に注力して、結果を出せたとしても、やっぱり子どもに「寂しかったよ」って言われたらどうしよう!? って堂々巡りに。

■自立心を育てるために

松田:私も、今の子育ての仕方ではまずいんだろうな、とか、もっと私よりも“まっとう”なお母さんだったら学校のプリントのチェックだってしっかりしたりするんだろうな、なんて考えたりもします。でも、一方で「そんなの知るか!」って思うんですよね(笑)

Chacco:えぇ!

松田:息子の人生なんだから、息子が努力すればいい。親として、やりたいことに支援はする。

でも、それを放り投げるかどうかも息子次第かな、って。

Chacco:それが習い事とかでお金や時間がかかっていると、結果を求めてしまいません?

松田:私はあんまり結果は気にしてないかなあ。今もギターが欲しいと言って買って、習いはじめたりしていますが、もちろん続くかは分かりません。

でも、私だって習い事を突然辞めたりしていたし、「いわんや我が息子をや」ですよね(笑)。期待しないのが一番。

Chacco:もし松田さんが私の親だったら、人生違ってたかも。

松田:育てられた親の視点って、結構大事ですよね。私も自分の親の影響を受けていると思います。

私の息子は、私のことを「普通のお母さんとは違うな」と感じているとは思います。よく夜中飲み歩いたりもしてるし(笑)

Chacco:「普通のお母さんみたいになって欲しい」みたいなことは…

松田:言われたことないですね。そこは言わせないという圧をかけてるかも(笑)。もう13歳だし「私が働くことで、あなたは快適な生活ができてるんだよ」とは伝えています。

もちろんまだ自立はできないのはお互い承知ですが、「いつか下北で友達とルームシェアして暮らすんだ」とか言い始めたりして…。

Chacco:えー!ギターからの安定の下北沢!

松田:そうそう(笑)。で、「お金がなくなったときだけ、お母さんの所に帰って来る」と すでに“ヒモ生活宣言”をしています。

Chacco:羨ましい。

松田:いやいや(笑)。自立する意思を持ち始めているのが面白いですよね。「あなたの人生を切り開いていくのは誰でもない、あなたなんだよ」ということは常に伝えたいと思っています。

■子どもの孤独は0にはならない

Chacco:私自身は、幼少期に親に甘えられなくて寂しかったという思い出があるから、自分の子どもにはなるべく優しく、というのをまず思ってしまいます。

子どもを認めてあげたい、自己肯定感を育みたい、でも、過度であってはいけないし、どう接するのが良いのだろうか…と。

松田さんの話を聞いていると、「これがお母さんのスタンス」というのをはっきりと伝えていくことで、子どもの中に育てられるものがあるのかもしれないなと思いました。

松田:孤独や寂しさはやっぱり誰にだってあると思うし、息子も人一倍寂しがりかもしれないと思うこともあります。

でも、孤独や寂しさなんてのは誰にでも大なり小なり一生消えないもの。その気持ちと自分自身の中でどう対峙するか、というところが大切なので、そこは、あえて母親である私が埋めに行こうとはしていません。

Chacco:なるほど、特に中二くらいになったらみんなそういう想いを感じることありますよね。

松田:あるある。

Chacco:子どもの孤独を0にしなきゃいけないような気がして、親が必死になってしまっていたとしても、0にはならなんですね。ハッとしました。出来る事を全てやれば子どもの不快は無くなって、親はそれ(不快をなくすこと)をやらなきゃいけない、という使命感みたいなのをなんとなく思ってしまっていたんですけど…。

松田:子どもが小さい時は、なるべく笑顔で、楽しい時間を増やしてあげるべきだし、私もそうしたいと思ってきました。

でも、幼少のころどんなに緑が豊かな場所に連れて行って、情操教育となるようにたくさんの自然体験をさせてあげても……みんなやっぱり年頃になると『スマホ中毒』になるんですよ(笑)。

***後編に続く(4コマあり)

松田紀子(まつだ・のりこ)

1973年長崎生まれ。『ダーリンは外国人』など数多くのヒット作を送り出し、コミックエッセイというジャンルを確立。料理雑誌「レタスクラブ」の編集長を兼任し売り上げをV字回復の後、19年9月にKADOKAWAを退社、(株)ファンベースカンパニーに合流。

当記事はウレぴあ総研の提供記事です。

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