マンションの「管理費」と「修繕積立金」は別物。購入前に確認すべきポイント

日刊Sumai

2020/3/26 17:50

マンションを購入すると、住宅ローンとは別に「管理費」と「修繕積立金」を毎月支払う必要があります。この2つの違いをきちんとご存じでしょうか。
長く不動産コンサルタントとして働いた経験を持つ眞鍋豊洋さんは「とくに修繕積立金の支払金額が少ないと、将来資産価値が落ちてしまうかも」といいます。どういうことなのでしょう。
1.「管理費」と「修繕積立金」は別物
マンション
PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)
たとえば、次のような同グレードのマンションが2つあったとしたら、どちらを選ぶべきでしょうか。
・マンションA…月額管理費15,000円、月額修繕積立金3,000円
・マンションB…月額管理費3,000円、月額修繕積立金17,000円
「管理費」と「修繕積立金」の違いから考えてみましょう。

管理費

管理費とは、マンションの一般的な維持・管理・修繕にかかる費用です。日々の保守点検等、つまり「一般的な維持・管理・修繕」に要する費用に充当されるもの。おもに、下記のようなものが挙げられます。
・管理委託費 (管理会社に支払う費用。管理人の人件費やマンション清掃費など)
・建物共用部等に係る火災保険やその他損害保険等に関する費用
・共用設備の水道光熱費用
・共用部の電球の取り換えなど消耗品等の軽微な修繕費用
・植栽維持管理費用
・駐車場維持管理、管理組合運営費用等 など
植栽
PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)

修繕積立金

修繕積立金とは、長期修繕計画等に基づく大規模修繕工事など、特別な維持・管理・修繕にあてられる費用です。おもに、下記のようなものが挙げられます。
・定期的・計画的な修繕に関する費用
・不測の事故やその他特別な理由によって必要となる修繕に関する費用
・敷地や共用部などの変更または処分等に必要な費用
・その他区分所有者全体の利益のために特別に必要な工事等の費用
管理費と修繕積立金は別々に経理計上するものとされており、管理費として積み立てているお金を修繕積立金として利用することはできないのが原則です。
月々の修繕積立金が少ないと、大きな修繕が必要となった際に積立金では修繕代金をまかなえません。不足分は各所有者から臨時徴収されることになり、大きな負担を強いられる可能性があります。そのために上記の例では、月々の支払い総額が2,000円高くなってでも、Bを選ぶのがベターです。
2.修繕積立金について知ることがマンション選びの第一歩
大規模修繕
スイマー / PIXTA(ピクスタ)
近頃、リノベーションの人気によって中古マンションを買う人が増えていますが、購入前に修繕積立金の状況を調べることをおすすめします。就職したり、株を買ったりするとき、事業計画書や実績などを確認し、会社の経営状況を調べる人は多いと思います。マンションも所有者によって運営される共同経営体ですので、リサーチは必要です。
修繕積立金がどのくらいたまっているのか、また、修繕積立金の未収金がどのくらいあるのかは、理事会や総会の議事録を見れば分かります。これらはマンションに住んでいる人はもちろん、これからマンションを買う人も閲覧することができます。
細かいところまでは分からなくても、修繕計画の金額と現在積み立てられている金額をチェックするだけでも構いません。マンション購入を検討中で複数の物件を見学している人なら、どのマンションが積立金が多いのか見当がついてくるでしょう。
また、今住んでいるマンションの修繕のために、あといくら負担しなくてはならないかを知りたい場合は、修繕に不足している金額を世帯数で割れば、おおよそのイメージがつくはずです(実際は持ち分比率により、負担割合が異なります)。
つまり、修繕積立金と管理費はまったく別物と考える必要があります。そして2つの大きな違いはその「使い道」にあり、それぞれの内容を正しく理解していなければ将来的に困ってしまう可能性があります。
3.修繕積立金が極端に少ない場合は、管理費の見直しを
銀行
yamahide / PIXTA(ピクスタ)
もし、自分の住んでいるマンションの修繕積立金では長期修繕の事業計画が実行できそうにないときは、マンションの管理組合名義で、金融機関から借り入れをするなどして対応しなくてはなりません。
しかしその前に、管理費の金額が適正か、不要な支出はないか、見直しをすることが大切です。新築時から一度も管理費の本格的な見直しを行っていない場合は、まずはここから着手すべきです。収入を増やしても、支出を食い止められなければ、なかなか収支は改善しません。
管理費を適正化できた場合は、管理組合承認のもと、管理費の削減分を修繕積立金に回します。この方法ならば、入居者(=区分所有者)の管理費・修繕積立金の支払額の合計は変わらないため、負担は大きくなりません。
4.まとめ
計算機
freeangle / PIXTA(ピクスタ)
マンション選びの際は、管理費と積立金の合計額のみで判断するのではなく、きちんと費用の内訳をチェックしましょう。可能であれば長期修繕計画の内容をチェックし、それに見合った修繕積立金の徴収が行われているかも確認してください。
ヴィンテージマンションと呼ばれる物件や古くても管理体制が良好なマンションは、良質な管理組合と綿密な長期修繕計画、そしてそれを基にした適切な修繕積立金を徴収しているものがほとんど。長期に渡り快適に過ごせるマンションを選びましょう。
眞鍋 豊洋
一級建築士、管理建築士・宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険募集人など、住まいに関する資格を多数保有し、多方面から問題解決を図るゼネラリスト。どの企業とも属さない第三者の立場で、購入者向けの建築・不動産コンサルティングを行う企業「住まいのホームドクター」のコンサルタントを経て、現在は、住まいと家具の再生事業を行う1Line(ワンライン)の代表取締役として活躍中。

当記事は日刊Sumaiの提供記事です。

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