歩きスマホの女性に体当たり…間違った「正義感」を振りかざす中年たち

日刊SPA!

2020/3/26 15:53

 日本社会はどこに向かうのか――。経済危機が迫るなか、市民の「格差」はより拡大し、中流が新たに転落、下流はさらに困窮。一方、今まで放置されてきた人たちがさまざまな事件を起こし、令和時代の新たな「負け組」を生み出している。負け組すら多様化した日本の今に迫る!

◆間違った「正義感」を振りかざす「負け組」中年

「危険なので注意するつもりで体当たりした」

これは’19年9月、駅のホームで歩きスマホをしていた女性に体当たりして逮捕された49歳犯人の供述だ。ほかにも街角やSNSで、自分が正しいと思ったことを相手に押しつける行為が増殖しているが、なぜか40~60代の中高年が多い。この理由を精神科産業医の松崎一葉氏は、「人の意見を聞かず、他人を追い込む人間が増えたからでしょう」と語る。

「トラブルを起こす人たちは、もともとは優秀な企業戦士が多かったりします。会社が求める以上に、きちんとしたものを作って提出する。だから他人が自分の意に沿わない行動をすると、相手をとにかく自分の想定内に落とし込まないと気が済まなくなる。『歩きスマホがダメなことぐらい、そんな社会常識は言われなくてもわかるよな?』と、よかれと思って行動に出る。なぜなら『自分は正しい』と心の底から思っているからです」

中高年にとっては“世直し”の感覚なのに、それが結果として世間では暴言に、場合によっては暴行として“犯罪者=負け組”にまで落ちてしまう。これは育った世代的なものも大きいと松崎氏は話す。

「これらは相撲部屋に代表されるような、昔ながらの『体育会系かわいがり』に対して、あまり疑問を持たない毒された年代は要注意。あと、他人を追い込む『~せねばいけない』という強迫性があまりに強い人も危険ですね。例えて言うなら、部屋の隅まで片づいていないと気の済まないタイプですね」

育った環境や性格ならば、まだ気をつけられるが、松崎氏は脳に原因の場合もあるとも言う。

「本来IQが高いのに自分の衝動が制御できないということは、発達障害のADHD(注意欠陥・多動症)や、大多数の人とは違う反応や行動をしてしまう精神疾患のパーソナリティ障害を疑ったほうがいいかもしれませんね。以前、部下へのハラスメントで私と一緒に治療プログラムを受けているのに、部下の話になると反射的に『あいつ、ポンコツだからな~』とつい言ってしまう人もいましたから」

とはいえ、ひとつの暴言で自身を破滅に追い込んでしまうのもまた事実。負け組にならぬために、その正義感は正しいのか、いま一度確認しておきたい。

【精神科産業医・松崎一葉氏】

筑波大学医学医療系教授。精神科産業医として上場企業から中小企業まで、多くの組織で活躍。著書名である『クラッシャー上司』(PHP新書)の命名者の一人

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[令和版]負け組の衝撃]―

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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