渡辺王将 連続の大駒切り、広瀬八段 不敵な誘い込み 5期ぶりの第7局 序盤から激しく

 ◇第69期大阪王将杯王将戦 7番勝負第7局第1日(2020年3月25日 新潟県佐渡市・佐渡グリーンホテルきらく)

 渡辺明王将(35)3勝、挑戦者・広瀬章人八段(33)3勝のがっぷり四つで迎えた決着局は、防衛を期す渡辺が早い段階で攻撃を仕掛ける意外な進行。猛攻を継続したまま午後6時、53手目を封じて第1日を終えた。対局は26日午前9時に再開。3カ月間にわたる濃厚な戦いはクライマックスに達する。

 ホーホケキョ。春告げ鳥の異名を持つウグイスの優雅なさえずりが対局場の「湖姫別邸」を柔らかく包み込む。

 対局開始直前、三浦基裕・佐渡市長の手による振り駒は「歩」が3枚で先手は渡辺に決定。その経過をしかと確認する渡辺に対し、広瀬は無関心を装うかのように正面に視線を据えたままだ。先手有利主義者の王将にとってはこの上ない追い風のはず。だが第1日を終えた渡辺は複雑な表情を浮かべながら自室に戻ってきた。

 「う~ん…。(広瀬に)攻めさせられている展開ですかね…」

 先に仕掛けたのは渡辺だった。45手目の▲4二角成(第1図)。広瀬王の頭を守っていた銀を獲得する見返りに角を差し出した。大駒を捨てて相手陣形を崩す強攻は優勢を読み切った終盤に指されるケースが多いのだが、今回はまだ中盤戦の入り口。午後4時10分という早い時間帯だ。虚を突く激しい踏み込みに控室からは驚きの声が上がる。

 続く47手目の▲2二飛成と、形の上では2連続の大駒切り。よほどの成算がなければこの手順は選べない。ところがこれも「局面としてはあれしか手がないので」と明かす渡辺。つまりは「負の選択」とのニュアンスだ。

 対する広瀬は「予想した展開と全然違う」と振り返りながらも「バランスは取れている気がします」と言い切った。こちらは凜(りん)としたオーラを漂わせている。

 指し掛け時点では明確な差が表面化していない盤面だが、実際はどうか。26日夜には全ての結論が出る。暮れなずむ加茂湖を望む山林からはホーホケキョの鳴き声が漏れ聞こえる。

 《封じ手は?》

 ▼正立会佐藤義則九段 ▲3五歩。△6六銀と出てきたらその後の展開で角を取れる。かなりの駒得になる。

 ▼副立会人中川大輔八段 ▲3五歩。一番気をつけるのは指し切ること。少ない持ち駒を増やすための手。

 ▼記録係福田晴紀二段 ▲3五歩ではないか。近くにある敵陣の角と銀の連携を崩壊させる。角攻めの一手。

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