【医師監修】赤ちゃんにたんこぶができたどうする? 頭を打った時のチェックポイントと受診目安



ベッドから転落したり、おすわりで倒れたり、階段から転落したり……赤ちゃんの体の動きが活発になり、行動範囲が広がると、家庭内でのアクシデントも多くなります。時には頭をぶつけてたんこぶができてしまうことも。赤ちゃんの頭部打撲は重大な事故につながることもあるので注意が必要です。万が一の時の危険度や受診の目安を解説します。

この記事の監修ドクター

梁 尚弘先生

りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

「たんこぶができたら心配ない」はほんと?

頭を打った時、「たんこぶができたから心配ない」などと聞いたことがありますが、それは本当なのでしょうか?
赤ちゃんが頭を打ちやすい理由
子供の事故の中でも、命の危険や重大な後遺症の恐れがある「頭を打った」。国民生活センターの調査によると、子供の年代別では0~4歳の事故発生数が多く、なかでも1歳が最も多いとされています[*1]。

赤ちゃんは全身に対して頭が大きく、重心が上にあるため転倒しやすいのが特徴です。また、視界が狭く周囲の物に気づきにくい、興味の対象に関心が集中しがち、運動能力や腕力などが未熟 などにより、危険を回避する動作が遅れがちです。そのため、転倒や転落などにつながりやすく、頭を打つことが多いのです。
たんこぶってなに?

一般にいう「たんこぶ」は皮下血腫(ひかけっしゅ)で、頭皮と頭蓋骨の間に血液が固まっている状態を指します。皮膚が赤く点状に変色していて触ると硬く、血液は1~2週間で自然に吸収されます。

まれに、ぷよぷよとした柔らかいたんこぶができることもあります。これは、皮下血腫よりも少しだけ層が深いところ(腱膜と骨膜の間や骨膜と頭蓋骨の間)に血液がたまったもので、腱膜下血腫、骨膜下血腫といいます。これらも自然に吸収されることが多いものの、皮下血腫よりも危険性が高いので、大きくてやわらかいたんこぶができた時は病院を受診しましょう。「たんこぶができたから心配ない」という言葉を当てにせず、適切に対応することが大切です。

打撲が強い場合、頭蓋骨や脳に影響がある場合があります。たんこぶの種類を問わず、大きなたんこぶ(直径3cmを超えるようなもの)ができた場合、また、たんこぶがどんどん大きくなってくるような場合は受診しましょう。特に、頭蓋骨がやわらかい2歳未満の子供では、より注意が必要です。
たんこぶの応急処置
たんこぶができた時、出血していたら、乾いたタオルで強く圧迫して止血します。その後、腫れている部分を冷やしてあげましょう。安静しにして数時間後様子をみます。

ただし、次に挙げる「救急車を呼んだ方がいい場合」「受診した方がいい場合」に当てはまる様子があれば、すぐに行動を起こしてください。
頭を打った! 緊急度別チェックポイント

赤ちゃんが頭を打ったときの対応を、緊急度別に「救急車を呼んだほうがいい場合」「受診したほうがいい場合」「様子をみていい場合」に分けて解説します。
早急に受診する場合
救急車を呼ぶ
赤ちゃんが頭を打った後、以下のどれか1つでも当てはまる症状がある場合、危険な状態だと考えられます。救急車を呼びましょう[*2]。

●けいれんを起こした

●意識がもうろうとしている

●手足で動きにくいところがある

●サラサラした液体が鼻や耳から出ている

●頭や耳からの出血が多い(押さえても止まらない)

●興奮している、または、起こせば起きるがぐったりしている
急いで受診
上記以外でも、赤ちゃんが頭を打った後、以下のどれか1つでも当てはまる症状がある場合は、2時間以内を目安に、頭部CT検査が受けられる脳神経外科などを受診しましょう[*2]。

●3回以上吐いた

●ケガの後、または、ケガをした時に5秒以上の意識消失があった

●腫れたところを触るとペコペコする場所がある

●大きな力が加わるような形でぶつけた(1m以上の高所から落ちたなど)

●首の後ろを触ると痛がる

●首をかしげる姿勢をとっている、または、まっすぐ体を向かせても横を向いてる

●頭部から出血していたが止まった、または、圧迫止血で止まっている

●親から見て普段と様子が違う

●前頭部以外の場所にコブがある

こういった症状がある場合、CT検査を受けて異常があるかどうかを確認します。

なお、上記の症状が当てはまらない軽症と考えられる頭部外傷の場合、「とりあえず受けておくと安心」とCT検査を受けることはすすめられません。被曝のリスクも考慮し、必要と判断された場合に受けることが大切です。
家で様子をみる/通常の診察時間内にかかりつけの小児科を受診すればいい場合
赤ちゃんが頭を打った後の様子が以下のような場合は、様子をみていいでしょう。または、通常の診察時間内にかかりつけの小児科を受診しましょう。

●保護者から見て普段と様子が変わらない

●おでこ以外にたんこぶがない

●意識がはっきりしている、けいれんがない

●激しい打ち方でない

●触って頭の骨のずれがない

●嘔吐や激しい頭痛がない

とっさの判断ができない時は、電話相談やアプリも便利
赤ちゃんが頭を打つとオロオロして適切な対応ができないかもしれません。電話相談の番号をよく見るところに張っておいたり、症状の緊急度を判定できるアプリをスマートフォンに入れておくと安心です。

◆こども医療でんわ相談

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

◆全国版救急受診アプリ「Q助」

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/item/appropriate003_01_qsuke_chirasi.pdf

まとめ

赤ちゃんの運動能力が発達すると、動きのバリエーションが増え、行動範囲も広くなります。一方、頭が重く、視界も狭い赤ちゃんは、大人が思う以上に転倒・転落の危険と隣り合わせなのです。十分に安全に配慮していても、頭にたんこぶを作ってしまうこともあるでしょう。そんなときは、今回お伝えしたような受診の目安を念頭に入れ、適切な対応をしてください。
(文:村山真由美/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献

[*1]国民生活センター「小児の頭部外傷の実態とその予防対策」

http://www.kokusen.go.jp/news/data/a_W_NEWS_066.html

[*2]総務庁消防庁「緊急度判定プロトコルVer.2救急受診ガイド(家庭自己判断)」p.64

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/items/jikohandan.pdf

[*3] Kuppermann N et al. Lancet. 2009 Oct 3;374(9696):1160-70. doi: 10.1016/S0140-6736(09)61558-0. Epub 2009 Sep 14.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19758692
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

当記事はマイナビウーマンの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ