レジェンドDJダニー・クリヴィットにインタビュー 「多くの人にとって、ビルボートは音楽シーンを知る唯一のツール」

Billboard JAPAN

2020/3/24 18:00



自らを「レコードジャンキー」と呼び、クラブシーンを牽引してきたレジェンドDJ のダニー・クリヴィット。ジャズシンガーの母親と、チェット・ベイカーのマネージャーだった父の元に生まれ、音楽に囲まれた環境で育ったダニーは、2020年でDJ歴49年になる。DJとしての活躍以外に、1970年後半からプレイリストやミックステープを音楽誌やラジオ局などに提供しており、Billboard誌のダンスプレイリストに掲載されたことも。今もレジェンドDJとして、シーンのトップを走り続けるダニーに独占インタビューを行った。

―DJになったきっかけを教えてください。

ダニー:レコードを集めたりアマチュアDJをしていたんだけど、14歳(1971年)の時に、父が経営するバー&レストラン「The Ninth Circle」をディスコに転業することになってね。そこで、プロデビューしたんだ。

―子供の頃は、どんな音楽を聴いていましたか?

ダニー:ロック、ソウル、ポップス、あとは50年代とジャズ…なんでも聴いてたよ。でも、その頃から特にビートやリズムがかっこいい音楽や、ダンス・ミュージックが好きだったね。

―音楽の聴き方が、レコードからCD、ダウンロード、ストリーミングとどんどん変化しています。この流れをどう思いますか?

ダニー:変化を避けられないものだからね。僕自身も色んなフォーマットで聞いているよ。


―この変化は、クラブシーンにも影響を与えていますか?

ダニー:そうだね。音楽を聴く時も作業をする時もスマートフォンやパソコンを使うし、ほんの数十秒のビデオやサウンドバイトをチェックするのが当たり前になってきているね。そもそもクラブには、音楽以外にも雰囲気や照明、そして集まった人々と空間を共有するということが醍醐味だよね。でも、そんなマジカルな環境を経験したことがなかったり、質のよくないクラブへ行っていたら、スマホで聴ければ十分だと思うかもしれない。それは音楽の使い捨てを助長し、音楽やクラブの存在の重要性を損なわせてしまうんじゃないかなと思っているよ。

―ストリーミングが主流になる中、レコードの売り上げが2019年は1986年以来33年ぶりに増えました。この現象をどう受け止めますか?

ダニー:確かにアナログは復活しているよ!

残念ながら、70年代後半のディスコブーム時代に存在した大切なクラブ文化というのは、レコード会社に正しく理解されなかったと思っている。その結果、ディスコミュージックのファンがターゲットとなる音楽のブームが去って、音楽業界は新たなビジネス開拓の必要性に迫られたんだ。そこでCDが開発された。高音質で収納スペースが縮小されるCDは80年代~90年代にブームとなったけど、結局はレコードで持っているものを再びCDで買わせるという戦略でもあったんじゃないかな。

そして、90年代の終わりには、レコードは風化の道を辿った。その頃と今のレコードの売り上げを比較したら、びっくりするくらい復活したとは思うけれど、一大ブームになった昔とは違うね。自分のレコードコレクションがなくなったら号泣するけど、もし、iPadのデータをなくしても再インストールが面倒だなと思うくらいで、号泣はしないと思う。データは場所も取らないし手軽だけど、その結果、使い捨てになって、価値観が下がっちゃうから。だから僕は個人的には今もレコード派で、音質、スタイル、感触どれをとってもレコードが一番だと思っている。アナログならではの音質は唯一無二で、スマホでは味わえないからね。自他ともに認める“レコード ジャンキー”だよ(笑)!

―ビルボードの雑誌を見たり、チャートをチェックしたりしますか?

ダニー:ビルボードはウェブサイトよりも、昔ながらの雑誌が好きだよ。ただ昔のように手軽に手に入らないので、あんまり見なくなってしまったかな。ビルボードは音楽業界での地位を築いているよね。何が人気で、ヒットしているのかという最新の情報を入手するには大切な存在だ。多くの人にとって、ビルボートは音楽シーンを知る唯一のツールだよね。

―2020年に活躍が期待されるアーティストはいますか?

ダニー:まだ、前半だから分からないな。2019年の余韻に浸っているところだから。

―最後に、これからの活動を教えてください。

ダニー:僕のメインプロジェクトである【718セッションズ】が、今年で18年目を迎えるんだ。そのボートパーティも人気で、今年は7月に予定しているよ。また、フランソワ・ケヴォーキアンとジョー・クラウゼルとのイベント【Body & Soul 】も、今年で24年目になるよ。1971年にDJを始めてからももうすぐ50年だから2021年には、様々なスペシャルイベントを計画しているよ。大好きな音楽を、良い音質、環境で信念を持って提供し、音楽を通じてポジティブなメッセージや、”LOVE“をシェアし続けていきたいと思っているよ。

ダニーにインタビューをしながら、私がNYに移住した1987年に伝説のクラブ「パラダイス ガレージ」を実体験し、その後NYのトレンドを築いた様々なクラブシーンを追いかけた刺激的な思い出が蘇った。そんな特別な文化を人々に提供し続けるダニーは、「僕は生粋のニューヨーカー。50年のDJキャリアは若さを保つ原動力。音楽はまさに太陽だ!」とインタビューを締め括った。コロナウイルス感染拡大防止のため、ニューヨークでは現地時間3月22日夜以降、外出制限が求められている。1日でも早く事態が収束し、音楽が再び世の中を満たしてくれる日が来ることを祈りたい。Interview:KIYOMI

◎KIYOMI
学生時代、友人のバンドライブで司会をした経験から、テレビ、ラジオなどマスコミの仕事を始める。その後、単身移住したNYで(1986年~1993年)NY初日本語ラジオ番組を発案・設立。DJ・制作・広報・営業を手がける。1993年帰国。FM802、FMCOCOLOのDJ、関西初のサルサダンススタジオ(CHEVERE)主宰、映画コメンテイター、TV・RADIO出演、新聞・雑誌寄稿、司会、講師などで活動。好奇心に任せた様々なレポートを発信中

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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