新型コロナで葬儀業界にも影響。葬儀のリモート化、ライブ配信も

日刊SPA!

2020/3/24 15:51

 コロナウイルスの影響がさまざまな業界に及んでいる。日本最大級の葬儀ポータルサイト「いい葬儀」や「お別れ会プロデュース Story」などを運営する鎌倉新書は、全国の提携葬儀社128社と、直近2年半以内に葬儀を行った(携わった)経験のある40代以上の2000人へアンケート調査を実施。新型コロナウイルスが葬儀業界に与えている現状を取りまとめ、17日に発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今もなおイベントの中止・延期が相次いでいるが、葬儀業界では現在、従業員のマスク着用の義務付けや、親族のみで執り行う小規模な葬儀が増加。約6割の葬儀社が「スタッフの消毒液使用」を義務付けるも、消毒液の入手困難になりつつある現状や、約9割の葬儀社が「参列者は減少した、または今後減少していく」と回答する実態などを紹介している。

今回は、コロナウイルスを機にもたらされた葬儀業界への影響について、同社の広報担当者に聞いた。

◆葬儀社からも「マスクや消毒液が入手困難」の声

故人との最後のお別れの場として多数の参列者が集まる葬儀。タイミングが不明確なケースが多く、開催時期の延長が難しいという特殊な性質を持ち合わせており、参列者が100名を超える場合も決して珍しくない。

鎌倉新書が行ったアンケート調査では、直近1か月で葬儀に参列した人の感想として、「お別れをしたい気持ちもありつつ、大勢の人が集まる場所に行くことが不安」「入り口でアルコール消毒を受けた」「僧侶も読経後はマスクをしていた」「隣の人との席間隔が空いていた」「焼香後用に除菌効果のあるウェットシートが渡された」「妊婦のため参列に悩んだ」といった声が紹介され、多くの人が集まる葬儀での濃厚接触を心配する参列者が多いことがうかがえる。

焼香や香典返礼品の受け渡しなどの濃厚接触への予防策として、参列者が葬儀社に希望する対応1位は「会場入り口に消毒液を設置する」(59.8%)となっており、葬儀社の4割以上が「既に一部もしくは全てに対応している」と回答。しかし、「対応したいが、現実的に難しい」との回答も3割弱となっており、「現状は対応しているが、マスクや消毒液が入手困難のため、今後は対応が難しくなる可能性もある」との葬儀社の声も見受けられた。

また、新型コロナウイルスの感染拡大が明らかになり始めた直近1か月で、葬儀規模の縮小の相談を受けた割合について、半数以上の葬儀社が「全体の施行件数の1割以下」と回答したが、「葬儀は通常通り行ったが、法要が中止になった」「通夜振る舞いを控えたいといった相談を受けた」という声も挙がっているという。

遺族が家族葬を選択するケースも散見されるようで、一般葬が家族葬に、家族葬が直葬になど小規模プランに変更すると一般的に遺族の経済的負担・時間的負担は軽減される。

一方、訃報の知らせが葬儀の後になることで、訃報を知った知人・友人が遺族の自宅に弔問に訪れ、葬儀後で肉体的・精神的に疲労感があるなかでの対応などを考慮すると、かえって精神的負担が増す可能性もあるようだ。

「政府からの要請は『換気の悪い・大勢が介する・発声の多い場所に出向くことは避けること』となっており、喪主様や参列者の方も判断に迷うかと思います。アドバイスとしては葬儀社と密に打ち合わせを重ね、対策をしっかりと提案してくれるなど、安心・信頼できる葬儀社にお願いすること。参列者の方も斎場儀社の対応をしっかりと確認し、ご自身が納得した上で参列するか否かを決めましょう。

また、少しでも体調が悪い、気分が優れない場合は、参列をしないという判断も必要です。故人様は自分の葬儀で病気(コロナに限らず)が広まることは望んでいないと思います」

新型コロナウイルスの影響で葬儀の規模を縮小した場合、感染拡大が落ち着いた頃に改めてお別れの場を設けることも、遺族以外の人たちの気持ちの整理などの面で選択肢となるだろう。

「感染者急増や長期化など状況が今後さらに悪化しても、(火葬だけでも葬儀と解釈しますので)葬儀の中止や延期は現実的ではありません。ただし、葬儀後の会食をなくす相談はあると聞いていますので、火葬式を行い、後日お別れ会の開催を検討することはあるかと思います。

お別れ会は火葬がないのでスケジュールに余裕が持ちやすく、会自体の自由度も高い。じっくりと歓談することで悲しみや気持ちを整理できる上、様々なコミュニティの方が一堂に会することもあり、主催者や参加者が故人の知らなかった交友関係を知ることもできます」

◆打ち合わせや参列のリモート化・ライブ配信も手段のひとつに

先のアンケートでは、「ご高齢の方は会葬を見合わせるかもしれない」「感染拡大の終息が見込まれない限り、親族を含む参列者の減少が進むと思う」「会葬できなくても、最後の別れを伝えたいという参列者の想いもあるため、VRやARなどの技術を駆使した参列の場が増えると思う」と予想する葬儀社の声も紹介されている。

Web上での採用活動やテレワーク導入の流れと同様、3時間以上に及ぶケースもある葬儀の打ち合わせにオンライン会議サービスを利用し、対面での打ち合わせを控える葬儀社もあるとのことで、コロナ終息後も予想される業界の変化について聞くと、「ケース・バイ・ケース」と前置きした上でこう話す。

「喪主様の年齢(ネットリテラシー)などにもよりますが、今後の打ち合わせ手段の1つとして、リモートでの打ち合わせは新たな選択肢になると思います。ただ基本的には直接お会いし、喪主様と葬儀社の間で信頼関係を築くことが重要です。あくまでも事前相談や受注後のライトな相談はオンラインで行うかたちかと思います。

また、遠方にお住いの方・高齢で参列の難しい方の参列の手段として、リモート化やライブ配信もあるかもしれません。しかし、『故人様との最後の別れという大切な場』『参列者のネットリテラシー』を加味すると、急速拡大するという印象はないです。お香典、弔電などフィンテック商品の需要は徐々に高まるのではないかと思います」

また、「もともと家族葬は増加傾向にあり、特に都市部では割合が高まっているので、葬儀社からは『これを機に家族葬の認知と増加が進む』との声が挙がっています。喪主様やご遺族は経験がないことなのでメリットばかりに目が向かいがちですが、デメリットにもきちんと向き合った上で納得する葬儀の形を見つけてほしいです」とも語った。

故人の生前の交友関係や、後々の弔問客のことなどを考えると一般葬が最適な場合もある。様々な選択肢からそれぞれの遺族の状況に合ったお別れ方法を検討することが肝心なようだ。<取材・文/伊藤綾>

【伊藤綾】

1988年生まれ道東出身。いろんな識者にお話を伺ったり、イベントにお邪魔するのが好き。SPA!やサイゾー、マイナビニュース、キャリコネニュースなどで執筆中。毎月1日に映画館で映画を観る会"一日会"(@tsuitachiii)主催。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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