「何食べ」、安達祐実の新ドラマ…テレ東ドラマが元気なワケを裏方に聞いた

女子SPA!

2020/2/19 08:46

 映画にもなり大ヒットした『モテキ』、ギャラクシー賞やザテレビジョンドラマアカデミー賞も受賞した『きのう何食べた?』、そして『逃げ恥』の野木亜希子脚本・『コタキ兄弟と四苦八苦』(毎週金曜24:12~)、そして安達祐実が本人役で出演する4月放送の『捨ててよ、安達さん。』など、テレビ東京系列の深夜ドラマがここ数年、大きな話題になっています。

そのポイントとして挙げられるのが“製作委員会”というシステムです。テレビ東京系列のドラマで顕著に多く、上記のドラマは全て製作委員会制で作られているのです。

◆クリエイターが力を発揮しやすい製作委員会制

“製作委員会制”とは、映画やドラマなど映像作品を製作する際のさまざまなリスクや責任を回避するための方式・手法のひとつです。

製作委員会制の作品では、制作費がテレビ局、制作会社、映像配信会社など、関係各社の出資によって賄(まかな)われています。制作の方針もスポンサー受けや視聴率が重視される局制作のテレビドラマとは違い、DVD販売や配信などの二次展開も含めて利益を出すことが目的となっているため、コアなターゲットでも儲けが生み出せるような作品であること望まれています。

すでに映画やアニメでは主流となっており、エンドロールなどでその名称を見たことがある人も多いでしょう。しかし、テレビドラマは今でも、テレビ局が制作費を出し、局の制作部門や制作会社が製作している、いわゆる“局制作”と呼ばれるものがほとんどです。

製作委員会制は出資元が分散されているため、著作権や印税などの権利も、放送局の独り占めではなく製作委員会が持ち、関係各所に分配されます。したがって、発言権も各所に存在するため、局や局のプロデューサーの土壇場だった作品作りが、制作会社やクリエイター主導で進めることがしやすくなったのだと言います。

◆無名の脚本家でも入り込める余地がある

テレビ東京系列の深夜ドラマ執筆経験がある、脚本家はこう語ります。

「僕はさほど大きな仕事の経験もなく、コンクールでの実績もない、いわば叩き上げの作家です。局制作だと、局が主催するコンクールの脚本家出身者を育てるために、その出身の作家や、局プロデューサーお抱えの脚本家で入り込めない部分があったりするんですが、テレ東系は僕のようなものでもチャンスをくれるんです」

確かに、テレビ東京系の製作委員会制のドラマでは、民放ではあまり目にしないような脚本家の名前をよく見ます。舞台や自主映画出身者、アニメ脚本家、放送作家など、多彩なフィールドで活躍する才能を抜擢している印象を受けます。

また逆に、『透明なゆりかご』の安達奈緒子や『逃げるは恥だが役に立つ』の野木亜希子など、他局でヒットを飛ばした脚本家がしれっと執筆していることも。つまりは、しがらみなく自由に起用できるということでしょうか。

◆テレ東ドラマは脚本をコマゴマと直されない

頷きながら前出の脚本家は続けます。

「監督も同様です。テレ東では大根仁さんや山下敦弘さんなどの映画監督としても名高い面々が参加しているのも特徴ですよね。局制作ではテレビ局所属の演出家または局の子会社所属の人がやっていて、フリーの監督が起用されることはめったにありませんから。ちなみに製作委員会制の作品では、演出・〇〇ではなく、監督・〇〇というクレジットになっている場合が多いんですよ。今度注意して見てみてください」

そしてさらにこんなことも……。

「他の局でドラマを執筆した際は、局側の意向やプロデューサーのダメだしを何度も喰らった上で十何稿も書き直しました。でも、テレ東系では書いても4,5稿。後々微調整はありますが、一発OKになることもあるんです(笑)。打ち合わせも、ダメ出しというよりは、こっちが書きたいことや意図を尊重してくれているような気がしています。だから、ある意味自由ですが、それだけ責任が生じるので、書くときは余計力を入れてしまいますね」

もしかしたら、テレ東系の製作委員会制ドラマが面白いのは、監督や脚本家など個々のクリエイターがのびのびと作品に向き合え、能力を存分に発揮しやすい環境であることがそうさせているかもしれませんね。

◆製作委員会制のデメリットも

これだけ言うと、メリットだらけのように見えますが、もちろんデメリットもあります。テレ東系ドラマで演出を経験したことのある制作会社所属の監督は語ります。

「デメリットは、各社の出資で製作されていることや、深夜ドラマであることから、製作費が極端に限られていることですね。だから、ワンシチュエーションものだったり、ロケ地が宣伝のために出資してくれることもあるグルメなどのロケものが多くなるんです。12話のうち何話かを新人脚本家や監督を起用したり、監督が脚本を兼任するなどして、予算を抑えることもあります」

新人や他局では珍しい作家が抜擢されるのはこういう事情もあるのでしょう。それによって、過去にこんなこともあったようです。

「原作付きのドラマで、新人監督が好きなようにやりすぎて完パケを見た原作者が激怒したという話を聞いたことがあります。一応、脚本で原作者OKは頂いていましたが、演出や編集は出来上がるまで分かりませんからね。自由にできる弊害でしょう」

※ ※ ※

昨今は、有名脚本家や監督にオファーを快諾されたり、争奪戦だった原作ものも「テレ東深夜なら」と許可が下りることも多いそうです。

数多くの名作を生み出し続ける、テレビ東京系の製作委員会制度。他民放各局も、今後この方式を採用することが増えるかもしれませんね。

<文/小政りょう>

【小政りょう】

映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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