西浦VS武蔵野第一 両校にとって大きな一戦を熱量たっぷりに好演 新作『おおきく振りかぶって 秋の大会編』ゲネプロレポート

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ひぐちアサ原作の大人気高校野球漫画『おおきく振りかぶって』。コミックスは累計発行部数1500万部を超え、第10回手塚治虫文化賞新生賞、第31回講談社漫画賞(一般部門)を受賞するなど評価も高く、2007年、2010年にはアニメも放送されている。

2020年2月14日(金)より、2018年に行われた初演の再演及び舞台第3弾となる新作『おおきく振りかぶって 秋の大会編』のダブルヘッダー特別公演がスタートした。
本記事では、新作である『秋の大会編』のゲネプロの様子をお伝えしよう。




<あらすじ> 夏の大会の5回戦、美丞大狭山高校との一戦では、阿部(大橋典之)の負傷もあって、西浦高校は敗北してしまう。百枝(渡邊安理)の鼓舞のもと、西浦高校は校内での合宿でチームの目標を掲げる。
同じく夏の大会の準決勝、A R C学園高校と武蔵野第一高校の一戦。途中から、武蔵野第一高校の捕手が秋丸恭平(佐伯亮)に交代となり、榛名元希(神永圭佑)と秋丸のバッテリーが守備を牽引するも、A R C学園高校のコールド勝ちとなり、武蔵野第一高校はベスト4止まりとなった。長い間、榛名の“カベ”として上を目指すこともなく榛名の球を受けてきた秋丸を、榛名はやる気にさせねばと思うようになる。
迎えた秋の大会、シード権を得た西浦高校の初戦は、武蔵野第一高校と戦うこととなる。負傷した阿部は、秋の大会に出場できるのか。そして、榛名と秋丸の関係は変わるのか……両校の負けられない戦いが始まる・・・。

『秋の大会編』は、西浦高校にとっての夏が終わったところからスタート。

美丞大狭山高校に負けたのに「今日、全然必死じゃなかった」と感じたことから、このままではいけないと考え、チームで一つの目標を立てることを決めた花井(白又敦)。最初は「甲子園出場」「県優勝」「全国制覇」などバラバラだったが、各々が改めて考えた末「甲子園優勝」を目標に掲げ、達成に向けた厳しい練習に打ち込み始める。




本作の内容は夏の大会から合宿、学園祭、秋の大会と盛り沢山。

合宿では練習の合間にスポーツ選手の食事や栄養についての講義、好みのタイプで盛り上がる高校生らしいシーンなども挟みながら、チームの絆が深まっていく様子が描かれている。

原作の特徴であり、「野球漫画に革命をもたらした」と評されている大きな理由である細やかな心理描写や日常風景のシーンが舞台でも丁寧に描写されており、部の設立、夏の大会を経て変わっていくチームメイトとの関係性や思いが読み取れた。












作中での一戦目は、夏の県大会準決勝、武蔵野第一高校対ARC学園高校。

阿部からは「自己中心的」と評されており、先輩たちとぶつかることも多かった榛名だが、チームメイトへの信頼を見せ、チーム一丸となって強敵に挑む。しかし、榛名の全力投球を受けるために途中出場した秋丸だけは熱くなれない。

ARCは強豪らしい貫禄を見せつつ、気の小さい1年投手・太田川をからかうキャッチャーの吉田、青森出身で方言を話す塩入など、かわいらしさを感じられるシーンも。

榛名のためにも点を取ろうと奮闘する武蔵野第一のメンバー、「先輩たちを休ませるためにも完投したい」と考える太田川、太田川の実力を認めて成長を願う吉田など、チームやバッテリーの関係性、それぞれを取り巻く人間ドラマに焦点が当てられると共に、試合の熱気やスピード感も伝わってくる構成になっており、固唾を飲んで見守ってしまう。








夏の大会が終わり、先輩たちが引退して新体制になる中、なんとか秋丸にやる気を出させようと奮闘する榛名や先輩、後輩たちの思いは秋丸に届くのか。

また、武蔵野第一とARCの一戦を見たことで、この先も勝ち抜くために「おおきく振りかぶって投げる」ことを決意した三橋は、モモカンや阿部、チームメイトの協力のもと、投球フォームの修正を始める。






そして始まった秋季大会地区予選、西浦高校対武蔵野第一高校。

合宿や日々の練習による技術向上に加え、最初は嫌われることを恐れて阿部の言う通りに投げていた三橋が少しずつ自己主張をするようになったり、主将・花江が様々な重圧を感じながらもチーム公式戦初のホームランを放ったりと、メンタル両面での成長も伝わってくる。

一方の武蔵野第一は、捕球以外が苦手な秋丸を狙われて走られ放題に。また、阿部のリードや三橋の「まっすぐ」に翻弄され、思うように点を取ることができない。だが、西浦との対戦を通して、秋丸が榛名にサインを出し始めたり、いち早く三橋の投球を見切ってチームメイトにアドバイスをしたりと、野球への向き合い方に少しずつ変化が生まれる。そして、そんな秋丸の姿に榛名やチームが活気付く。かつては阿部に「榛名のワンマンチーム」と言われていた武蔵野第一だが、榛名に対しても物怖じせずに意見を伝える仲間たちが揃い、秋丸も勝利への意志を持ち始めたことで、チームとしてのピースがはまったように感じられた。主人公である三橋と西浦高校はもちろん、ライバルである彼らの今後の成長も楽しみになる。










スポーツである以上勝ち負けはあるが、仲間との友情や信頼、それを通じた人間としての成長に、単なる勝負の面白さに留まらない熱さや感動を覚えられるはずだ。

本公演は2月14日(金)より2月24日(月)まで、サンシャイン劇場にて上演される。

取材・文・撮影=吉田沙奈

当記事はSPICEの提供記事です。

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