空気感染と飛沫感染は何が違う?ウイルスの"寿命"は何時間?

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2020/2/14 21:15

感染症の感染経路は、飛沫感染・空気感染・接触感染など様々。ウイルス・菌の感染経路と感染力を失うまでの時間について解説します。

菌やウイルスの主な感染経路・飛沫感染と空気感染の違い

人から人へと感染していく感染症。ウイルスや細菌によって感染経路は異なります。主な感染経路として飛沫感染、接触感染、空気感染などがあります。混同している方も少なくないかもしれませんが、飛沫感染と空気感染は別のもので、感染予防のための対策法も変わります。感染経路の基本について、以下で押さえておきましょう。

◆ 飛沫感染とは
病原体を含んだ鼻水や唾液、痰などの飛沫が、感染者の咳やくしゃみなどで飛び、粘膜に付着することで感染します。飛沫感染は、飛沫が飛ぶ範囲で起こるので、距離、時間、障害物の有無によって感染リスクが変わります。距離を長く、接触時間を短く、障害物を作れば、感染リスクは下げることができます。

飛沫が飛ぶ範囲は気象や風向きなどの条件によりますが、一般的に「2m以内に30分程度、同じ場所にいれば」、感染する可能性があります。逆にいえば、2m離れていたり、数分のみの接触だったり、目・鼻・口などの粘膜にくしゃみや咳による飛沫を浴びなければ、感染リスクは低くなります。

同じ部屋でも衝立が一つあれば飛沫はそこでブロックされるので、感染拡大する可能性を下げることができます。

◆ 空気感染とは
空気感染は、飛沫感染とは異なります。空気感染の場合は、咳やくしゃみで飛んだ飛沫の水分が蒸発した後、病原体のみが長時間空気中を漂い、その空気を吸い込んだ人が感染します。2m以上離れていたり、衝立を立てたり、感染者がその場を離れたりした後も、同じ部屋に入ることで感染する可能性があります。空気感染するのは、現時点では結核、麻疹、水疱瘡です。

◆ 接触感染とは
皮膚や粘膜の直接的な接触や、ウイルスがついた物に触れた手や物を介して感染が起こります。ウイルスが付着した物を触ってウイルスがついてしまった手で、目・鼻・口のあたりを触ることで感染します。

物についたウイルスが感染力を持っているかどうかは、ウイルスの種類によっても大きく異なります。また、温度、湿度、付着した物などの条件によっても異なるため、一概には言えないのが現状です。

ただ、基本的にはウイルスは細胞がないと増殖できませんので、感染者から離れたウイルスは、数日のうちに感染力が下がります。プール熱やインフルエンザなどがこの感染経路で感染します。

◆ 経口感染とは
感染動物の肉を食べることで感染するBSEなどや、糞便で汚染された水などを経口摂取することで感染するO157やノロウイルス、ロタウイルスなどがあります。以前流行したSARSでも糞便からの感染が報告されています。

新型コロナウイルス感染所の感染経路……飛沫感染と接触感染

今騒がれている新型コロナウイルスの感染経路は、「飛沫感染」「接触感染」と考えられています。

ウイルスの寿命・ウイルスが感染力を失う時間の目安

そもそも「ウイルス」は生物ではありません。遺伝子とそれを覆うタンパク質でできています。周りを覆っているタンパク質は細胞由来で、ウイルスが増えるためには「細胞」が必要になります。細胞のない状態、つまり人を含む生き物に感染していない状態では、ウイルスは失活してしまい、感染力がなくなります。
インフルエンザウイルスと湿度・温度の関係
インフルエンザウイルスの場合、ウイルスのみで感染力を持つのは12時間まで、条件によっては48時間程度です。ノロウイルスの場合は気温が20℃なら10日前後ですが、温度が下がると長くなることがいわれています。

RSウイルスは1~7時間、アデノウイルスは8~10日程度で、ウイルスによってもかなり差があります。そのため、例えばですがインフルエンザに感染した人が触った本や手すりにウイルスが付着したとしても、3日後にその本や手すりを触ってインフルエンザに感染することはありません。

新型コロナウイルスが付着したものが、現時点でどの程度の感染力を持ち続けるかはまだ分かっていませんが、「飛沫感染」という点でいえば、2m以上離れていれば感染リスクは低くなり、接触時間が30分以内と短時間であればやはり危険性は低いといえます。

また、空気感染すると恐れられている結核でも、同じ部屋にいたからといってすべての人が感染するわけではありません。

目に見えないウイルスが不安でも、取るべき行動は同じ

ウイルスは目に見えないので、感染拡大などの報道があると不安になるものです。まずは正しい情報を押さえ、あまりに不安を煽るような情報は鵜呑みしないことが大切です。

今回の新型コロナウイルスは、従来のコロナウイルスよりも重症な肺炎を起こす可能性が高いようですが、上記の感染経路の特徴からも分かる通り、空気感染するウイルスのような凄まじい感染力を持っているわけではないようですし、感染者の中でも重症化する割合は少ないようです。

毎年インフルエンザが流行しますが、インフルエンザに感染しても症状の軽い方や無症状の方は多いです(その分、感染が拡大しやすいともいえます)。また、ワクチンがあっても既存のインフルエンザにかかって残念ながら亡くなる方も少なくありません。

多くのウイルスに対して特効薬はありません。大切なのは、普段から規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけて、自分自身の免疫力を保つこと。そして有事のときだけでなく普段から手洗い、手指衛生をしっかり行うことです。

未知のウイルスで慌てたり過度に不安を感じたりするのではなく、これまでのウイルス感染の予防法をしっかりと行い、それぞれの健康を守っていきましょう。

◆ 清益 功浩プロフィール
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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