元敏腕競馬記者が教える馬券予想に必要な4つの習慣

日刊SPA!

2020/2/13 08:29

 競馬予想では極端に復習よりも予習の方に重きが置かれている方が多いのではないだろうか。レース前の情報は豊富にあり、競馬の楽しさはレース前の未来予測を自由にできるところにもあるが、馬券で勝つためにはしっかりとした復習が必要だ。

復習が大事なのは我々競馬ファンだけではない。レジェンドの武豊騎手も

「いちいちレース後にガクッとかなってたら、騎手に向いてない。18頭なら17頭負けるしね。その圧倒的に多い負けを無駄にしない人が人よりちょっと勝てるんじゃないかな」

と述べている。

また、競馬に限らず「誇れるとするならば 4000安打という数字よりも 8000回以上悔しい思いをし、 それと常に向き合ってきたこと」と、イチロー選手はコメントしていたこともある。天才と呼ばれる人たちも失敗はする。ということは天才と凡人の違いは、この失敗の捉え方にあるのだろう。馬券で天才的に儲けるのは夢のまた夢かもしれないが、馬券を買ってハズレたとしても、それを無駄にせず次につなげることが勝ち組への一歩だ。では具体的にどう復習していくのかを紹介していくことにする。

◆なぜ本命馬は負けたのか

自分が予想した本命馬がなぜ予想通りに走らなかったのかをまず分析する。出遅れたからなのか、逃げられなかったからなのか、展開が向かなかったのか、不利があったのか、馬場が合わなかったのか、など様々な要因が考えられる。予想の段階で本命にした理由が何かしらあるはずだ。その好走すると考えた要因が達成されたのか否かを検証するのだ。

例えばジャスティンという馬はダートでは5戦4連対の成績(20年2月9日時点)だが、連対したのは全て逃げた時で、9着と唯一連対を外したときは10番手からレースを進めていた。この時に「大敗したのは逃げられなかったからだ」という復習をしておけば、その敗戦も悲観することなく、次走以降でも“逃げられるかどうか”ということだけに焦点を当てればいい。

このように敗因を分析しておけば、馬の好走パターンもつかめ、次走以降に生かすことができる。

<復習のポイント>自分の本命馬が負けた場合、想定どおり走っていたか否か。次走狙えるべきかの『貯金』になる。

◆関係者コメント

だが、上記のように自分で敗因を分析しても答えが見つからないことも時折ある。そんな時に役立つのがレース後の関係者コメントだ。「距離が長かった」、「テンションが高かった」、「馬場が合わなかった」などの話は参考になるし、落鉄や鼻出血はこのコメントを見ないとわからないことが多い。一番驚いたのは、「隣の馬に噛まれた」というのも以前ジョッキーから聞いたことがある。このように関係者にしかわからないことがあり、ときにそれがヒントになる。

レース後のコメントで特に注目してほしいのは障害レースのコメントだ。障害馬は調教から人馬一体となってレースに挑み、レースでも乗り替わりが少ない。ジョッキーたちも馬のことを深く理解しているため、的確なコメントが多いのだ。また障害レースの多くはお昼休み前の第4レースに行われ、次のレースとの間隔も十分にあいている。そのためジョッキーたちも時間に余裕を持って丁寧にメディアにコメントができるという背景もあるのだ。障害ジョッキーたちの話しが面白くて私も障害レースに興味を持ったので、「障害はよくわからない」といった方もぜひ参考にしてみてほしい。

レース後のジョッキーコメントは各競馬メディアがネット上で無料で公開しているところもあるが、週刊競馬ブックや週刊ギャロップでは基本的に全レース1~5着馬&人気上位馬を掲載している。雑誌だけでなく、各サイト上でも会員になれば見られるのでこの機会にぜひ。

<復習のポイント>敗因にはダイジェストを見てもわからない要因もある。特に障害戦でコメントを確認するのは有効だ。

◆馬場の傾向

個人的には復習する上で最も重視しているのがこの馬場の傾向だ。「今日は前が止まらないな」、「時計が速いな」とレースを見ながらボヤくファンは多いと思うが、それを記録している人は少ない。実はこの馬場傾向の気づきこそ、次につながるお宝なのだ。結論から言えば、馬場の傾向に合わなかった馬を全て記録しておくことをオススメする。

直近の例で言えば、「小倉の芝で外を回って負けていた馬」は全て覚えておきたい。小倉の芝コース(Aコースの1月~2月2日開催)は極端に内側が有利な馬場で、枠順別の複勝回収率も1枠194%、2枠93%と高いのに対し、6枠38%、7枠55%、8枠60%となっていた。この傾向を覚えておくことが夢馬券獲得へつながるかもしれないのだ。簡単に言えば外を回って負けていた馬は枠順の差で負けただけで、次走以降で巻き返す可能性が高い。

実際に上記の期間に8枠から走っていた馬の次走での成績は、単勝回収率487%、複勝回収率210%(2月10日時点)と激走しまくっている。これは「前走の枠順」を考慮して予想している人が少ないためだ。実際に5年近く競馬新聞業界に勤めていたが、こうした馬場や枠を考慮して予想している記者は少なかったと感じる。厳密に言えば、当日の傾向を忘れてしまっている人が多い。私自身も人間なので記憶力は完璧ではないのだが、それを防ぐために全てパソコンにデータを保存し、すぐに引き出せるようにしてある。

ただひと回り以上も年が上の記者たちはどちらかというとアナログ寄りで、記録をパソコンでなくノートなどで取っている人もいる。そのため毎度そのノートをめくるわけにもいかず、前走の傾向を考慮せずに予想してしまっていることが多々あるように感じた。競馬新聞は多くのファンの参考になっているため、記者の予想次第で人気になる馬も変わってくる。それだけ影響力が大きいメディアの“穴”となるのが上記の馬場傾向なのだ。

<復習のポイント>馬場の違いは敗因のなかで特に重要。今なら小倉で負けた馬をチェック!

◆ベストの馬券を買えていたか

馬券が当たった場合も復習は必要だ。「単勝にしておけばよかった~」、「枠連の方がついてたじゃん!」といった会話は競馬ファンなら一度はしたことがあるだろう。そうした後悔をしないためにも馬券の選択が合っていたのか検証する必要がある。一番いい例としては、枠連ゾロ目か馬連で買うか、という悩みだ。結果としては同じことだが配当は異なることがあるので、オッズを見比べてオトクな方を買う必要がある。また馬連を買うか馬単マルチを買うか、といったことも同じ類だ。

私が復習を重ねて得たことをひとつ紹介すると、1番人気を買う場合は馬単よりも単勝の方がオトクだということだ。単勝と馬単総流しは、本命馬が1着、という意味としては同じことだが、得られる配当は変わってくる。2019年の全レースを対象に検証すると、1番人気から馬単総流しを買い続けた場合、回収率は70.1%になる。対して単勝を買い続けた場合は78.4%と回収率は8%以上も上昇する。

大げさに言えば1番人気から馬単を買うか単勝を買うかで、年間の回収率は8%も変わるのだ。単勝と馬単では還元率が異なる(単勝80%、馬単75%)ので当たり前だろ! というツッコミもあると思うが、実際には「1番人気で単勝はオッズがつかないから馬単にしよう」と考えて馬券を買う人は多いはずだ。

<復習のポイント>多種多様な馬券種がある。『当てること』と『儲けること』は別だと思って振り返ろう。

こうした反省や復習、分析を重ねることで、自身の回収率を向上させることは可能なのだ。そのため馬券が当たっても復習を厳かにしてはいけない。

雀士の桜井章一氏の言葉を借りれば、

理想的なのは、「よい内容で勝つ」こと。

次に望ましいのは、「よい内容で負ける」こと。

3番目が「悪い内容で負ける」ことであり、

最も下なのは「悪い内容で勝つ」こと。

ヘタな馬券を買って当てて喜ぶのは一時的な勝ちで、それは長続きしにくい。そのためハズレたときだけでなく当たった時も復習の心を持っておくことは大切なのだ。

いくつか競馬の復習法を紹介したが、「ここまで復習する時間もないし面倒くさいよ」と感じた方もいるだろう。そう、競馬で勝つことはそれだけ簡単ではないのだ(笑)。そのためこうした”面倒なこと”をして情報を提供するのが私たちのような予想家的な立ち位置の人の仕事だとも思う。平日に働き週末に競馬を楽しむ生活をしながら全レースの復習をすることは難しいが、自分が馬券を買ったレース、追いかけている馬だけでもいいので復習してみてほしい。そうした小さな積み重ねが大きな結果をもたらしてくれるはずだ。

【鈴木ショータ】

元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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