「長谷川さんと本木さんを中心に、いい雰囲気が出来上がっています」藤並英樹(第四回演出)「ようやくこのドラマの最初のパートを描き切ったところ」落合将(制作統括)【「麒麟がくる」インタビュー】

テレビファン

2020/2/10 18:10


 好調な滑り出しを見せた大河ドラマ「麒麟がくる」。本格的な合戦シーンや、続々と登場する戦国武将たちなど、毎週見どころが満載だ。2月9日に放送された第四回では、織田家が支配する敵国・尾張に潜入する光秀(長谷川博己)の活躍を中心に、岡村隆史や堺正章といった個性派の俳優たちが、持ち味を発揮して視聴者を楽しませてくれた。そこで、第四回の演出を担当した藤並英樹と制作統括を務める落合将に、撮影の舞台裏を聞いた。

-第四回のポイントは?

落合 第四回でようやくこのドラマの最初のパートを描き切った、というところです。第一回は京都に旅をする光秀、第二回では美濃の道三、第三回で道三や光秀を取り巻く美濃の人々を描いてきました。そうやって迎えた第四回では、敵であり、信長がいるであろう尾張の国を描く。普通なら第一回に詰め込んでもおかしくないところを、今回は時間を掛けて、ものすごく広く描いています。そういう意味では、尾張がどう見えたかというところが、第四回のポイントになるかと思います。

藤並 演出では、これまであまり掘り下げられなかった織田信秀(高橋克典)や医師の望月東庵(堺正章)、農民の菊丸(岡村隆史)といった人たちを重点的に描きながら、「尾張を見に行く」という光秀のミッションを面白くすることを心掛けました。

-ところで、早くも「本能寺」の名前が出てきましたね。

落合 池端(俊策/脚本家)さんは当然、「本能寺の変」を意識して書いたんだと思います。細部に関しては、時代考証の小和田(哲男)先生と相談しつつ、「史実半分、創作半分」といったところではないでしょうか。

-菊丸役の岡村さんが楽しいお芝居を見せてくれましたが、現場での印象は?

藤並 最初は、すごく緊張されていました。台本の読み方がとても真摯(しんし)な方で、大河ということで深刻になり過ぎていたところもあったので、チーフ演出の大原(拓)とも相談しながら、少し軽めのタッチも加えつつ、岡村さんがもともと持っていらっしゃる“明るさ”みたいなものを重点的に出していただくようにしました。岡村さんも面白がってやってくれたので、楽しいお芝居になったんじゃないかと思います。

-農民に変装した光秀と2人で尾張に潜入する場面も面白かったですね。

藤並 橋を渡って尾張に入る場面をロケで撮影したのは9月頃ですが、そのときは既にスタジオで3カ月ほど撮影が進んでいました。おかげで、光秀と菊丸の関係性が出来上がっていたので、「兄者」と言われて偉そうにしていた菊丸が、だんだん深刻な話になってショックを受ける…というくだりは、長谷川さんと2人で話し合いながら、台本よりもさらに面白くしてくれました。撮影はワンカットで行いましたが、一発本番的な緊張感もありつつ、楽しんでやっていました。

-ちなみに、菊丸が謎めいた行動を取る場面もありましたが…。

落合 その辺りは、見てのお楽しみということで…。もう少しで分かると思います(笑)。

-藤並さんから見た役者・岡村隆史の魅力とは?

藤並 非常に真面目な方で、台本をきちんと読み込んで、菊丸という役に真摯に向き合ってくださっています。竹千代と出会った後、深刻な顔をして身につまされる自分の立場をとつとつと話していたかと思うと、駒と会う場面ではとても無邪気に接している。そういうふうに状況によってうまく変化させてくれるところは、すごく面白いですよね。引き出しが多く、とても頭のいい方だと思います。

-第四回は東庵が斎藤道三(本木雅弘)、織田信秀という2人の武将と対峙(たいじ)する場面も見ものでした。現場の印象は?

藤並 東庵と道三、東庵と信秀がそれぞれ腹の探り合いをする場面は面白かったです。現場で見ていても、堺さんや本木さん、高橋さんといった熟練の役者さんたちが、本当に化かし合いをしているようで。やはり、皆さん達者な方たちだな…と。皆さんが、面白がっていろいろお芝居をしてくれたおかげで、いいシーンになったと思います。

-ところで、全体的な映像の色味が、これまでに比べてだいぶ落ち着いた印象を受けましたが…。

落合 映像加工は一切変えていません。ただ、そういう感想が出るのもよく分かります。これまではロケが多かったので、植物の緑など、自然の色が目立ちました。ただし、大河ドラマでロケはそれほど多くないので、これからはスタジオのセットでの撮影が中心になってきます。そういうセットは昔の建物なので、色合いとしては茶色や黒など地味なものになります。4Kで撮ったからと言って、そういうものまで派手に映るわけではありませんから。

-そうすると、今後はこのぐらいの感じで進んでいくのでしょうか。

落合 そうですね。ただ、そういう渋めの色合いのセットの中に、従来のように地味な衣装を着た人物がいると区別がつきにくいんです。でも、そこに緑の光秀やウサギ柄の東庵が入ってくると、とても分かりやすい。どちらかというと、僕の狙いはそこにあります。これからセットでのドラマが長く続く中で、人物の識別のしやすさは、見やすさにつながってきます。そういう部分の本領が発揮されたのが、第四回ということになります。

-現在の撮影現場の様子はいかがでしょうか。

落合 皆さん、楽しそうにやっていますね。ただ、ロケでは動き回ることも多いので、けがだけはしないように気を付けています。

藤並 長谷川さんと本木さんを中心に、いい芝居をしようという雰囲気が出来上がっています。特に今は、道三としての本木さんの求心力が大きいですね。明智荘で光秀が家臣と共に歩くような場面では、長谷川さんも自ら引っ張っていってくれています。

落合 伊藤英明(斎藤義龍役)さんがとにかく明るくて人懐っこいので、ムード―メーカーになってくれています。食べ物の話をよくしていますね(笑)。おかげでわれわれもホッとしています。

(取材・文/井上健一)

当記事はテレビファンの提供記事です。

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