1本の木に会いに行く(13)この木 何の木 気になる木<ハワイ・ホノルル>

TABIZINE

2020/2/7 12:00

何気なく通り過ぎる街なかの、あるいはお寺や神社、山道での1本の木。ほとんどの人が関心を持たない1本の木は現代の秘境に思えます。その秘境に分け入り、ふと周囲を見渡すと人と自然のかかわりや歴史、文化が見えてきます。今回も海外編。「この木何の木気になる木」といえば・・・芝生を覆うように1本大きく枝葉を広げている、あの木です。
日立の木

空港到着後にモアナルア・ガーデンへ

ワイキキビーチ

ハワイに行く機会がありました。そこで「気になる木」をいちど間近に見てみたいと願っていました。「この木何の木…」で始まるあの日立のCMが子どものころから刷り込まれていたから。その「日立の木」があるのがホノルルの「モアナルア・ガーデン」という公園だといいます。

タクシー

ワイキキからですと車で30分ほどかかりますが、ダニエル・イノウエ空港からだと車で10分ほどのところにあるらしいのです。それで事前に空港到着時刻を告げ、迎えのタクシーを予約しておきました。ハナ・タクシーさん。ドライバーさんは韓国の方ですが、日本語を流ちょうに話します。

公園入口

高速と思われる道路を走ってあっという間に開園時刻の8時ちょうどにモアナルア・ガーデンの入り口駐車場に到着。ギフトショップの脇が入口です。ここで入場料大人ひとり5ドル、および駐車料金を支払い入場しました。

売店を通って

ホノルルは緑が豊かで、どこからが公園で、どこからがそうでないのかがよく分かりません。
公園の広さは24エーカー(97,000平方メートル)およそ3万坪。東京ドームでいえば2つちょっとという広さらしいのです。

シンボルマーク

ショップの壁面に「気になる木」のマークがシンボライズされていました。

公園を歩く

中央部はアメリカらしく広々とした芝生になっています。ドライバーさんが案内してくれるというので、その後を慌てて追いかけてゆくと・・・

日立の木

芝生広場の中央に地面まで枝葉を広げた大きな木があるではありませんか。まさしくこの木です。ちょっと感動です。あの木が今もここにあるなんて。

この木 何の木 名前はモンキーポッド

近づいて

この「日立の木」、じつは中南米原産でマメ科の常緑樹木。学名はサムネア・サマン、英語ではモンキーポッド、別名・レインツリーと呼ばれています。そしてこの木の樹齢は130年といいます。根元に立って上を見上げると鬱蒼と茂った枝葉がすべてを覆いつくし、とても居心地が良いのです。

上の方は

ちなみにポッドとはえんどう豆などの「さや」を意味する英語で、モンキーポッドとは、猿がその実を好んで食べることから付いた名前なのだそうです。

花

年に2回、5月と11月に開花します。訪れたのが11月だったのでちょうどピンクと白の可憐な花が咲いていました。実を付けるのはその後からなんでしょうね。

根元

最初のCM「日立の木」はアニメだったそうです。どっしりと構える実在の木を探したそうですが、理想的な木を見つけることができなかったためでした。ところがその後ある時、モアナルア・ガーデンの端にある水路で休んでいた関係スタッフがぐうぜんにこのモンキーポッドを見つけ、登場することになった、というのです。

花と葉っぱ

ただ当時は約2年ごとに木を代えてCMが作られました。ところが視聴者から「あの木をまた見たい」という声が数多く寄せられ、1984年からふたたび登場することになったのだそうです。

椅子

公園のあちこちの木陰には、おしゃれな椅子が置かれていました。木陰は爽やかな風が通ります。ジェットラグや睡眠不足もあって、そこに座ってボーッと木を眺めました。

モアナルア・ガーデンはカメハメハ5世の別荘

木越し別荘

この土地は古くはハワイ王国を建国したカメハメハ王家の所有地でした。特にカメハメハ5世(在位1863年~1872年)はここがお気に入りで、夏はここで過ごしていたそうです。今も1850年代に建てられたカメハメハ5世のコテージが芝生の一角に残されています。

別荘

その隣にあるタロイモ畑は、初めてオアフ島に上陸した先住民が、この地に住み栽培を始めた名残ともいわれ、ハワイの歴史の原点と言える場所なのだそうです。里芋にも似たお芋ですね。

別荘とタロイモ畑

「トム・ソーヤの冒険」などで知られる作家マーク・トウェインは1866年にサクラメントの新聞特派員としてハワイを訪れ、カメハメハ5世に面会しています。カメハメハ5世について「非常に賢明で人民のことを大切にした君主で、とても人々から敬愛されていた」と寄稿しています。ハワイ王朝が難局を迎えていた時代でした。

木陰で休む鳥

というのも、1778年にクックがやって来た当時ハワイの人口は11万~15万人であったといいます。しかしその後欧米人がハワイにもちこんだ、はしかや天然痘、インフルエンザなどの病気、また急激な社会変化によるアルコール中毒などで命を落とす者も多く、1850年には8万人ほどに激減したのです。

カメハメハ王朝紋章

しかも19世紀、欧米諸国は海に乗り出し植民地化を進めていました。ハワイで勢力が強くなるアメリカを懼れてカメハメハ5世は、アメリカ勢力を排除し親英的な政策を打ち出していきました。これがアメリカを刺激し、ハワイ併合に進む一因になったともいわれています。

イオラニ宮殿

ホノルルのダウンタウンにあるイオラニ宮殿はカメハメハ王朝の名残を感じさせる場所です。ハワイの歴史に興味のある方はぜひ訪ねてみてください。アメリカで現存する唯一の宮殿です。

世界の樹木が集められた 多様性のシンボル

つらい歴史がかつてハワイにもあったのですね。

毛細血管のよう

モアナルア・ガーデンに植えられた樹木、モンキーポッドの原産地は中南米ですし、じつはハワイ原産の樹木は少ないのです。

竹林

アジアからの竹もそのひとつ。マンゴーの木やバニアンツリーも海外から取り寄せられたものだそうです。そうなんです。世界各地から多種多様な樹木をわざわざ取り寄せて育ててきたのです。

マンゴーか?

モンキーポッドも、日立の木以外に22本植えられているといいます。大きな木ですから目立ちます。でも、そのなかでもっとも大きくバランスよく美しく立っているのが「日立の木」です。

樹木ロング

ハワイは太平洋の楽園と呼ばれ、風光明媚な土地に多様な人びとが穏やかに暮らしています。大航海時代から砂糖キビのプランテーション時代、そして現代にいたるまでハワイは外部から多様なものを寛容に受け入れてきました。そのシンボルとしての世界中の様々な樹木がこのモアナルア・ガーデンに植えられていたのです。

モアナルア・ガーデン訪問 ベストな時間は

空港ロング

さて、このモアナルア・ガーデンに行くのは、ダニエル・イノウエ空港に到着した直後に訪ねるのがベストではないでしょうか。日本から訪ねるとホノルルの到着時間は朝早いんです。ホテルのチェックインは通常15時。中途半端なまま時間を持て余してしまいますね。

日立の木

そこで空港に迎えのタクシーに来てもらい空港近くのモアナルア・ガーデンなどに寄ってもらい案内してもらい観光するのです。ハナ・タクシーの料金は3時間120ドルでした。
ちなみに、ここにいた1時間ほどの間、訪れたのは日本人らしき10人ほど。ここは日本人にだけに知られた、日本人だけが観光に訪れる、不思議な公園だったのです。

モアナルア・ガーデン Moanalua Garden
住所:2850 A Moanalua Road, Honolulu, HI 96819
HP:https://www.moanaluagardens.com/

イオラニ宮殿
住所:364 S King St., Honolulu
HP:https://www.iolanipalace.org/

[All Photos by Masato Abe]

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