「クリープハイプ」の楽曲から吹き零れる I 、哀、愛

UtaTen

2020/1/30 12:30

「クリープハイプ」のこれまでの歩み




2012年4月、前年から様々なメディアで取り上げられ音楽関係者から多くの注目を浴びていたクリープハイプは、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューを果たしました。

リスナーに強い印象を残したのは扇情的とも言える強烈な歌詞と、ボーカル・尾崎世界観のハイトーンボイス。

その印象からデビュー当初は「聞き手を選ぶバンド」と言われていましたが、近年はドラマ主題歌やNHK「みんなのうた」にも楽曲を提供するなど、多岐に渡って活躍をしています。

今や幅広い世代から支持を集める彼らの音楽。彼らの楽曲にもその魅力が詰まっています。

華やかなメジャーデビューとその裏側


画像引用元 (Amazon)

デビュー当初から現在まで高い人気を保持し続ける『クリープハイプ』。

しかし、彼らのメジャーデビューまでの道のりは険しく、ほとんどの楽曲の作詞・作曲を担当するボーカルの尾崎世界観を除いて、他のメンバーが
幾度とない脱退・加入を繰り返していました。

現メンバーが加入する直前には尾崎一人になってしまった時期もあるそうです。

そんな尾崎は現在、小説家・ラジオパーソナリティーとしての顔も持ち、デビュー前の苦しい時期を半自伝的小説『祐介』で記しています。

インディーズ時代、自分のライブを聞いた何人かから言われた「世界観がいいね」という評価の曖昧さに嫌気がさして、それが言われないように「世界観」という名前を使い始めたという尾崎。

その独特な感性がクリープハイプを現在のユニークな立ち位置に導いてきたのではないでしょうか。

クリープハイプの「あい」が溢れる楽曲たち




クリープハイプのメジャー2ndアルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』。

このアルバム発売時に雑誌のインタビューで尾崎は、「”I”、”哀”、”愛”が自分の中で曲を作る上で大切なもの」と話していました。

はっきりとした喜怒哀楽ではなく揺れ動く繊細な感情を歌う彼らの音楽を、溢れる様々な「あい」に着目しつつ見ていきましょう。

「社会の窓」


▲クリープハイプ - 社会の窓

メジャー2ndシングルであり、「クリープハイプのファンの女性の心情」を描いたとされている楽曲です。

鋭いギターリフが印象的なイントロから始まり、終始畳み掛けてくるような歌メロが続きます。

後半では彼らの最大の特徴とも言える独特な歌詞とハイトーンボイスが自虐的に歌われています。

アップテンポな楽曲にも関わらず、PVはほとんど視点が動かずに一人の女性の表情をずっと捉え続けるという斬新なものになっています。

メジャーデビュー後すぐに反骨的なメッセージを含んだ楽曲をシングルカットしてリリースするという姿勢が、良くも悪くもクリープハイプというバンドを強く印象づけたのではないでしょうか。

「憂、燦々」


▲クリープハイプ - 憂、燦々(ゆう、さんさん)

CM曲として自身初のタイアップがついたということもあり、世間に広く認知されるきっかけにもなった『憂、燦々』。

激しい怒りや悲しみではない、物悲しさ・哀愁という感情が繊細に表現されている楽曲です。

サビに入る直前の「ピコン」という音と共に尾崎の力強い歌唱が始まります。

ネガティブな感情を表現することに長けているクリープハイプの魅力が詰まった一曲です。

ちなみに曲の印象だけを聞くと想像がつきにくいかもしれませんが、この楽曲が起用されたのは資生堂の日焼け止めのCMでした。

CMのテーマとして「YOU! SUN! SUN!」というフレーズが指定されていたことから、尾崎の得意とする言葉に様々な意味を持たせる言葉遊びがよく反映されています。

「鬼」


▲クリープハイプ - 「鬼」MUSIC VIDEO (Full Version)

この曲は日本テレビ系日曜ドラマ『そして、誰もいなくなった』のために書き下ろされた楽曲です。

イントロのギターリフが曲への期待感を上げて、苛立ちを吐き出すような歌メロが始まります。

PVには東京ゲゲゲイのYUYUやMy Hair is Badのボーカル・椎木 知仁が出演していることでも有名なのですが、先述した尾崎の小説『祐介』を元にした短編映画『ゆうことぴあ』の外伝のような物語になっているのです。

『ゆうことぴあ』はアルバムの特典として観ることができます。クリープハイプらしい映像に仕上がっていますよ。

PV後半でYUYUが見せる激しいダンスもとても魅力的で楽曲をより一層盛り上げてくれています。

「ただ」


▲クリープハイプ - 「ただ」MUSIC VIDEO (from 2017.2.22 Release 作品集「もうすぐ着くから待っててね」)

クリープハイプは怒りや哀愁が表立った楽曲が多いですが、純粋な愛を歌った曲も多くそれもまた彼ららしい特徴があります。

その特徴は、歯がゆくなるほどに不器用な主人公が多いということです。

優しく穏やかでありながら、どこか焦りも感じさせるような曲調がとても歌詞にマッチしています。

独特な比喩表現をよく用いる尾崎世界観の歌詞には、共感を感じやすい不完全な人物像が多く登場し、その繊細な表現力には他のアーティストにはない魅力が詰まっています。

『ただ』はそのようなクリープハイプの一面を感じ取ることができる代表的な一曲となっています。

変わらない良さと挑戦し続けていく姿勢


▲クリープハイプ - 「愛す」 (MUSIC VIDEO)

クリープハイプの楽曲には耳に残りやすいメロディーフレーズや、繊細な歌詞や歌唱の表現など、デビュー前からの一貫した特徴があります。

それは有名になっていくと同時に時には批判的に捉えられることもありましたが、それが一つの形とし定着したのが今のクリープハイプというバンドなのでしょう。

そして最新曲の『愛す』(読み方: ブス) ではクリエイティブチームのAC部とタッグを組んだPVを発表しました。

このPVは見ていただければ誰でもその特異さに気づくことができますよ。

新しい楽曲の表現方法の模索として大変面白い作品になっており、来年で現メンバーになって10周年を迎える彼らの次なる挑戦の作品と言えるでしょう。

音楽だけではなく様々な方面で活躍の場を広げている彼らが、次にどんな挑戦をしてくれるのか楽しみです。

TEXT 双風サキ

当記事はUtaTenの提供記事です。

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