センバツ高校野球「謎選考」BEST5。納得できないファンたち

日刊SPA!

2020/1/24 08:50

 “春の選抜高校野球の出場校が本日発表されるが、これまでの高野連による衝撃の謎選考”を前回、筆者独断の10位から6位までのランキング形式で発表した。今回はいよいよ上位ベスト5を紹介したい。

◆第5位 0-7で負けたけど…なぜか逆転選考

1990年秋の近畿大会 決勝戦 天理3-1神戸弘陵 準決勝 天理1-0大阪桐蔭 神戸弘陵5-2箕島

準々決勝 大阪桐蔭(大阪1位)7-0報徳学園(兵庫3位) 天理(奈良1位)4-0浪速(大阪3位) 箕島(和歌山1位)3-0三田学園(兵庫1位) 神戸弘陵(兵庫2位)2-0鳥羽(京都1位)

とにかく高野連は、伝統的な公立進学校がお好みである。そしてそんな伝統的な進学校を選ぶために、ときに“なにふりかまわない”選考が行われることが。

それは’91年春選抜の近畿地区の選考でのこと。この年の近畿代表の出場枠は7校。となれば、準々決勝でコールド敗退を喫した報徳学園が圏外で、残りの7校が順当に当選というのが事前の下馬評であった。ただ、この中では鳥羽だけが準々決勝からの登場で、結果的に初戦敗退のため、1回戦で神戸弘陵に2-3で惜敗した市和歌山商(和歌山2位)と、同じく1回戦で三田学園に1-2で競り負けた近大付(大阪2位)の2校にも逆転選出の可能性が残されていた。

ただ、そんななかで1回戦敗退組に気になる高校が1校。奈良高校である。旧制奈良中の流れを汲む同校は県内トップの進学率を誇る伝統の公立高校。“文武両道”が大好きな、まさに高野連好みのチームなのである。この年の秋の県大会であれよあれよと勝ち進むと決勝戦にまで進出。しかしそこで待っていたのは同年夏の甲子園優勝校にして全国に名だたる強豪・天理。当然のように0-7の大敗を喫したのだが、県2位で近畿大会に進出が決まった。

だがそこでもクジ運のいたずらか、初戦の対戦相手がまたも天理に。そこで再び返り討ちにされてしまう。しかも延長戦での激闘というならともかく、1-4というなんともあっさりとしたスコアでの敗戦。さらに当然、地域性でも救えない。まぁ、近畿7枠のうち、結局はベスト8で大敗した報徳学園以外の7校なら、地域的にも大阪2、兵庫2、京都1、奈良1、和歌山1とバランスが良く妥当なところ。いくら伝統的な公立進学校でもこれで選出されようものならブーイングは必至の状況。さて、注目の選考結果は……。天理 神戸弘陵、大阪桐蔭 箕島 三田学園 浪速 奈良。

まさに前代未聞の大逆転選考。しかもその選考理由も「頭脳的な投球をするエースの好投で県、地区大会で食い下がった点が考慮された」。いや「県、地区大会で食い下がった」って、1-4の地区大会はともかく、0-7の県大会のどこをどう見たら食い下がったと言える? それなら準V校に準々決勝で0-2の鳥羽(しかも地域性でも有利)と同じく準V校に初戦で2-3の市和歌山商の立場は?

ちなみにこの選考に関してとあるスポーツ新聞では「短期間で7点差を3点差まで詰めたことが評価された」と報じられているのだが……。ちなみに本番の甲子園では虚しく奈良は6-10で初戦敗退。

◆第4位 県大会敗退でも逆転選出のワケ

1983年秋の四国大会 決勝戦 明徳5-4丸亀商 準決勝 丸亀商13-12池田 明徳7-5松山商

1回戦 丸亀商(香川1位)9-5伊野商(高知2位) 池田(徳島1位)11-1新居浜高専(愛媛2位) 明徳(高知1位)11-0富岡西(徳島2位) 松山商(愛媛1位)5-2高松商(香川2位)

この当時の四国地区の出場枠は4枠。これならベスト4の4校で順当なのだが、ここで困った事態が。なんと池田が不祥事により、出場を辞退してしまったのだ。

ならば1回戦で準Vチーム相手に健闘した伊野商がまず浮上するが、地域性を優先させるなら、徳島2位の富岡西も捨て難い。ただ、伊野商は県大会決勝戦で四国王者の明徳相手に緊迫した投手戦のすえ、0-1のサヨナラ負けでその実力は相当なものだ。注目の選考結果は……。明徳 丸亀商 松山商 徳島商。

なんと、県大会敗退の徳島商が選出される大逆転劇である。最後のイスを争ったのはこの徳島商と伊野商で、練習試合を含めた勝率では伊野商が上回ったのだが、チームの骨格が整った10月以降の両チームを比較したところ、「徳島商は池田と互角の力を持っており、総合力で上」と判断された模様(まぁ,確かに県大会準決勝で池田相手に6-7の接戦を演じてはいるが……)。ちなみにこのとき落選した伊野商は翌年に快速球右腕のエース・渡辺智男(元・西武など)の活躍でKKコンビのPL学園(大阪)を撃破し、春の選抜初出場初優勝の快挙を果たしたのだった。

◆第3位 初戦敗退も…まさかの大逆転

1983年秋の近畿大会 決勝戦 PL学園7-1京都西 準決勝 PL学園11-2近大付 京都西5-3和歌山工

準々決勝 PL学園(大阪1位)7-4智弁学園(奈良1位) 近大付(大阪3位)5-3花園(京都2位) 和歌山工(和歌山1位)3-0高島(滋賀2位) 京都西(京都1位)9-2私神港(兵庫1位)

この年の夏の甲子園で1年生ながら主力として活躍し、チームを優勝に導いた桑田真澄&清原和博(ともに元・読売など)の“KKコンビ”擁するPL学園が圧巻の戦いぶりで頂点に立った’83年秋の近畿大会。この年の近畿の出場校枠は7枠で、となれば、ベスト4の4校はまず当確だろう(準決勝で大敗した近大付が気になるが、当時のPLの強さは別格だし)。

そしてここから残り3枠をベスト8敗退組で争うことになるのだが、まずVチームのPLに対して善戦した智弁学園が奈良1位という成績も反映されて浮上。さらにコールド負けだが、ここまで地元・兵庫県代表の選出が0ということもあって、県1位の私神港も有力。問題は最後の1枠だが、残った2校はともに京滋地区。となれば、京都西が準優勝している点から京都2位の花園は地域性で不利となる。選出されれば初出場という話題性もあり、高島がやや有利か。

しかもこれなら大阪2、兵庫1、京都1、滋賀1、奈良1、和歌山1と地域のバランスも取れている。だが結果は……。PL学園、京都西、和歌山工、智弁学園、私神港、高島、三国丘。

なんと、7枠もあるのにベスト4の近大付がまさかの落選。そして突如出てきた三国丘。実はこの三国丘、近畿大会では私神港の前に2-4で初戦敗退も、大阪府大会の決勝では難敵のPL相手に0-1で惜敗していた。逆に近大付は同準決勝でPLに1-12で玉砕。さらに続く近畿大会でも2-11と再び大差で返り討ちにあっており、同じ相手に2連続の大敗が選考委員の印象を悪くしたようだ。

ちなみにそんな三国丘の選出の決め手となったのがPL相手に好投したエースの存在。「PLの桑田に次ぐ好投手」……とのことだったが、本番ではこのエースが最終回に崩れて大逆転負けを喫した。まさか三国丘が伝統公立進学校だから選ばれたのか?と筆者は思ったものだ。とはいえ、この理不尽ともいえる近大付の落選はこののち、意外な形でフォローされることとなる。

◆第2位 “品位”の前に涙を飲んだ“山陰の怪童”

1987年秋の中国大会 決勝戦 広島工4-1西条農 準決勝 広島工11-1倉吉東 西条農3-2江の川

準々決勝 広島工(広島2位)4-3松江商(島根2位) 江の川(島根1位)4-3鳥取西(鳥取2位) 倉吉東(鳥取1位)6-3南陽工(山口2位) 西条農(広島1位)3-1宇部商(山口1位)

春の選抜の出場選考にはチームの実力だけでなく、その高校自体の品位も選出基準となる。いくら成績が優秀でも品位にふさわしくない面があれば、選抜にもれることもある。その“品位”の部分で悲劇が起きたと囁かれているのが’87年秋の中国大会でのこの例だ。

この年、中国地区に与えられた枠は4枠。地域性を考えても広島2、鳥取1、島根1と均等なことから、そのまますんなりベスト4の4校選出で異論のないところ。だが、当時の新聞記事による選考予想に気になる1校が。ベスト8敗退組の宇部商が、好投手・木村真樹の存在で当落線上に残っていると予想されているのだ。

もしもここから大逆転選考があるとしたら、落ちるのは準決勝進出も1-11でなすすべなく大敗した倉吉東のハズ。準Vチームに惜敗した江の川は普通に当選するハズ。ただ、倉吉東は伝統的公立進学校で、このときは学校創立80周年、さらに部員わずか16名で奮闘……といかにも高野連好みのチーム。対する当時の江の川は、お世辞にも“品位が良い”とはいえないヤンチャ坊主の集まりだった。それでも当然、不祥事などは起こしてないワケで、まさか“品位に欠けている”なんて理由で落選しないと思っていたが。結果は広島工、西条農、倉吉東 宇部商。

と、まさかの落選。しかも選考過程をみると倉吉東は落選どころか、3番手で当選。しかもその理由が「大敗したが、河野投手を軸にキビキビした試合ぶりをみせた」という、アバウトなもの。そして最後の1枠は事前予想通り、投手力が評価されての宇部商だったが、実はこの年の江の川には“山陰の怪童”と呼ばれた強肩強打の超高校級捕手・谷繁元信(元・中日など)がチームの主軸として君臨していた。なのにその谷繁の存在は完全に無視。

ちなみに江の川はこのときの悔し涙をバネに、続く夏の県予選を勝ち抜き、見事に甲子園ではベスト8にまで進出している。その予選5試合すべてで谷繁はホームランを放ったことも付け加えておこう。

◆第1位 選出Oを阻止した伝説の“センター返し枠”

2002年秋の近畿大会 決勝戦 平安6-3智弁和歌山 準決勝 智弁和歌山9-0東洋大姫路 平安4-3斑鳩

準々決勝 智弁和歌山(和歌山3位)7-4箕島(和歌山2位) 東洋大姫路(兵庫3位)2-1育英(兵庫1位) 斑鳩(奈良1位)5-4南部(和歌山1位) 平安(京都3位)7-5近江(滋賀1位)

このときの近畿勢の出場枠は6枠。状況的に4強+8強敗退組から2校選出と考えるのが普通。だが上記の通り、毎年毎年強いチーム揃いの大阪勢が1校も残ってない。下記がその結果。

2002年秋の近畿大会の大阪勢の結果 1回戦 近大付2-4東洋大姫路 東海大仰星1-3平安 大産大付0-9近江

と、まさかの初戦全滅だったのである。実は大阪府勢が春選抜に出場出来なかったのは’27年の第4回大会のみで、複数出場すら数知れず。だが、この状況でいくら地元とはいえ、1枠ですら確保は不可能なハズ。“大阪枠”の発動なんて、ありえないハズ。つまりは万事休すなハズ。注目の選考結果は……。平安、智弁和歌山、斑鳩、東洋大姫路、近江、近大付。

まさかの1枠確保である。しかもそのせいで和歌山県勢が割りを食う形に。なんで近大付なのだ? 気になる選考理由はなんと「中堅返しのできる粘り強い打線を持つ近大付が地域性も考慮された」というもの。ただ、このウルトラCなみの超逆転劇を演じた近大付は’84年の選抜出場校選考の際に超理不尽落選していて、まさにそのときの“貸し”が返された形となる。それでも当時の高校野球ファンからは非難囂々。この近大付の選出を“センター返し枠”と呼んで揶揄されたものだ。

以上、2回に渡って春の選抜における“謎選考”をお届けした。改めて振り返ると結果、当落線上になくても伝統的な公立進学校はやはり強い。21世紀枠導入後でも一般枠で当落線上にある強豪校は……。とにもかくにも今年は過去あまた起きた謎選考・逆転選考が起きないことを願っている。<取材・文/上杉純也>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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