「ゆるキャン△」はここまで凄い。新ジャンル「2.5次元ドラマ」爆誕!徹底した二次元リスペクトの実写版

エキレビ!

2020/1/16 09:45

マジで驚いた。ここまでやった実写化は他にないんじゃないだろうか。

何の話かというと、木ドラ25「ゆるキャン△」(テレビ東京系、木曜深夜1時)である。

アウトドア趣味を満喫する女子高校生たちのゆるい日常を描く8あfろのコミックスが原作で、2018年に放映されたアニメ版は熱狂的とも言える支持を得た。すでに第2期と劇場版の制作も発表されている(放送、公開日はいずれも未定)。


人気作のドラマ化というわけだが、これがなかなか難しい。コミックス原作のドラマは大量に放送されているが、美少女が主役で、しかもアニメ化されて人気を博した作品の実写化はハードルが高い。実際、本作に関しても実写版の制作が発表された後は、ネットで否定的な意見が並んでいた。

ところが、実写版「ゆるキャン△」はそんな高いハードルを軽々と超えていった。否定的なものが多かったネットの声もいまや絶賛の声がほとんどを占めている。

何がすごいって再現度がすごい。「原作リスペクト」という表現を見かけたが、アニメ版を含めた「二次元リスペクト」だと思う。それぐらい実写版の第1話は、アニメ版の第1話を忠実に再現していた。3次元の作品というより、これはもはや「2.5次元」作品だ。

演技とニュアンスでキャラクターに近づく
あらためて「ゆるキャン△」のストーリーを紹介しよう。といっても大きなストーリーはない。

ソロキャンプが大好きで物静かな女子高生・志摩リンと無邪気で活発な各務原なでしこ、本栖高校の同好会「野外活動サークル(通称・野クル)」の部長・大垣千明とメンバーの犬山あおいの4人を中心とした面々が、ゆったりとした雰囲気でキャンプや野外調理などのアウトドアを楽しむというもの。「日常系」と呼ばれる作品の中でもストーリーに起伏が少ないほうだが、その分、楽しそうな「趣味」の描写や美しい風景、まろやかな空気感を描くことに力を入れていたという印象。

志摩リンを演じているのが、まいんちゃん……と言う紹介の仕方じゃ明らかに不足な福原遥。最近ではドラマ「3年A組 ─今から、皆さんは人質です─」での熱演も印象深い。アニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」では主人公の有栖川ひまりの声優も務めている。各務原なでしこ役は、Dream5での活動を経てグラビアアイドルとしてブレイクし、女優としての活動を展開しつつある大原優乃。彼女も「3年A組」出演組。

この2人のキャラクター再現度がとにかく高い。とはいえ、服装やヘアメイクなどは寄せているものの、大原優乃がピンクのウィッグを被ったりしているわけでもないし(二次元のなでしこは髪がピンク)、159センチという福原遥の女性としては普通の身長が縮んでいるわけでもない(二次元のリンは小学生のように小柄)。彼女たちはニュアンスを含めた演技でキャラクターに寄せている。福原遥の声のトーンは本当にアニメ版のリン(東山奈央)の声によく似ているし、大原優乃の笑い方はアニメ版のなでしこ(花守ゆみり)の笑い方とほとんど同じだった。アニメ版をかなり研究したのだろう。

まだ出番の少なかった大垣千明役は元子役でファッションモデル、女優の田辺桃子。見た目は完全に大垣さんなのだが、オフィシャルサイトの写真や他の作品の写真を見ても、どこからどう見ても正統派の黒髪美少女で、まったく大垣さんらしさがない。ひょっとすると一番化けたのが彼女かもしれない。犬山あおい役を演じる箭内夢菜は、福原遥、大原優乃と同じく「3年A組」出身。あのドラマは本当にいろいろな人材を輩出している。

いちいち再現度が高かった1話
再現度が高いのはキャラクターだけではない。本編も非常に再現度が高い。

ためしにアマゾンプライムビデオで配信されている実写版の1話とアニメ版の1話を同時に流してみると、いかに実写版がアニメ版を忠実になぞっているかがよくわかる(実際にやってみた。けっこうやった人は多いと思う)。

実写版にはアニメ版のアバンタイトルだった、野クルの4人がたき火を囲んでマシュマロを食べているシーンがないが、1話の大きな相違点はそれぐらい。

志摩リンが自転車にキャンプ道具を積んで県道300号線の「本栖みち」を走り、中之倉トンネルを抜けて案内標識を見ながら本栖湖に出る。ここまでカット割やアングルは微妙に違うものの、実写版とアニメ版はほぼ同じ。自転車を止めて富士山を見て、雲がかかっているのを少し残念がるところは、セリフこそ微妙に違うが完全に一致と言ってもいいぐらい。背景の紅葉の加減もほとんど同じだし、何より富士山への雲のかかり具合までそっくり!(まったく同じじゃないのでCGではないような気がする)

その後、浩庵キャンプ場のトイレの前で眠りこけているなでしこをリンが見つけるところから、リンが受付を済ませるところも完全一致。もともとアニメ版が実際の風景や建物を忠実に再現しているから、そのまま丁寧に撮っていけば再現度は必然的に高くなるのだろう。

二次元とファンへのリスペクト
再現度が高いのは風景だけではない。細部に至るまでアニメ版を再現しようというスタッフサイドの気概が溢れまくっており、リンが読んでいる本のタイトルや表紙までほぼ完全に再現していたし、なでしこの姉・桜(柳ゆり菜)もアニメ版そっくりなら、彼女が乗っている車もアニメ版と同じ日産ラシーンだった。ナンバーも同じ「56─56」!

リンがテントを張り、テーブルや椅子を用意する描写の丁寧さはもちろんのこと、実写版ではバーナーやコッヘルを用意する描写も加えられていた。こういうグッズの扱いもアウトドアの醍醐味の一つ。

たき火の準備の際、リンがナタを振りかざしながら「まとめて刀の錆にしてくれるわ」と言うシーンの福原遥の目を剥く演技は、アニメ版以上にインパクトがあった。静止画にしてみるとすさまじい。

一方、リンを見かけたキャンプ客が言う、アニメ版では「たくましい」というセリフが実写版では「パンク」になっていたのが興味深かった。若い女子がソロキャンプをするのはパンクなのか。たしかに目を剥いているリンはパンクだった。

再現度の高いシーンを挙げていくとキリがないが、それでいて女の子同士の友情やキャンプの楽しさなどはしっかり伝わってくる。細部にこだわりすぎて、「ゆるキャン△」の大切な軸の部分は見失ったりはしていない。

筆者はいわゆる「2.5次元」と言われる舞台に出演する若い俳優たちに話を聞く機会があるが、彼らは本当によくキャラクターを研究し、キャラクターに近づくように演技を組み立てている。何より原作とキャラクター、そしてキャラクターを愛するファンたちへのリスペクトを常に忘れない。それはきっと実写「ゆるキャン△」のスタッフ、キャストも同じだろう。

実写「ゆるキャン△」を見ていると、原作ファン、アニメファンが喜び、新たに実写ファンが生まれる理想的な「2.5次元ドラマ」が生まれたような気がする。それは従来の実写ドラマとはまた違った新しいジャンルなのかもしれない。
(大山くまお)

作品情報
木ドラ25「ゆるキャン△」
原作:あfろ「ゆるキャン△」
監督:二宮崇、吉野主、玉澤恭平
脚本:北川亜矢子
音楽:小田切大
出演:福原遥、大原優乃、田辺桃子、箭内夢菜
主題歌 - LONGMAN「Replay」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
オープニングテーマ - H△G「瞬きもせずに」(ドリーミュージック)
プロデューサー:藤野慎也、熊谷喜一、岩倉達哉
制作:テレビ東京、SDP、ヘッドクォーター
製作:ドラマ「ゆるキャン△」製作委員会

※放送後にTVerで配信中
※放送後にAmazon Prime Videoで配信中

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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